村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

JREIT

ファンドTOBで活性化される割安JREIT市場

NTT都市開発R-売買停止 シトコ・トラスティーズ系が1口13万1890円で上限付きTOB

さすがに割安だという実経済的な買いが動いてきた。

上記ニュース記事はJREITであるNTT都市開発リートに対してファンドがTOBを公表というニュースである。
しかもこのTOBはどうやら同意なきTOBで、純粋にバリュエーション的に激安だから投資という側面が非常に強い案件となっている。
これを受けてNTT都市開発REITはTOB価格手前まで上昇している。(成立するかどうかは不明だが)

【NTT都市開発REITのチャート】
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さらに言えば、これによってこれまでファンダメンタルズはそこまで悪くなっていなかったのに売られすぎの割安過ぎちゃいますかねということでJREIT全体も回復し始めており、今回はこれについて書いていきたい。

【東証REIT指数のチャート】
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REITはそもそも不動産賃貸なのでインフレに対しては債券より強く、既にNAV倍率1倍を切っていて、配当利回りも5%を超えている水準になっていて、しかもEPSも着実に積み上げているのにPERなどのバリュエーションだけはコロナ禍以下レベルぐらいにまで落ちている。
もちろん日銀の利上げというのはあるが、よく比較される10年債金利は去年6月時点からせいぜい0.2%ぐらいしか動いていないし、政策金利の引き上げが1%まで進んでそのあとどうなんですか?と言われるとかなり疑問符なところがある。

そういった中で、伸びしろはともかくとして割安度が明らかである中、投資家みんなが雰囲気でJREITを売却する動きが続いていたわけである。
特に国内勢は銀行勢がメインな投資家層であるが、外債損切りと併せてJREITも損切りして円債回帰する流れができていたのか、いつまでもファンダメンタルズを無視してダラダラ下げる展開となり、これに後ろから外国人投資家もついていってしまっていた。
しかし上場株というのは金融市場と実経済の狭間にいる存在で、一定の割安度になると実経済的な投資を検討している投資家がTOBなどの手段を検討し、金をぶちこんでくる。
それが今回NTT都市開発REITの同意なきTOBに現れているわけで、これは明らかにTOBすれば利益が出るというそろばんをはじいたプレイヤーが動いたということである。
しかもJREITは似たようなバリュエーション・保有物件状況・配当利回りは多いわけで、今回のTOBプレミアムが成立すれば1割抜けるわけで、そうなると割安JREIT銘柄はどれだと皆が今度は漁り始めるわけである。

そうした浮ついた投資家に対して割安・バリュエーションアップを狙ったファンドが実弾投入による投資を開始したことは明らかに注目に値する事象であり、これで一旦割安なのになんで買われないのかといった不思議な現象は解消に向かうのではないかと思う。
また、今日のJREITの動きはAIを始めとしたグローステックがDeepseekの影響で割高を売って割安を買うトレンドも加わって再注目されるようになったこともプラスに効いたように思う。
  
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JREITをナンピン買いしていた時の気持ちを振り返る

東証REIT指数が大幅反発 「低金利環境が継続」で買い

ノーペイン・ノーゲイン。

株価が高値になっていて、この水準で追加で買う気になんないねえという中で、明らかに売られすぎで買いチャンスが巡ってきていたのがJREITであったのは、下記2/25の過去記事で書いてきた。

【過去記事再掲】

JREITはセリングクライマックスを越えたか


【東証REITETFのチャート(1343)】
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今回は自分が忘れないうちに、JREITをどのような考えでナンピン買いしていき、そのナンピン買いしている最中の感情を書いていきたいと思う。

まず1月終わりごろからJREITが急落していることは知っていて、特に2月に入ってから下落がきつくなっているのは知っていた。
この時点で売っているプレーヤーは決算月を控えた地銀と金利上昇を嫌気した外国人の機関投資家で、売っている理由は地銀は外債含み損の合わせ切りと外国人機関投資家の金融引き締め懸念売りであるということは認識していた。
過去記事にも書いているが売っているプレーヤーと売っている理由を把握し、それに対してファンダメンタルズを背景とした正統性のある売りでないと既に見切って買う準備を始めていた。
しかし、この時点ではまだ日経新聞でJREIT急落が大々的に報じられておらず、2/14より手前では基本的にまだ買いは早いと判断していた。
地銀売りの最後の玉が出てくる際は、やはり日経新聞で報じられることが重要で、それを見た地銀のお偉いさんが「ところでうちのJREITポジションどうなってるんだね?」と自己勘定部門に聞いて慌てて自己勘定部門が売りに走るところがド底を形成するのである。

