村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

コモディティ

OPECプラスの内ゲバで原油価格水準に関係なく増産方針へ舵切り

OPECプラス、7月以降も増産継続へ 自主減産解除も

結局内ゲバでどうにもならなく終了。

上記記事内でも記載があるが、コロナ禍暴落以降OPECプラス内では減産を進めていき、その後の景気回復とロシアのウクライナ侵攻で大きく価格上昇したことをきっかけに、当初の減産割り当てを無視してこっそり増産する国が後を絶たなくなってきた。
ロシアも戦費調達のためにできるなら減産をやりたくないという中で、結局他国分の増産分もOPECプラスの結束を維持するためにサウジアラビアが減産を続けていたのだが、サウジアラビアも国家予算という観点でもはや減産を続けることが難しくなってきた。
そこに非OPEC国の増産や米国内のシェールガス生産増加もあり、減産の結果はOPECプラスのシェア低下という効果しが生まない状態になっていた。

そのため、サウジアラビアが減産方針をもはや維持できないとして放棄し、2014年程の劇的なやり方ではないものの、もう原油価格下がって死んじゃうOPECプラス加盟国家は勝手に死ねという方針に切り替えたということである。

そういった意味で、最近はここ10年近くはOPECプラスは単に原油価格の上下を大きくしているだけの組織になってしまっている。
元々は石油カルテルとして原油価格を吊り上げたり、価格の安定化を狙った組織であるはずのOPECプラスは、高値になると調子に乗った減産方針を維持したりするが、一方で価格が下落すると我慢できなくなって減産方針を撤廃したりと本来のカルテルという役割を放棄してしまっており、その機能不全感が強まっている。

そういったこともあり、週明け原油価格はいきなり窓空けスタートで、WTIベースで60ドル割れからのスタートとなり、原油産油国にはつらいが、一方で輸入国から見ればこれまでの物価高が緩和できる期待が生まれるような形になっている。

【WTIのチャート】
タイトルなし

さらにいうと、原油価格だけ見ると、概ね景気サイクルは一巡したように思われる。
原油価格のサイクルは、業績相場に入り始める頃から上昇していき、最終的に業績相場の最後の方まで上昇していき、その後下がっていくという流れになる。
そして、原油価格はドルベースで見ると、もはやコロナ暴落前ぐらいの水準にまで下落しており、景気低迷感を明らかに出している状態になっている。
つまり、これから金融相場へ移行していくわけであり、そこを意識しながら銘柄やセクター選別していくのが良いだろうと思う。

あとは、じゃあ原油価格がここから経済ショックを発生させるほどさらに暴落するかというと個人的にはそうは思っておらず、当面低位安定みたいな形を考えており、その辺の考え方は下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
原油・ガス価格の先行きを予想するために注目すべきエネルギー需給サイクルとは?


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テンション極まった買いで、ゴールドにド天井フラグ

米ドルの信認低下を映す、NY金の上昇加速

一旦ゴールドの上昇もここまでかなあ。

週明けからトランプがパウエル議長解任だあああ!とかまた嵐を起こしていたわけであるが、特段金融危機が起こるようなレバレッジがかかっておらず金余り的な世の中で、米国債でさえ安全資産とはみなせないのではないかということで、究極の安全資産はなんだということで余剰資金が右往左往する中、あまり市場規模が大きくないゴールド(金)に買いが集中し、価格は去年の2000ドルから3500ドルまで一気に駆け上がっていった。

【ゴールド(対ドル)のチャート】
タイトルなし

個人的にもポートフォリオの一部をゴールドで持っているので、まあこれはこれで良いのだが、さすがにこの上昇はかなり行き過ぎで、絶対に新規買いは当面やりたくないなという気持ちでいっぱいになったので、そのことについて書いていきたい。

こういう相場が感極まった時に相場心理を見る上で重要なのは、やはりオプション出来高だろう。
ゴールドのETFの代表であるGLDのオプション売買は下記の通りになっている。

