村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

投資全体観

自作ブルベア指数の推移を見る限り、相場テンションは2022年レベル

2022年頃と市場参加者のテンションは一緒ぐらい。

引き続きトランプ関税とそれに伴う景気後退懸念ということもあり、相場は右往左往しているというのが現状認識である。

よく多くの人が市場参加者のセンチメントを見る上で参考にしているのはCNNが公表しているFear & Greed Indexだろう。
この指数は3~4月に非常に低い数値から、足下Greedレベルにまで一応回復している状態となっている。

【Fear & Greed Indexのチャート】
タイトルなし

https://edition.cnn.com/markets/fear-and-greed

個人的にも昔からこの指数を見ているが、この指数についてはやや欠陥的なところがある。
それは公表している指数計算の材料を見ると、やや短期的なセンチメントにフォーカスしているという点にある。
そのため、まだまだ上昇相場が期待できるのに指数値が変に低くなったり、逆にまだ下落相場が続いているにもかかわらず指数値はもう下落相場は終わりですよみたいな数値を出したりと、この指数値を見ているがために逆をつかれるケースが結構ある。
ようは中長期的センチメントを見極められる人にとっては有用であるが、そうでない人には間違った判断材料にもなり得るものであるわけである。

そうした意識もあり、自分では自作でブルベア指数を作成して、毎営業日その指数値を計算している。
こちらは短期的な反応よりも、より長いところにフォーカスする形で様々な指標を統計的に処理してスコア値を出している。

【自作ブルベア指数の公開HP】
https://muragoeinvest.com/bullbearindex

【計算に使用しているパーツ】
https://muragoeinvest.com/bullbearfactor

【計算方法】
https://note.com/makotomuragoe/n/n711e68ec6aae

【自作ブルベア指数の推移】
タイトルなし


現在この自作のブルベア水準は30台の数値となっており、市場センチメントは非常に低いことがわかる。
どれぐらい低いかというと2022年のFRBの苛烈な金融引き締めの時とスコア的にはほぼ一緒の数値であり、しかもその状態を脱していない。
このことは過去5年の中では相当程度市場参加者のセンチメントは低いということがわかる。

このブルベア指数のスコアは、金融危機になるようなことが起こらなければ基本的にはてきとーに買っておけばそのうち戻ってきて、最終的にはプラスリターンになるんじゃないですかねというぐらい、市場参加者の買いテンションは低い状態である。
実際にXを見ると、年初にぶいぶい言われていたレバレッジ組(特にSOXL組)や意味不明グロース株推し組は壊滅し、全体的につぶやきが元気なのは古参組と明らかなエアトレードのエアプ勢と2022年からずっと煽っている暴落煽り組の3種しかいない状態である。
2022年からポジション持ちっぱ組はせいぜい含み益が1/3~1/4削れた程度であるが、そういう人達はそんなに頻繁につぶやく人達ではないので、結局相場サイクルでよくある新参組が爆散したというだけであり、未だ相場に対するテンションはトランプ関税で低い中では雑に手元資金を時間かけながら買っても十分良いリターンになるのではないかと思っている。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

コマツ決算から考える世界景気動向

コマツ、米関税影響943億円 26年3月期の純利益30%減

金融緩和への期待が高まる。

色々企業決算が開示されていっているが、その中でも世界全体の景気を占う上で参考になる建設機械大手のコマツの決算が出てきていたので、その内容をまとめていきたい。
なぜコマツ決算を見るのが世界景気を見る上で重要なのかは、基本的にジムクレイマーの受け売りであり、その辺の話は下記参考書籍を読んでもらいたい。

【参考書籍】
全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦

決算の数字確認というより、来期の見通しどうなのよというところがメインであるため、来期の予想数値を中心に見ていきたい。

【今年度のコマツ業績見通し】
タイトルなし

今年度は売上が1割減ぐらい・利益については3割弱減ぐらいのイメージである。
おそらくだが、実際は年度後半になるにつれ上方修正が入るので、この数値より良い着地になる可能性が高いだろうが、いずれにしろ不調であることに変わりはない。

【地域別売り上げ見通し】
タイトルなし

地域別で見ても全部円高で減ということであるが、その次のページにある内訳を見ても物量差がマイナスなので、結局建設機械の状況は悪いという形になっている。

地域別の需要動向見通しを見ても、元々販売数量プラスが北米・東南アジアぐらいしかなかったのが、北米が完落ちしてしまっている見通しになっている。

【北米の見通し】
タイトルなし


さらにほぼ全地域で販売数量見通しが0%~▲5%というなんとも言えない微妙さな内容であったことから、明らかなマクロ景気の鈍化というのが見られる。
こういったことを見ると、個人的にはこれは米国関税混乱はあるだろうが、もう日銀は利上げをストップせざるを得ないし、世界中でも金融緩和が粛々と進んでいくことが想定しやすいということだと思う。

