村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

セクター投資アイデア

ソフトバンクGの今後の株価はOpenAIの評価次第

ソフトバンクG純利益2.9倍の2.9兆円 4〜9月、AI投資好調

OpenAI次第なので、ボラティリティは上がりそう。

決算シーズンが続いているが、そういった中で日経平均のウェイトが高く、ここ数ヵ月cis氏も全力で投資をしてたりということもあり、信じられないレベルの急ピッチで株価が上昇していたソフトバンクGの決算発表があったので、それを確認しながら思ったことをまとめていきたい。

ソフトバンクGはいわゆるAI関連投資会社としての確固たる地位を得ている状況であり、この分野に既に全ベットの方向に行きつつあることはほぼ市場参加者全員が知るところである。
特にここもとはOpenAIへの投資が度々ニュースを賑わせている。

そうした中で今後のソフトバンクGの資金繰り状況について決算説明会を聞きながら確認していくと下記のような動きをしていることが判明している。

【ソフトバンクGの決算資料抜粋】
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https://group.softbank/ir/presentations?year=2025&all=on#202511110000

保有資産のうちTモバイル株・エヌビディア株・ドイツテレコム株を売り、アーム株を担保に借りられるローンの枠を広げているのである。
このスライドと後藤氏の説明を聞く限りは、いつでも追加でOpenAIあるいはその周辺に金を突っ込めるように準備していることは明らかであり、OpenAIへのコミットを孫氏は強めようという意向が非常に強いことがわかると思う。

ソフトバンクグループの投資資産のNAVが36兆円ぐらいであるが、現在ソフトバンクGが保有するOpenAI株の公正価値は4兆円ぐらいになっている上に、さらに年末には追加出資を予定しているわけなので、明らかにOpenAI投資に命運をかけていることは間違いない状態になっている。

なので、今後ソフトバンクGの株価が上昇するには既にNAVに対するディスカウントが解消されている中で、世間あるいは投資家がOpenAiに対してどのような評価をするか次第という状態となっており、ソフトバンクGの株で勝負するということはOpenAIを信じるか信じないか勝負ということを意味すると思われる。
現時点でOpenAIは本当に現在の公正価値評価が正当化できるほどの収益を実現できるのかという懸念が常に市場ではつきまとっていることは確かであるし、まだその道筋が見えていないことも確かなので、今後ソフトバンクGの株価ボラティリティはこの不明瞭なOpenAIの評価によって上昇するだろうと思われる。
実際に決算直後に決算数値だけでPTSの株価が上昇した後に、実際に翌日市場が始まると大幅株価下落したのは、OpenAIの評価が全く定まっていないということに起因しているだろうと思われる。

ちなみに日経平均はソフトバンクGとさらに半導体関連株のウェイトが非常に高いということもあるので、もはや日経平均はAI指数みたいな感じになりつつあるということで、日本株全体のトレンドと度々乖離が生まれる可能性がより高まっているので、AI投資にコミットしていないのであればあまり日経平均と自分の投資パフォーマンスを比べない方が心身には良いように思う。
     
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メガテック企業の簿外で増えるデータセンター投資がバブルを助長する

メタ、米ルイジアナ州のデータセンター事業で270億ドル調達

オフバランス取引、うっ頭が・・・

ここもと米国メガテック勢がデータセンター建設をバンバン拡張しているが、その中で最近どうもそのスキームが複雑になってきているので、それについて今日まとめていきたい。

例えば上記ニュース記事にあるメタの270億ドルのデータセンター事業をぶち上げており、プロジェクト名称は「Hyperion Data Center」と名付けられており、メタ単独事業ではなく、Blue Owl Capitalと協働で行う事業となっており、JV形式となっている。
しかし、実態はメタは実質的に初期費用は実質的に20億ドルぐらいしか払わないスキームとなっており、メタから見るとオフバランスシート投資的な側面が強い。

具体的にこのハイペリオンデータセンターJVの仕組みはこうだ。
まずブルーオウルキャピタルが70億ドルの現金を出資し、このJVの持ち分80%を取得。
それに対してメタは現金を拠出せずに、土地や建物などの現物出資17.5億ドル分を拠出し、それに対してこのJVから30億ドルの配当金を一回受け取り、これにて20%の出資とする。
この取引後にJVには40億ドルの現金が残り、ここから230億ドルの借入を行うことによって最終的にデータセンターを完成に持っていくというものになる。
この時、このデータセンターが借り入れた借金はどのように支払われるかと言うと、メタが長期リース契約を行い将来の支払いを保証することによって支払い原資の確約をするわけである。
さらに、もしメタがこの長期契約リースを破棄する場合にも、建設費用の補償などをしますよというのを盛り込んでいる。
 