【GLDの日次オプション売買高】
タイトルなし

https://www.cboe.com/us/options/market_statistics/historical_data/

このオプションの出来高を見ると、正直さすがにこれはないだろとしか思えない動きである。
もちろん直近の出来高が爆増しているのはどう考えてもコールオプションの買いであることは間違いないわけで、世界の安全資産がトランプのせいで突如ゴールドしかないようになったということで、ここに取引が殺到したわけである。

しかし既に相当程度高値になっているゴールドをどうリスク少なく取引すべきかということになると、結局コールオプションしかないわけで、結局こうした考え方からコールオプション買いが殺到したというのがゴールドがすっ高値になった要因であるわけである。

しかし、下記過去記事に考え方を書いたように、もうこんなコールオプションとテンションだけで上がった相場というのは行き過ぎもいいところで、個人的にはこれで一旦ゴールドの上昇はストップかなと思っている。

【過去参考記事】
株価が上にも下にも行き過ぎる現象をオプション市場から考察する

さらにいうと、ゴールドはなかなかその価値というのをどう測ればいいのかというのが意外に難しい資産であり、そんなノリとテンションだけで買えば奇跡が起きるという資産でもないわけで、下記過去記事の考え方に照らし合わせても、心理的には相当割高感あるなあというのが率直な感想である。

【過去参考記事】
価値判断基準の難しいゴールドの割高・割安を「多くの人が考える常識」から判断する

チャートを見ても巨大上髭陰線で引けちゃっている日があるが、これ単体だけで普通はド天井と決めつけることは普段しないが、やはりあまりにもイキったコールオプション買いとのセットは変な価格で買いでエントリーしてしまった腐れポジションが多いことと合わせ技で考えると、下落はせずともレンジ圏内でしか動かなくなるので、新規での投資妙味は当面なさそうと思う次第である。

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仮想通貨サミットで悪臭を放つトランプ大統領の売るな発言

トランプ氏「ビットコイン、決して売るな」 業界支援強調

俺が売りつけるから、お前ら売るなよって言ってるも同然。

ここもとのビットコインの値動きはトランプへの期待で度々上昇する局面を見せるが、結局下落する不安定さが続いている。

【ビットコインのチャート】
タイトルなし


そうした中で一部では7日金曜日に行われたホワイトハウスの仮想通貨サミットに期待する向きもあった。

実際仮想通貨サミットが開催されると、何に使うかよくわからないFIFAワールドカップにちなんだFIFAコインの発表とトランプが「ビットコインを決して売るな」というよくわからん発言をするだけで終わった。
しかし、この「ビットコインを決して売るな」という発言は、当ブログで以前書いた記事を振り返って冷静に考えるとおかしい話である。
トランプ本人はトランプコインというミームコインをSOLANAチェーンに載せて売りつけているわけで、冷静に考えると「俺は新しく発行してお前らに売りつけるけど、お前らは売るなよ」って言っているように聞こえ、言っていることとやっていることが全く違っており、その醜悪性が垣間見える。
しかし、トランプの上手いところはその醜悪性を仮想通貨市場の未来や将来性を語ったりして消そうとしていて、実際それに騙されている人はネットでいくらでも見つけることができる。

こういうことを考えると、トランプの狙いは仮想通貨市場から自分が好き放題現金を抜き出すためのATMと捉えていて、それを健全な市場育成というオブラートで包んでごまかしていると考えるのが普通だろう。
しかも、そのスケールはビッグで、政府が仮想通貨を準備金として扱えば政府の金を合法的に抜くことが可能になるからである。
トランプはこういう時は小さくまとめるより、でかいスケールで発言した方がよいということをこれまでの人生で学んでおり、それは下記書籍を読んでもらえればわかる話である。

【参考書籍】
トランプ自伝: 不動産王にビジネスを学ぶ

しかし、もちろんこれに皆が気づいていないほど大マヌケではなく、FTなどでは既にいくらトランプが仮想通貨市場からぶっこ抜いていて、これが問題であることをグローバルに報道している。