こう景気悪化というとじゃあ株売りでしょという短絡的な話になってしまう人がいるが、個人的に今回の景気悪化は金融危機に発展するようなものではないという認識をしており、株全体が下がるというより選別色が強まるという形になると思っている。
特に金融緩和効果が景気悪化影響を上回るレベルで恩恵を受ける銘柄については上昇の勢いが強まる方向なのではなと思っており、現時点で関税影響込みでもきちんと業績が揺らがないと思われる銘柄に投資をすれば、多少の上下はあるだろうが堅調推移するだろうと思われる。

実際にコマツの決算は微妙であったが、ここに自社株買いなどをぶつけて、あの決算でもまあまあな株価位置を維持しそうなことを考えると、より強い業績堅調さを維持している株はまあ大丈夫でしょうという流れだと思う。

【コマツの株価チャート】
タイトルなし


日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

アドホックな自社株買いができる企業の株を選好したいステージ

2025年の世界成長率0.5ポイント下げ IMF予測、米国にも関税が打撃

不景気の時に株主のために行動を起こしてくれる企業とそうでない企業で相当株価は変わるだろう。

上記の通り、直近でIMFが世界の経済成長率を0.5%引き下げて2.8%としており、3%という節目を割る展開となり、過去のトレンドを見るといわゆる景気後退領域に入っているという事態になっている。

こういうニュースだけ見るとすぐにもう株価はおしまいで暴落継続という人がいるが、実際は中国以外はインフレの世界になっており、過去と比べると名目の成長率は高くなっているし、中銀が色々なツールを現在は保持していることもあり、株価下落期間が長引くとすぐ1929年の株価暴落チャートとチャートを重ねて興奮しちゃう人は、下記過去参考記事でも読んで落ち着いて欲しいというところである。

【過去参考記事】
1929年~1933年の長期間大恐慌による株価暴落は現代ではよっぽどのことがなければ起こらないと考えられる理由

まあ、そういうことはさておき、少なくとも景気はトランプのせいで以前よりも弱まっていることは確実であり、2024年後半のなんでもテンションで上がるという相場ではなくなっており、選別色が強まるだろうと思う。
ではどういう順番に株価は回復していくのかというところであるが、そのヒントは金曜日の米国株であるように思えた。

米国株の主要株価指数であるダウ・S&P500・ナスダック100・ラッセル2000は関税懸念から実際に関税が発表されてから漏れなく全員同じようにばーっと下落したわけであるが、底からの回復の仕方はナスダック100>S&P500>ダウ>ラッセル2000となっている。
そして金曜日もこれとほぼ同じ流れになっていた。
これは景気が鈍化していく中で、どれだけ構成銘柄の企業が資金的な余裕があり、株価が下落している中でアドホックに自社株買いを行って企業側が株価を支える意志があるかどうかというのを投資家は見ているように思われる。
少なくとも業績が世界的な景気鈍化で伸びにくくなる可能性があるのであれば、株価が下がった時にその下落を止めてくれるように自社株買いをしてくれるのかどうかというのは非常に重要な投資ファクターになるのである。

実際に株価が暴落中に颯爽と自社株買いの上積みを発表したブロードコムの株価下落は、他の半導体株と比べるとこれまでの上昇幅を考えれば小さく、設備投資が景気不透明で決断しにくい分は株主に還元するという気力と体力を持つ株はそう簡単に暴落は継続しない。

【ブロードコムの株価チャート】
タイトルなし

逆に苦しいのはこういう状況で新しい資金調達をしなければいけない企業群であり、業績の悪化にプラスして、不安定な金融市場の中で過去より高いファイナンスコストを払う必要性に迫られるので、そういった企業はこういうフェーズでは金融緩和が相当程度進んだ段階にならないと本格的な回復は難しいと思われるので、ここからは財務諸表からいくらぐらい自社株買いを追加でできる余裕があるのかを見ながら投資を選別していくことが重要だろうと思う。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

相場の底入れには中銀のアクションが必要なステージ

【ナスダック100のチャート】
タイトルなし

日柄調整待ち。

まだまだ世界的に株価が関税懸念で厳しい動きをしている中(特に米国株)で、下記のようにインドSENSEX指数については概ね底打ちっぽい動きになり、少なくとももう下落局面ではなくなってきたかなという感触がするチャートになっている。