その日経新聞の報道を待っていたが、過去記事にも書いた通り2/15の夜時点でJREIT安値更新のニュースがでかでかと出て、翌日の朝刊に掲載された。
そして2/16はJREITのETFの出来高が平常時より明らかに多くなってきたことから、今売っている人達のピークはかなり近づきつつあると推測した。
この時点で買い出動するすべての条件は揃ったと考え、2/16からそろりと買い出動を始めた。
ただし、底付近であったとしても地銀の決算がある3月末までまだ相当時間があったこと・日銀のマイナス金利解除が3月or4月が実施されるまでアク抜けしない可能性を考慮し、一気に買うのではなく少しずつ買い増ししていくのがよさそうだと判断した。
特に今回は順張りではなく逆張りになるので、想定外に一段下がっても買い下がれるようなナンピン買いにすべきと判断した。

そこからは毎日少しずつ買い増しをしていっていたが、毎回恒例であるもののひーひー言ってのたうち回りながらの買いとなった。
言うは易しであるが、毎日寄り天して後場にかけて売られるし、3/8~3/13にかけては底値割りそうみたいな形になり、毎日うぅぅぅとうなりながら買っていた。
買いであるとわかっていても、やはり自分の買ったポジションが買った直後から腐るのは感情的に怒りがわいてくる。
買っている最中の心情は2022年中盤~2023年序盤の米国株買いや2023年前半の日本高配当株買いと同じで、毎日自分が買っている理由は本当に合っているのかと自問自答・疑心暗鬼になりながらの買いである。
もちろん今回は既に含み益が十分にあるポジションがあるため、心情的には2022年中盤~2023年序盤と比べれば楽であったものの、やはり自分が買っているものが毎日寄り天・底値割れしかけを見るのは気分が良いものではないし、自分を否定されているようでいらいらするものである。
ようやく雰囲気が変わってきたのは3/14からで、これまで毎日寄り天食らっていたところから大陽線に変化して雰囲気が改善してきた。
そして最終的には日銀の金融決定会合前で買っていたラインより上に浮上し、日銀の金融決定会合で大暴騰して今回の買いは成功となり、あとは配当利回りを享受するだけというところまで持ち越すことができた。

このようにまず底値で買うためには売られている材料・売っている人の理由をしっかり把握することに加えて、バリュエーションの妥当性・実際投げ売りが発生しているかのニュースチェックおよび出来高確認やテクニカルの雰囲気、そして最後にはド根性で買い切って間違って底値でぶん投げないよう覚悟を決め、無理をしすぎないように資金管理をするという万全な事前準備が必要である。
しかもこれだけ準備をしていても、実際買っている最中は本当に自分は合っているのかの自問自答・疑心暗鬼を抱えながら毎日チャートを見てはため息をつきながら買いボタンを押すのである。
結局儲かる中長期資産運用は用意周到な事前準備と苦しいと思いながらの買いを続ける根性が必要であり、事前準備を怠れば買うべきでないものを買ってしまったり、まだ買うべきタイミングでないときに買ってしまい、根性がなければ目の前に落ちているお金を拾えないということになるということで、禅問答的な性格が強いんだなとあらためて思う次第である。
また、底値買いが成功した場合は、そのポジションを引っ張れるだけ引っ張るということも必要であり、安易な値段で利益確定しないように気を付けたいというのも投資技術の一つなので、こちらも気を付けていきたいところである。