【参考記事】
トランプ氏のミームコイン「TRUMP」 3億5000万ドルの収益を上げる=FT報道

なので、現在仮想通貨を積極的に取引している賢い人は勝手に資金が引き抜かれないように短期でしか仮想通貨市場に留まることはないし、仮想通貨の未来を信じてガチホという人は勝手に自分の財布から現金を抜かれることを許容している人ということになるわけで、結局いかに馬鹿になっている市場から現金を引き抜くかという悪い大人ばかりが目立つサミットとなったわけで、下記過去記事の考え方のようにこのようなモラルハザードがはびこっている市場で長期投資というのはいくらなんでもチョロすぎだろと思う次第である。

【過去参考記事】
熱狂的バブル相場の天井を捉えるために見るべきモラルハザード・不正行為とは?



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仮想通貨の下落要因について、的外れ解説が続く限り再浮上することはない

ビットコインが最高値から25%超下落、仮想通貨売り加速-取引反転

的外れな解説を皆している間は仮想通貨のメルトダウンは止まらない。

足下の仮想通貨市場はメルトダウンという表現が正しく、一番流動性があるビットコインでも金曜日に8万ドルを切る展開となっており、その他はもっとひどいことになっていて、おそらく非常に高い値段で仮想通貨を買ってホールドしている人はどうすべきか右往左往している状態となっている。

【ビットコインのチャート】
タイトルなし


その注目度は非常に高く、金曜日になるとYoutubeで足下の仮想通貨(主にビットコイン)の価格下落について何が起こっているのかを解説している動画が多数投稿され、〇〇まで下がれば買い!とか長期ホールドなら大丈夫とか叫びながら、チャートによくわからない線を大量に引いたり、最近の経済ニュースをたくさん解説に混ぜ込んだりしてうにゃうにゃ言っているわけである。

【解説の例】
タイトルなし

しかし個人的に様々な下落解説を聞いてほんと意味わからんなという感想しか出なかった。 
当ブログの読者であればこれまでの記事を読んでもらえればわかる通り、足下のビットコインの下落は単純にこれまでビットコインを安値で買っている人達が悪い大人達に騙されたりハッキングされたりしてお金を盗まれるのは嫌だとモラルハザードを嫌って脱出し始めているというのが下落開始のスタート地点であった。
そしてこの脱出に伴う下落で上の価格帯で買った上に買った量とその原資はどこから来ているのかを嬉々として開示してしまった馬鹿企業どもが捕まっていることがはっきりしていて、そんなアホどもを救うようなボランティアはしたくないとスマートな人達は手を買い控えをしている一方で、上の価格帯で調子乗ってレバレッジを掛けて仮想通貨を買っている人達は借金返済の期限が迫る中でポジションの投げ売りタイミングが刻一刻と迫っている。
これが足下の仮想通貨の下落の本質でありエッセンスだと思っている。
チャートに一生懸命よくわからない線を引いたり、よく報じられている経済ニュースをてきとーにつまんで解説した挙句、本質を見ましょうみたいなことを言っている動画があったりなどして、全然理解してないのになんでこいつこんな上から目線なんやとなったりする。

まあ百歩譲ってFRBの金融政策動向は金利に影響を与えるので関係あるかもしれないが、国債入札とかトランプ関税とかどこそこ企業の決算とか一切関係ないわけで、それらを理由に足下の仮想通貨の下落を説明する的外れな解説がされている間は市場が正しく状況を認知していないので、足下のビットコインの下落は止まらないし、仮に止まったとしても再び上昇していくことはないだろうと思う。
そもそも今までビットコインを買っていたやつらが細かい経済ファンダメンタルズ気にしていたんでしたっけ?的な話であり、足下の仮想通貨価格の下落を仮想通貨システム自体の構造的問題・劣化という理由以外に下落理由を探した時点で実質的に負けだと言ってよいと思う。
このように相場が熱狂した時に何が起きたかをつぶさに観察し、下記過去記事の考え方と照らし合わせながら相場を見れば、下落が開始した時にこれはあかんわとぶん投げる決断ができるようになるだろうと思う。

【過去参考記事】
熱狂的バブル相場の天井を捉えるために見るべきモラルハザード・不正行為とは?

