村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

セクター投資アイデア

仮想通貨市場に資金をぶっこ抜こうとする悪い大人が続々出現

仮想通貨、新規トークン急増により評価が困難に-コインベースCEO

悪い大人が資金ぶっこぬくステージになってる。

トランプ当選の大統領選以降仮想通貨市場は盛り上がってきたが、そこに若干水を差すような事件が起きた。
それはトランプがトランプコインという自分自身のミームコインを就任前に出したことにある。
一夜にして大きい時価総額になったわけであるが、このトランプコインはSolanaチェーン上のトークンということもあってSolanaも暴騰する形となった。

【トランプコインのチャート】
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トランプコインが出てわーっと市場が盛り上がったと思ったら、そこからメラニアコインが出たと思ったらバロンコインまで出てきて、百歩譲ってトランプコインにはなにかしらの経済的意義を見出すことも可能だが、メラニアコインとかバロンコインとかお前それなんかキャピタルゲイン以外の何かリターンが存在するのか?と疑問符がつく状態になっている。

また、下記の通りFXくるみちゃんの作者が全くあずかり知らぬところでくるみちゃんコインが発行されてプライスがついていたりともはや意味がわからない状態となっている。



このように冒頭のニュース記事にあるように、謎トークンがたくさん発行されていて、コイン上場リターンを狙おうとする人達が急増しているわけである。
これは外から見ていると、なんとなく2020年に話題になったSPACと似ている白紙小切手のようなものに近いのではないかと思っている。
明確に投資家にとって価格の上下以外でリターンがあるのかどうかわからないトークンをネームだけで売りつけるという、日本でもかなり前だが話題になったVALUE的なものに近いものだなあと思っている。
そういった意味で、現在仮想通貨は皆が買いたいと盛り上がる中で、これを利用して実質的な経済価値のないトークン発行して資金ぶっこぬいてやろうという悪い人が急速に増加しているわけである。
とにかくそれっぽいものを売りつければ金になるという錬金術に悪い大人たちが着目しないわけがない。
資金ぶっこ抜いてやろうという人が増えていることは、恒常的に仮想通貨のマネーロンダリング需要に対して、実際にマネロンをしようとすると資金を引き抜く人がいる分コストが嵩む可能性がある。
そうなると、マネロン需要組も一旦様子見姿勢になる傾向は強いだろう。

今後まだ仮想通貨は上昇するかもしれないが、既に悪い大人がたくさん資金をぶっこぬくための様々な画策をしている中で、これに巻き込まれにいくのは短期でバチバチに取引できる人であればまだしも、長期投資でとかいう人はカモ以外の何物でもないように思えるチキンレース感が出てきたので、参戦するのであればそういうフェーズだという認識を持ちながらポジション繰りを考えるべきだろうと思う。

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Deepseekで米国ハイテク株の終わりという結論はあまりにも雑だと思う

DeepSeekショック、米AI株急落 NVIDIA時価91兆円消失

とりあえず現状考えていることをまとまっていないが、書けるだけ書いておこうと思う。

中国Deepseekが低コストで高パフォーマンスのAIを開発したとして、GPUを始めとした半導体需要に対する懸念てメガテックに対する収益懸念から、株価的に影響が大きかった順に書くと、半導体>AI関連設備>電力設備関連>メガテックという形で米株ハイテク中心に大幅に株価は下落した。
様子を見ていくと、相場大幅下落から1日が経ち、ナスダックも半分ほど値を戻す中で、自分の相場に対するスタンスを書いていきたいと思う。
なお、Deepseekの技術的な面は全く門外漢でわからないので、あくまで金融市場的な話にフォーカスしているという点には注意してもらいたい。

個人的な感覚としては限りなく過剰反応だと思っている。
特になぜそう思うかと言うと、今回のAI相場のスタートはそもそも事業会社による自発的な投資からスタートしているからだというところである。
例えばEVの場合はあまりにも政府補助金や政策に頼り切ったもので、顧客の真の利便性といったものについては十分な考慮されず見切り発車的にブームになったことから、欧州では政府の支援姿勢が崩れていくにつれその販売状況は芳しくなくなっていった上に、中国でもBYDがかなり無理な資金繰りをさせながら低採算で走っており、既に株価テーマとしてはまさに完全に死んだものとなっている。
一方でAIブームはOpenAIの登場からメガテックが自発的に投資を始めたわけで、政府の政策ありきからのスタートではない。
しかも、AIブームで株価上昇している銘柄についても半導体企業はともかくとして、メガテック系企業の企業価値はこれまでのクラウドサービスや広告サービスによる収益が根源にあるわけで、AIはあくまでこれらサービスの提供に使われる補助ツール的なものであり技術革新は歓迎的なものである。
そういった意味で、GAFAMが借金増やしてAI投資をする流れが止まるというのは、この辺の分野で真剣勝負している人達を侮りすぎな一般人の考え方に過ぎないように思う。
自発的に借金増やしての投資というのはそうそう簡単に終わるものでもないし、それが続く限りAIブーム相場は続く可能性の方がずっと高いと思っている。
こうした考え方については下記過去記事を読んでもらいたい。