これはメタにとっては一発で270億ドルを払う必要性がなく、長期にわたって少しずつ支払いをすることによって、希望するデータセンター能力を手に入れられるので、自社の信用格付けを維持しながらAI用の計算能力を取得することができる。
一方でブルーオウルキャピタルやクレジット投資家はこのメタが将来的な支払いを確約しているデータセンターの資金調達に応じることによって、国債+αあるいは短期金利+αのスプレッドを獲得することができるわけであり、WIN-WINの関係にあるということである。
特に外部の投資家を集める権利をBlue Owl Capitalにあり、これによって手数料も獲得できるなど様々な特権が与えられているはずで、まさにメガテックとプライベートクレジットのセッションと言えるだろう。
ただし、これはオフバランスシート取引的な側面が強く、外からだと取引状況が非常に見えづらく、モラルハザードになりやすいというマイナス面があることには注意が必要である。

こういった簿外で色々やるというのはサブプライムローンでも見られた話ではあり、将来的に同じようなことになるかもしれないが、これ自体はまだ始まったばかりの話であり、サブプライムのような規模は今のところ存在しないし、そもそもこのデータセンターが借り入れた借金の支払い原資はメガテックによる長期リース契約から発生する支払いであるため、サブプライムローンのように支払い能力のない人を原資にしているわけではないので、現時点で過度にこれを将来の株暴落ネタだと恐れる必要性はないだろう。
それとは逆で、さらなる株高を呼び起こすものであると考えることの方が妥当であり、リスク資産の早売りをしないように気を付けたいところである。

【ナスダック100指数のチャート】
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高級ブランド企業の傲慢マーケティングの失敗はフェラーリにまで波及

伊フェラーリ、30年売上高目標が予想に届かず 株価急落

富裕層というのを雑に扱いすぎた報いでは?

以前から高級ブランド企業の株価というのが全体的に弱い動きを見せていて、もはや高級ブランド株で株価をギリギリ維持できていたのはフェラーリとエルメスの2社しかおらんやんけみたいな感じになっていた。
しかし、上記報道記事の通り、フェラーリも中長期的な業績予想がこれまでの市場予想に届かなそうとして株価は急落した。

【フェラーリの株価チャート】
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フェラーリが何を失敗したかというと、「富裕層は無条件でフェラーリのEVをどんな値段でも購入してくれる」という驕りがあったのだと思う。
特にフェラーリはこれまで何度も車両価格を引き上げてきた上に、売り方も非常に客を選別するようなやり方をしていて、自分が神様かなにかと勘違いしたような売り方が鼻につくようになっていたと思う。
そこに、さらにフェラーリ製のEVであればどんな価格でも富裕層は買うだろうという傲慢極まるマーケティングをしていたがために、客がちょっとそれはないんじゃないかと考えるようになったのだと思う。

こう考えると、富裕層も「我々が雑な消費をしてしまったがために、ブランド企業を調子乗らせてしまった」という反省があり、一旦自分の消費について見直しが入っているように思うし、無理してこういったブランド企業のものを購入していた人達は根本的に消費スタイルを見直す方向にある。
つまり時代は総コスパ社会に突入したといっていいと思う。
このコスパというのは単純に値段だけでなく、きちんと値段と品質が見合っているかということである。
この品質というのも少し前の企業の名前がうんたらかんたらというのではなく、耐久性だとか他の製品と比べて明らかに高すぎないかとかそういう比較感が加わる。

上記フェラーリでいうと、フェラーリ側はEVであれば富裕層は買うでしょという傲慢さがあったわけであるが、あまりにもEV製のフェラーリ車が高いということや充電場所も相変わらず整備がそこまで進んでいないということを考えると、いくらなんでも価格に対してのコスパが見合わないということが今回のフェラーリのEV比率の目標引き下げに表れているのだと思う。

最近になって高級ブランドで最強であるエルメスでさえ株価が微妙な動きしかしていないことを考慮すると、関税影響もあるが富裕層はいくらでも金を払ってくれるというのはいくらなんでも富裕層を馬鹿にしすぎな傲慢マーケティングが高級ブランド企業にはびこってしまい、今まさにそのツケを払うステージになっているのである。

【エルメスの株価チャート】
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アドバンテストの決算でAIブームに懐疑的だった機関投資家がギブアップ買い

アドバンテストがストップ高、最高益更新の見込み(29日の株式市場)

相当ギブアップした機関投資家が多そう。

昨日の日本株は稀に見る異常事態であった。
日経平均は+2%なのに、グロース指数がマイナスどころかTOPIXもほぼ横ばいと、中身を見るとソフトバンクGと半導体製造装置企業しか株価が上昇していないという、幅広く分散投資している人から見ればインチキ極まりない値動きとなった。