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JREITはセリングクライマックスを越えたか

東証REIT指数が3年ぶり安値、日銀利上げに警戒感

まだ売りが続くかもしれないけど、ここより下は底値買いプレイヤーが出現することを期待。

株価が上昇する一方で不調続きが目立つのがJREITであり、その不調具合は下記チャートを見てもわかる次第である。

【東証REIT指数のチャート】
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このJREITの売りの犯人はわかっている。
まず間違いなく地銀である。
なぜ地銀はJREITを売却する必要性があるのか?
理由はいくつかあるが、最も大きな理由は米国債金利が前年度末(2023年3月末)と比べて高い位置にあることだと思う。

【米国5年債金利のチャート】
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金利が高いということは外債投資が損失になっているわけで、この損失はこのままだと決算に反映させなければいけない。
そうなると決算末に他に利益が出ている資産を売却と合わせて損切りすることによって帳尻を合わせなければいけない。
そして地銀のポジションは大体多い順にいうと円債>外債>JREIT>株となるわけだが、リスクウェイトの観点から考えると株を大量に持っているということはまずない。
円債はきちんと順イールドになっているので、一応満期まで持てばきちんと利益が出るはずなのでここでは売りたくない。
そうなるとJREITを売却するという結論になるわけで、全員が同じような結論になっているがために2月真ん中の週あたりからJREIT売りが多くなっていると推察される。

しかし、JREIT自体のファンダメンタルズはさほど変化していない。
別に物件価格が激しく下落しているわけでもないし、賃料収入もきちんと得られている。
そのために、単純に投資口価格だけ下落しているために、NAV0.9倍割れ・配当利回り4.75%という久方ぶりな数値になってきている。

【NAV倍率推移】
https://j-reit.jp/market/08.html

個人的には一つの投資判断基準にしている下記過去参考記事のような見方でも狙えるのではないかという水準になってきた。

【過去参考記事】
どのようにして株式相場で投げ売りされていると判断すべきか注目すべき3つのポイント

日経新聞でもJREITの不調が報じられてきていることから、誰が見てもJREITに投資需給が悪いことは明らかであるが、売っている犯人がわかっていて、売っている理由もわかっているので、あとは誰が底値をがばっと拾いにいくかを観察するだけであった。

そこでここもとはずっと東証REIT指数に連動するETFである1343の5分足を見ながら、出来高が連発して地銀が同時に損切りに追い込まれている状況+それをがばっと拾いに行くプレーヤーの出現が見れるのを待っていた。
それが出現したと思われるのが2/22の木曜日の動きで見れたのではないかと下記出来高推移と見ていて感じたので、ここでポジションをいくらか拾ってみた。

【1343の5分足チャート】
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もちろんこの判断は間違いかもしれないが、少なくともここから下の値段は配当利回り5%という水準があるわけで、積極的に底値買いしようとするプレイヤーが続出してくれる可能性は高いと思うわけで、それを背にして戦うことは十分可能だと個人的には判断している。
外国人投資家からすればドルスワップすれば配当利回り5%+為替ヘッジプレミアム5%=10%の利回りが完成するわけで、これは外国人投資家も食指が働くのではないかと期待したい。

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JREITが安定して推移している2つの大きな要因

オフィスREIT復調は本物か 還元強化で買い集まる

薄氷を踏む思いだが、各種要因で想像より強い状況が継続。

足下未だ相場は全体として軟調な状態が続いているし、各種ボラティリティが高い状況であるが、その中で一際ボラティリティが低く安定推移している資産としてはJREITが挙げられる。

【東証REIT指数のチャート】
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安定している要因について下記の2つが主な要因だと考えている。

1、ドルを保有している投資家から見ると非常に高い利回りを得られる。
現在JREITの期待配当利回りは3.5-3.6%ぐらいの範囲で推移している。
しかしこれはあくまで円ベースでの利回りであり、ドルを保有している投資家がJREITを保有してドルヘッジをかますとそこに+短期金利差が貰えるので、現状の短期金利差だとなんと利回りは7%近くになる。
(足下短期金利が急速な利上げを背景に急上昇しているので、とりあえず3%ちょい超え程度と置いている。)
米国REITの配当利回りが3%あるかないかという世界の中では利回り7%取れるREITなんてのは世界探してもそうそうない。