【過去参考記事】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

また、Deepseekの発表について性能は多角的な専門領域の人達によるレビューがされているが、たった500万ドルで作ったという話・現在の価格設定で採算が成り立っているのか・みんなが同時接続した時の負荷に耐えられるのかなど、様々なことを大げさに発表してしまう中国企業のことを考えると発表を鵜呑みにするのはナイーブすぎるように思う。

こうした技術的な真偽・米企業群の動きが未確定であることに加えて、そもそもAIという分野自体が色々進化の途上の中で低コストでできることが増えることはさらにAI活用幅が広がり利益が出る形で商用化できる可能性が高まるという可能性を無視した形で売りが飛ぶのは市場の過剰反応もいいところなのではと個人的には思っている。

こうしたことを考慮しながら、相場に対する皆の反応はどうだっただろうか?
ネットではもうDeepseekの話一色という状態となっていたわけだが、見ていると売りスタンスで今まで外してきた人達がこれ見よがしに解説をするのがXでもYoutubeでも大量に出現し、みんな株が急落するのを待ち望んでいたんだなあというのが非常に透けて見える状態であった。
そこまで状況は単純でもないし、そもそも急に横から入ってきた事象についてしたり顔で解説しているところに株ベア勢に対して大きな驕りがあるように思えた。
VIXが急上昇し、実際にプットオプションでのヘッジも大量に見られる中で、てきとーに株買っとけばこんなん許されるんじゃないかとしか思えないように個人的には感じている。
むしろ適度にこういう形でガス抜き下落が発生することは、一方通行で急騰されるよりずっと長期投資しやすく、個人的には歓迎したい動きだと思う。
ただし、レバETFだとこういう大きめな上下をするだけで瞬殺されちゃったりするケースもあるし、個別株では実際にこれまでの高PERを正当化できないとなってしまう可能性もあり、個別ではどうなるかちょっとわからない部分があるが、迷ったらナスダックのノンレバETFをてきとーに買えば普通の個人投資家にとっては十分なやり方ではないかなと思う。

【ナスダック100のチャート】
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期待だけで上昇していた量子コンピューター関連銘柄が暴落

量子コンピューティング株急落、「実用化は20年先」とエヌビディアCEO

途中から夢じゃなくて妄想で取引されてる。

去年終わりごろから一部テーマ系クソ株も夢だけで株価が高騰するシーンが見られていたわけであるが、その中の一つが量子コンピューター関連銘柄である。

実際に株価高騰を見て、SBIの外国株式売買代金ランキングでもIONQとか入ったりしていて、お前ら絶対どんな企業か調べてないだろみたいなお祭り騒ぎになっている。



そしてこのIONQというのは量子コンピューター銘柄では一番有名であり、これまでバーッと株価が上昇していたのであるが、エヌビディアCEOが量子コンピューターの実用化は20年以上先という発言をしたところで爆下げとなったのである。

【IONQのチャート】
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そもそもこの量子コンピューターという投資テーマは既に一度2021年のハイパーグロース株の時代にやらかしてしまっているテーマなのである。
本当に量子コンピューターが商用化にいたる目途が立っているのであれば、2021年~2022年の時に株価があんなに暴落するわけはないのである。
2023年の時も少し夢見たと思ったらすかさずまた暴落したのであるが、2024年もまた一旦夢見たと思ったら株価が信じられないぐらい高騰したわけであるが、じゃあ本当に量子コンピューターというものが商用化できるレベルにあるのかと言われれば、この分野で一番先を進むグーグルがまだそちらに舵切っていないところを見ると、すぐ金になるとは思えないのである。
そういった意味でここ数年に盛大にやらかしたテーマなのによくそれに再チャレンジするなと個人的には思う次第である。
株は夢を持って取引されるというのはあるが、夢も行き過ぎると単なる妄想でしかない。

そこにエヌビディアCEOの発言一言で株価が何十パーセントも下がるなんてのは皆途中から妄想で株を取引きしているとしか思えないのである。
いや、正確には現物株というより動き的にはオプション使ってワンチャンやっていると考えるのが妥当だろう。
この辺のオプションが相場を変に過熱させる話は下記過去記事を読んでもらいたい。

【過去参考記事】
株価が上にも下にも行き過ぎる現象をオプション市場から考察する

ワンチャン狙いの内容スカスカ取引なので、一旦勢いが失われるとバカーっと株価は下落するわけで、ビットコイン以上に実体がない量子コンピューター銘柄の暴騰相場はこれにて終了したかなと思う次第である。
そもそもIONQの他のさらによくわからない自称量子コンピューター関連的な銘柄も全体的に上昇していたことを考えると、企業競争という観点からそんな皆儲かるという風にはならんやろという話である上に、金利上昇していて将来キャッシュフローがシビアに見られる時代にほんとよく皆やるなと思う。

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船井総研の株価から考える日本の中小型株の先行き予想

東証グロース250指数は最長の4年連続安へ、課題抱える玉石混交市場

玉石混合というより大半はウンコなんですがそれは・・・

去年の相場はほとんどの投資家にとっては良い形で終わりそうであるが、そうした中で旧マザーズ指数である東証グロース250指数は4年連続安という不名誉な形で終わりそうになっていることについて、今回まとめていきたい。