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仮想通貨市場の悪化はビットコイン購入を開示する愚を犯す企業に原因あり

ビットコイン9万ドル割れ、昨年11月以来の安値-仮想通貨売り広がる

金融市場でいうと明らかにおかしい挙動なんだけど、そういうのを考えない人達ばかり。

ここもとビットコインがレンジを下回る形で下落しようとしているが、当ブログではビットコインが10万ドル付近で悪い大人の謎トークン発行による資金引き抜きや北朝鮮ハッカーによる大規模ハッキングなどで、過熱している仮想通貨から現金を抜き取る事態が横行していた。
さらに考えなければいけないのが、元々仮想通貨は一部為替の代替やマネーロンダリング目的のフロー需要が根本にあり、これが仮想通貨の価値を支えているわけだが、そこから現金を抜き取られているということはマネロン費用が高くつくとして、一旦皆が資金引き揚げに動いていることが現在の仮想通貨市場のメルトダウンを生んでいると思われる。

【ビットコインのチャート】
タイトルなし


しかし、単にそれだけでなく、これまで借金をしてレバレッジをかけて大規模のビットコインを購入してきた人達がクジラ化していたことも現在の需給の悪化に拍車をかけているように思う。
なぜそう思ったのかそれについて今回まとめていきたい。

仮想通貨全般ではないものの、ビットコインについては最近多くのプレーヤーがいくら資金を調達していくらビットコインを購入したかを嬉々として開示しており、上場企業は適時開示でその情報を出していたりする。

しかし、一般的にこれは投資市場では自分を不利にするだけの御法度所作である。
なぜなら自分の手持ち資金とレバレッジがバレている状態で分不相応の多額のポジションを特定市場で持っていると、あらゆるプレーヤーから逆のポジションを取られてしまい、小さな池の大きなクジラとなってしまい身動きが取れなくなってしまった挙句、追い詰められて全ポジションをアンワインドさせられることが往々にしてあるからである。
少なくとも小さな池の大きなクジラがのたうち回っているのを獰猛な市場参加者が見逃すはずがない。

これが長年株式市場や他の金融市場で多くの屍によって築き上げられてきた知識と経験である。
しかし仮想通貨市場ではそうではない。
ビットコインを購入するにあたって、ホールセールでいくらどのような手法で調達したかを公開した挙句、しかもいくら買っているかを買うごとに毎日公開しているのである。
最初はエルサルバドルやマイクロストラテジーが行っていたが、これをメタプラネットやgumiまでがやり始めている。
特に企業でビットコインを購入している人達は最近転換社債を発行してビットコインを購入し、それによってビットコインが上昇すればさらにその株価を利用して転換社債を発行してビットコインを買うという半ばポンジスキームに近い非常に雑な投資の仕方をしている。
傍からみればやぶれかぶれもいいところである。

では、なぜわざわざ開示しているのかというと、結局ビットコイン価格を吊り上げて目立つ形でワンチャン自社株の株価を高くしたいという誘惑が大きいからだろう。
実際にこの戦略によってマイクロストラテジーやメタプラネットは多大な恩恵を受けてきたわけである。
途中でこの戦略から手を引ければ成功であるものの、もう後戻りできないレベルで深入りしてしまっている。
もはや不安定な仮想通貨の価格変化に身を委ねるしかないし、キャッシュフローがないのでバリュエーションがはかりづらい金融商品で、自分がこれだけのレバレッジを利かせて大量のビットコインを保有していますと公表することは、小さな池の大きなクジラであることを大声で言っているだけで、ここもと各社ビットコインの追加購入をことあるごとに開示しているが、結局上がるどころか下がっているのは、他のプレーヤーが意図の有無は人によって違うが大きなクジラを苦しめる形で動き始めているということだと思う。

そう考えれば、まだまだ仮想通貨市場に対しては個人的には悲観的という考え方を維持するので良いと思う。

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