2、日本国債不足からJREITを購入する地銀勢
日本の銀行というのは基本的に預金を全部貸出に回すほどの貸出先がなく、じゃぶじゃぶに余らせている。
特に地銀勢が購入する10年以下の日本国債というのは無限に日銀が購入してしまっているために買えるものがすくなくなっており、困りに困っているのが現状である。
そうした中で外国債券は金利上昇で中々厳しい動きをしている中で、JREITというのは国債を購入する代わりの一定程度円ベース資産としては貴重な資産であるため、一時的に損切りをせまられても結局余剰資金の振り向け先がないのでJREITを購入することになる。

以上の2つが以前から当ブログでは示唆しているがJREITが安定した推移をしている要因だと考えている。
ただし、こうしたJREITの安定は全て日銀の金融政策が変わらないことが前提となっている。
前提が変わってしまうと、金利上昇とともにこうした為替ヘッジによって高い利回りを獲得できている外国人の撤退を促してしまうことに加えて、銀行勢が国債にポジションを振り替えてしまうためにJREITにダメージが向かってしまう可能性が高い。
なのでJREITは引き続き日銀の金融政策修正について注意が必要で、ここから買い進むのではなく3年移動平均線を割った時に偶然拾えればいいぐらいの感覚で取り組むぐらいの保守的な姿勢を維持したい。

あともう一つよくよく見ると確かに米国REITの現地通貨ベースのリターンは悪いが、円安ドル高分のリターンを加えると過去1年のリターンはJREITのリターンを超えているため、決して爆発的にリターンが良いわけではなく、あくまでボラティリティ低く安定して推移しているという話である。

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日経新聞のJREIT売り煽り記事にまた騙される地銀おじさん

「ポスト黒田」REITに緊張 海外勢、緩和持続に疑念

地銀のおじさん達は何回日経新聞に騙されてるんだよ・・・

先週金曜日に上記のように海外勢がJREITを売っているようだし、日銀がFRBのように政策撤回したら米国REITのように急落する可能性がありますよという話・とある地銀はチーム内で積極的な買いが入れずらいというコメントをしている等のまあ下落を煽る記事を全面に押し出した内容となった。

【東証REITのチャート】
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JREITで面白いのは地銀勢が多いせいなのか、相場が非常に日経新聞の報道でぶれやすく、さらにその方向は急落方向で反応しやすいことにある。
その理由は以前のブログ記事で共有させていただいた通り、地銀勢のお偉いおじさん達が日経新聞の報道を見て、運用担当者に
「ところでうちのJREIT保有状況はどうなんだね?日経新聞でこんな記事が出ているってことはまずいってことではないのかね?記事に反論できる材料がないようならポジション削減しとけよ」
と運用担当者からしたら日銀が政策撤回なんてするわけないし、もしするんだったら俺の給料もっと上がっていると思ってるんだけど違うんですかねと思いながら売却する。
こうした動きが同時に出ることからJREITは急に突拍子もないタイミングで急落したりするときがある。
今回7月1日の記事を見て全く過去と同じ地銀売りが出たりするなどしてJREITは先週金曜日やや大きめな下落となった。

しかし、基本的には安定した不動産賃貸収入を原資としているため、基本的に配当利回りやNAVというバリューアンカーが存在する。
そして結局日銀は政策撤回を今のところする可能性は全くない。
米国REITはここもとFRBの金融引き締め・急速な米債金利高・物流倉庫の余剰感から来る下落を見せたのだが、既に金利上昇緊張感はピークを越えたことから

それに7月1日の急落もちょうと3年移動平均線ちょい下までたどり着いた後は、日銀が政策撤回しないならやっぱり運用先で債券が中々選択肢に入ってこない中では安定的なインカムゲイン狙うならJREITだよねという買いが入り、結局週明け月曜日は普通に下落分を取り戻したりした。

以上から基本的にJREITについてはこのまま保有継続で問題ないと思う。
ただ上記の通りJREITについて最大のリスクはやはり日銀の政策変更が最も大きなリスクであることは間違いない。
今のところFRBの政策金利水準が後退している中もうさほど心配する必要性はないが、引き続き日銀の金融政策方向性には注意が必要だ。

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