【SENSEXのチャート】
タイトルなし


じゃあなんでインド株が真っ先に底打ちしたんでしたっけというところでは下記過去記事の通り、インド中銀が景気サポート姿勢に転じたからである。

【過去参考記事】

前例ない中銀の国債買い入れで底入れするインド株


しかし、インド株が底入れするまでにかかった時間はそこそこ長く、9月末株価ピークから3月頭ぐらいまででおおよそ半年かかった。
4月はトランプ関税ノイズが大きく、ここは本来はインド株の情勢には根本的には関係ない影響が大きかったので、純粋なインド固有の事情で考えれば3月頭がド底と考えれば良いだろう。
この底入れまでには上記過去参考記事で書いた通り、インド中銀がバズーカ的に2月から国債買い入れを毎週のように連発させたことによるところが大きかった。
つまり真っ当にEPSが成長するポテンシャルがあるところでは、中銀が方向転換すれば株価の成長軌道が戻りやすいということがあらためて確認できたと思われる。

ただし、実際に中銀がアクションを起こすまでには株価ピークのところからそこそこ下落して明らかな景気抑制状況が見られたところからの動きになるわけで、実際にインド中銀が本格的な景気サポートに動き出したのは2025年2月からで株価ピークから5か月ぐらいかかっている。
そう考えると、日本の個人投資家の多くが気にしている米国株(特にナスダック・マグ7)については、底打ちにはFRBが金融緩和に動く姿勢を見せる必要性があり、5/17のFOMCで次回の利下げに関して明言はせずとも選択肢としては除外しない的なメッセージが出て、6月利下げ実施というのが見えてこなければいけないだろう。

インドSENSEX指数はピークからド底まで15%近く下落したので、ナスダック100やS&P500が一度ピークから瞬間風速で20%下落したことを考えると、株価の絶対的な調整幅的には十分で、あとは日柄調整待ちといったステージではないかと思う。
じゃあどれぐらいの日柄調整なんだよというところは、単純に一目均衡表見るとあと2ヵ月ぐらいかなあ~、5月FOMCがちょうど一ヵ月後ぐらいだしな~という感じの見方をしているが、日柄調整と言う面で米国株の実質的な天井を12月と見るのであればぼちぼち、2月後半と見るとちょっとまだ早いかもというところがあり、そこはなんとも言えないところである。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

トランプ関税の混乱はまだまだ続く見込み

トランプ大統領 導入予定の半導体関税措置 “来週中にも発表”

まだ諦めていないので、混乱は続く。

週末に相場の混乱に伴う是正で色々米国の関税政策に緩和修正がかかっており、一部市場参加者からはトランプがマーケットに屈したというニュアンスで報道する向きがちらほら見られた。

しかし、第一次トランプ政権をリアルタイムで体感した人から見れば、これぐらいでトランプが自分の主張している政策を完全にひっこめるとは思えないわけで、案の定月曜日からトランプ側からは免除ではなく政策調整であり関税は最終的にかけると吠えているわけで、やっぱり先行きどうなるかわかんねーなーというのが普通の感想だろうと思う。

しかし、ここまで言っていることが数日単位でころころ変わると企業側はたまったものではないという感想だろう。
特に企業側の設備投資という観点では一定程度の期間の事業環境を見通した上で決定するわけであるが、関税に絡んだ製品にかかわっている企業はもはや一体関税が最終的にどう着地するかわからないために、一旦様々な設備投資を延期せざるを得ないだろう。
サプライチェーンの再構築もトランプ政権がもうこれ以上関税政策を変えないという確固たる革新が得られるまではできないのが現状だろう。
これに伴う米国内雇用の勢いの減速感も強まる可能性が強く、これが失業率の押し上げにつながり、完全雇用未満の雇用環境になるだろうと思う。
ちなみ完全雇用の基準については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
FRBはどれぐらいの失業率で「完全雇用が達成されている」と見ているのかを考察

そういったことを考慮すると、設備投資がされない分景気減速感は加速するわけで、今年のFRBの利下げ回数は最低でも3回コースを基調として、さらに利下げ回数期待が上乗せされるかどうかというのが注目どころだろうと思う。

また相場が落ち着けば株が上昇するよりも先に金利が低下する方が先じゃないかなあと思う次第である。

【米国10年債金利のチャート】
タイトルなし

いずれにせよ現在の関税政策についてトランプ側が興味関心が薄れてこの分野のニュースヘッドラインがなくなるには、関税政策自体がMAGA信者が「お前言っていたこと完全に嘘やんけ!ふざけんな!」となる必要性があり、そのためには共和党の支持率低下が目に見える形で出るとか、失業率が上昇するなど様々な目に見える形の愚策による悪影響が出る必要性があるわけで、それに向けてどう時間を分散させながら投資資金を投下していくかというのを考えていけばいいかなと思う。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
   
記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
ツイッターで更新情報配信