【東証グロース250指数のチャート】
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まずこの東証グロース250指数に入っている銘柄というのは、大体上場したてであるが、四季報をきちんと全部見ている人であれば容易に想像つくが、上場してくるもののほとんどがスケールしなさそうなビジネスモデル・大企業の下請け・口だけ達者で中身のない企業ばかりである。
上場の仕方を見ると実質的にVC・PEがイグジットしたいだけみたいなものさえあるわけで、それが大企業と同じバリュエーションでえええすみたいな面と株価で上場してくれば、その後はひたすらダダ売られるだけで、上場したところがピークみたいなケースが多すぎるわけである。
こうした流れに多くの投資家が呆れており、誰がグロース250全体に投資するようなことするかとブチギレていてごく一部の銘柄以外は全くの投資対象外としているわけである。

さらに言うと、中小型株のファンダメンタルズも良いとはどうも言えない状態にある。
日本の中小型株が元気がどうかというのは、実は船井総研の株価を見ていれば大体想像がつくのである。
船井総研は中小企業メインにコンサルしている企業であり、中小企業向けへセミナーも大量にやっているわけで、船井総研の株価が元気な時は中小企業が元気な時で、一方で船井総研の株価が元気がないのであれば中小企業も元気がないわけである。
そして船井総研の株価を見ると2017年以降横ばいでほぼ動いていないし、上値がびたっと蓋をされている状態である。

【船井総研の株価チャート】
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ようはひふみバブル崩壊以降、日本の中小型株については需給面・特性面・ファンダメンタルズ面いずれにおいても多くの投資家にとっては箸にも棒にもひっかかっていない状態が未だに継続しているということである。

こうしたことを総合的に考えると、日本の中小型株への投資を検討するかどうかは、船井総研の株価が最高値のラインを超えてきたことを確認してから行うので遅くなく、わざわざ株主還元が大企業と比べてしょぼいし、VC・PEの出口戦略にわざわざ使われに行く必要性はなく、来年も引き続き投資する意味なしという結論で特段問題ないだろうと思う。
 
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大手エネルギー会社でも腰が引け始めた再生可能エネルギー事業

bp and Shell decides to reduce investments in electric power industry

再生可能エネルギー黄金時代の低金利+補助金時代はもう来ない。

これまで石油企業は今後再生可能エネルギーの拡大に伴って石油需要が減少することを見越して、再生可能エネルギーへの投資を進めてきた。
しかし、いくら投資しても採算性に乗る気配がなく、一旦再生可能エネルギーの拡大ペースについて石油企業は一旦見直す必要性に迫られているという記事内容が上記ニュース記事であり、これについてまとめていきたい。

なぜ再生可能エネルギー投資が採算に乗らないのかを考えるといくつか理由がある。

まず一つ目は政治的に無計画な再生可能エネルギー偏重は安定的な電源供給という面でマイナスであり、政治的にプッシュ姿勢が以前より熱心度が下がっていることにある。
風力・太陽光発電の最大の弱点はその発電不安定性にあることは多くの人が知るところである。
そのため、欧州各国も再生可能エネルギーを増やす際はバックアップ電源との見合いで調整していく必要性があり、欧州はその議論をきちんとしないまま進めてしまったという問題がある。
そのため、足下では引き続き熱心ではあるものの、以前よりは少し一歩退いた姿勢であり、そのため補助金拡充も増えていないことから、採算について問題が生じ始めている。

二つ目に再生可能エネルギーバブルだった時代から経済環境が激変したことがある。
再生可能エネルギー発電が大幅に拡充されたのが2020~2021年のまだインフレが本格化する前+低金利だったこともあり、その時代を前提とした採算性でこれまで事業拡大してきた。
しかし、インフレ上昇により工事費が大きく増加した上に、プロジェクト投資のための借入金利が大幅に上昇したためにいきなり採算が成立しなくなってしまった。

こうした要因から以前のような計画では再生可能エネルギーは採算が取れず、石油企業は引き続き再生可能エネルギーには取り組むものの、一旦そのペースについては見直しをしようという機運になっている。

これは多くの再生可能エネルギー企業にとっては厳しい話である。
2020~2021年にみんな業容を拡大させたがために供給体制ばかりが拡充されて、需要は上記の通り絞り込まれているわけで、各業者ともになんとか自分達が生き残るために安値受注するしか生き残る手段がなくなっているのである。
そうなると利益なき繁忙となるわけで、将来のキャッシュフローも期待できず、割高PERは正当化できなくなる。

例えばクリーンエネルギー関連銘柄のETFであるICLNの原指数のPERは27倍とかという数値があるのだが、需給状況がゆるゆるな状況で利益なき繁忙でこのバリュエーションが正当化できるかというと、できるわけがないのである。
なのでICLNはもう天井から大分株価が下がっていてトランプ砲でさらに下がっているわけであるが、じゃあこれが値ごろ感だけで買えるかというと無理であり、まだ下がり続ける可能性があるわけである。

【ICLNのチャート】
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