【アドバンテストの株価チャート】
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そのきっかけになったのはアドバンテストの決算で、まさにAIブームの中で製造が増えているAI関連半導体を製造するために必要なテスターを生産しているわけであるが、もうその需要が爆発的であることが決算で明らかになった。
しかもこのアドバンテストの株は日経平均に占めるウェイトが非常に高く、一般的に機関投資家のベンチマークはTOPIXではあるものの、もうこれアドバンテスト持っていないと負け確定・少なくとも半導体製造装置株は持っていないとやばいみたいな雰囲気になったのである。

こういう動きになったのは、機関投資家の多くはまだAIブームに懐疑的であることに起因しているように思う。
これまで書いてきたブログ記事を振り返ると、1年半前の2024年2月時点でまだ機関投資家のAIブームに関する考え方は下記程度の考えしかなかったわけで、1年半程度でこの懐疑的な見方はそうそう変わっていないだろうと思われる。

【過去参考記事】

プロでもきちんと認識できていない生成AIバブル


上記記事の中で有名FMの苦瓜氏はこのAIブームに懐疑的な理由としてAIブームの継続は米国メガテック勢の巨額投資が必要だとし、その継続性に疑問を持っていることを挙げている。
しかし、実際はトランプ関税の大混乱がありながら、米国メガテック勢は投資を維持するどころかより過激に積み増しに来ていることは昨今のニュースフローを見れば明らかであり、この推理は完全に外れたのである。
下記書籍を読めば分かる通り、メガテック勢はOpenAIが台頭してきた時点で衝撃を受けていたわけで、それさえ分かっていれば巨額投資を続けるなんてのは2024年時点でも容易に想像できたわけである。

【参考書籍】
イーロン・マスクを超える男 サム・アルトマン なぜ、わずか7年で奇跡の対話型AIを開発できたのか

そうした間違った判断をしていた機関投資家がギブアップ買いをすると同時に、ポジションの急速な入れ替えでその他がバカスカ売られてなんだこのインチキ相場みたいな感じになったのだと思う。
もちろん米国利下げが進んでいき、経済全体への好影響が明らかになっていけばこれまで弱かった銘柄にも御鉢が回ってくるだろうと思うが、それまでひたすらAI関連株が上昇するのを指をくわえて眺めることは、一定期間で相対的あるいは絶対的にパフォーマンスを求められる機関投資家には難しいだろうということで、足下の株式市場ではやはり中心にAIブームが続くことを考慮したポジション繰りが重要だろうと思われる。
  
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AIバブル温床のソフトバンクGが劣後債発行でさらに加速の予感

ソフトバンクG、ハイブリッド外債発行 総額4300億円

フルスロットルモードに入ってきた。

上記はソフトバンクグループが劣後債をドルとユーロ併せて4300億円の発行をしてきたということで、相当巨額な上に以前に劣後債を発行したのは確か7~8年ぐらい前だったことを考えると、思い切ったファイナンスをしてきたなと思うので、今回まとめていきたい。

このソフトバンクGの劣後債というのは一定期間発行金額の50%を株主資本に算入できるとして、投資を拡大したいけど格付けを落としたくないという時に多少追加コストを払ってもいいからという時に活用されがちなファイナンス方法であるが、ここにきていよいよAIブームの確証が得られている中で孫正義氏としてはここでドライブをかけていきたいという考えがあるのだと思う。
今のところ開示上ソフトバンクGのLTVは17%と投資家に約束している25%よりバッファーがある中で、全部普通社債でファイナンスするより劣後債でバッファーが一定程度保ちながら投資するほうがいいだろうという判断があったのだと思う。

さらに言えば、これはソフトバンクG側の都合だけでなく、投資家側も好都合だと思っている節があり、この社債調達が成功したと思われる。
S&Pの格付けがBB+とジャンク級の格付けで、かつ劣後債となるとそこから2~3ノッチも低い格付けではあるものの、ソフトバンクグループ自体は東証の中でも非常に時価総額が大きく、わけのわからない小型米国企業と比べると素性がわかっているし、既発債含めて非常に流動性があるので、ジャンククラスの中でも比較的安心して投資できる発行体だったりする。

そうしたクレジット界隈で人気がある中で、さらに金融緩和期待もあるわけで、これを機会にソフトバンクGは一気にAI投資を拡大できるだけしようと社債の発行を活発化させているわけであるが、これが続く限りはAIセクターに次々と投資資金が投じられることを意味するので、変にこの辺で打ち止めだろうと思ってAI関連銘柄の株を手放すのはもったいないだろうと思う。

逆を言えば、ソフトバンクGがAI投資するための資金調達ができなくなった時が最も相場的に危ない時なので、ソフトバンクGのファイナンス動向をモニタリングすることは足下の相場において非常に重要な作業であると言えるだろう。
まあ少なくともFRBが利上げを再開するまではみんな高利回り社債に群がる可能性は高いわけなので、とりあえず現在FRBが利下げサイクルにある中でそうそう崩れるとはちょっと考えづらいんじゃないかなあと思ったりする。

【ソフトバンクGの株価チャート】
タイトルなし

       
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