村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

世界全体観

米国の新しい住宅バブルが米国内供給能力の閾値を超えたと思われる理由

なんか一定の閾値でも存在するような気がする。

このブログでは何回も米国の輸入動向に言及してきて、これが注目点だと述べていたが、あれから色々考えていく中で一つもしかしてこういうことなのではないかと思うことがある。
それは米国内のモノの供給力の水準である。

一定程度の商品供給能力は米国内にはあることは確かである。
しかし、この閾値を超えた瞬間から米国では自前供給能力だけでは回らなくなるので輸入という形でグローバルにモノを買う動きになる。
そして直近給付金効果と住宅販売増加でモノの需要が増加し、この閾値を超えたのではないかと考えている。
特に注目すべきは過剰消費を生むきっかけになる住宅販売だろうと思っている。
その理由については下記過去参考記事を読んでもらいたい。

<過去参考記事>

住宅購入数増加と密接にリンクする米国小売統計


個人的には今の動きは非常にリーマンショック前の米国住宅バブルの時と構造が非常に似ているような気がするし、もうひとつあの時と構造が同じだと思うことがもう一つある。

<米国の中古住宅販売>
タイトルなし

<米国の新規住宅着工件数>
タイトルなし

実は米国のモノの供給力というのは2000年代前半と変化していないのではなと個人的には考えている。
それは雇用状況を見てもわかるところで、リーマンショック以降増えているのは非製造業ばかりで、製造業の雇用なんてこれっぽちも増えていなかった。
米国企業は株主還元や無形資産投資・M&Aにご熱心ではあるが、巨額に一から米国内に設備投資をしようなんて考えている企業はさほどいない。
なぜなら米国の製造業労働者は言ってはなんだが真面目さが足りなく、実はあまり働かない。
普通に中国で工場作って米国に輸出する形を取った方がコスト・効率・めんどくさい米国労働者の相手をするより楽なのである。
米国はハイパーエリートは有能な上に死ぬほど働くが、そうではない大半の人の働きぶりはレベルが低いのである。
なので、あれだけトランプ大統領がメイドインアメリカを叫んだが、誰もまともに投資などしなかったのである。

そして以上を考慮するとリーマンショック前の住宅バブルの時と現在でモノの供給能力が変化していない可能性が高いという結論に至る。
さらに、リーマン前の時も米国は国内供給だけでは賄えなくなったために海外からモノをばかすか買って、世界景気を盛り上げていた。
その閾値が中古住宅販売で年間換算600万戸、新築住宅着工件数で年間換算150万戸のところに存在しているのではと思っているのである。

つまり中古住宅販売年間換算600万戸・新築住宅着工件数年間換算150万戸から上にあぶれた分のモノ供給は海外に任され、これが米国外の景気浮揚効果として現れてくるのではないかということである。
そう考えるとこれから新興国株にワンチャンスあるのではないかというのも頭の片隅に生まれ始めている。

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米国の双子の赤字は世界経済を支えるために必要不可欠

米国の経常収支赤字の拡大 - 野村アセットマネジメント



 久しぶりに耳にした気がするが、相場的には決して悪いことではない。

足下、米国は政府が景気下支えのために巨額の財政支出をしているために巨額財政赤字になっていることと、給付金効果と住宅購入増加による商品需要の増加で輸入が大幅増加しているために経常赤字が従前より大きくなっており、財政赤字・経常赤字の双子の赤字問題が懸念されるのではないかと言われ始めている。
リーマンショック前の2005-2006年の時も似たような状況で同じような懸念がニュースを賑わせていた。

しかし、米国が双子の赤字状態になっていることは良好な世界経済の維持には必要なものであり、逆に米国が財政黒字・経常黒字になんてなった日には世界経済は大混乱に陥ることになる。
今の経済情勢では少しでも米国が財政赤字・経常赤字を縮小させる動きなんてしたらそれこそこれまでなんとか維持してきている世界経済が一気に不況に向かうことになる。
グローバルに投資している人にとっては半ば常識に近いが、普通の人にとっては感覚的には信じがたいだろう。
今回はこの理由について記載したい。

一国の資金循環は政府・企業・個人・外国との資金やり取りの4主体で成り立っている。
うち外国との資金やり取りというのは他の3主体と比べると金額が小さいので政府・企業・個人の3主体と考えてよいだろう。
政府が財政黒字ということは企業・個人から資金を吸い上げているということになる。
企業・個人の支出が過剰気味であれば問題ないのだが、それはよっぽどの好景気でなければ現在は難しく、財政黒字に近づけようとすると必然と米国は不景気に陥っていく。
これがまず米国の財政黒字がいけない理由だ。

次に米国の経常黒字がいけない理由だ。
財政黒字はまだ許せる側面があるが、米国の経常黒字は一般的にはあってはならない現象だ。
なぜなら米国が経常黒字ということは、米国が世界からドル資金を引き上げていることを意味している。
先進国はまだ影響は少なくても、大半の新興国にとってはこれは致命傷になりかねない。
なぜなら新興国は一般的に自国の通貨が国際的に信認されておらず、そのために資金をドルで借りている。
米国が世界からドル資金を引き上げているということはこのドル借入金の負担がどんどん重たくなることを意味している。
ここらへんの話はぜひとも下記記事を参考にしてもらいたい。

<過去参考記事>
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

これは覇権通貨の宿命であり、米国は自国経済を守るために常に財政赤字・経常赤字を垂れ流して、グローバルな資金供給を満たしてやる必要性がある。
なので、米国の双子の赤字というのは確かに米国内でインフレ上昇を招くかもしれないが、グローバル経済を支えるためには合理的な範囲で必要なものなのであり、米国の双子の赤字で相場に懸念が出るなんてことはよっぽど米国のインフレ率がおかしなレベルになっていなければ、So What?な話なのである。

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スローな貿易動向は構造的なもの

世界貿易、18年3%増に減速 米中摩擦で
リーマン前は貿易量の増加率は世界のGDP成長率の2倍というのが通説だった。

しかしリーマンショック以降はほぼ世界のGDP成長率程度ぐらいしか増加していない状態だ。
結局リーマンショック前までぐらいで世界的に人が相当程度豊かになり、少なくともモノは相当程度満たされている状態になっている証左になっているのだと思う。

それに足元株価的な伸長が大きいのはITというのを考えれば、IT企業自体が従来産業企業よりも設備投資額は低く、やはりモノに対する需要は以前ほどじゃないですねというのがストレートに貿易低迷に反映されているのだと思う。
今後はサービスでいかに効率良く稼いでいくかが企業にとって重要な局面になると個人的には思っている。 
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プロフィール

村越誠

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