村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

日本個別銘柄

信越化学ほどの超優良銘柄でも事業環境が変化すれば株価が伸びなくなる

信越化学工業の純利益12%減、4〜9月 中国供給過剰で塩ビ市況悪化

まだこの銘柄に固執している投資家は基本センスがないと思う。

高値圏で好調推移している日本株であるが、色々見ているとかつては超優良株としてもてはやされていた銘柄が実は足下ぱっとしない動向が続いていたりするということで、今回はそれについて例を挙げたいと思う。

個人的にかつて超優良株の代表格であったのだが、現時点でここ数年株価がぱっとしない代表例として信越化学が挙げられる。

【信越化学の株価チャート】
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信越化学は日本の化学メーカーの中でもダントツに利益率が高く、多くの優良株に投資すると謳っているファンドで組み入れ上位に入る企業である。
信越化学は主に塩ビとシリコンウェハーという2つを武器に利益を稼ぐ会社で、しかも非常に企業体がスリムということもありその優良さにはお墨付き的なものがあり、相場に困ったら信越化学株を買っておこうみたいな考え方も多くのファンドマネージャーは持っているかもしれない。

しかし、現在の信越化学の株価は明らかに日経平均・TOPIXに大幅劣後しており、信越化学をオーバーウェイトで持っているだけで負け確定みたいな状態になってしまっているが、なぜこうなってしまったのか?

その理由は塩ビとシリコンウェハーの両方で中国の採算度外視大増産が原因にある。
上記日経新聞記事では中国勢の塩ビ大量供給について記事は書かれているが、実はシリコンウエハーも同様に中国の国策的大増産が仕掛けられている。
それについては実はSUMCOの決算説明会ではきちんと説明がなされており、次世代産業投資だけは続けたいという中国政府の意向で化学・半導体絡みの供給設備投資が進んでいるがために、信越化学の業績を停滞させるほどの状況にしてしまっているわけである。
このシリコンウェハーの中国勢大増産についてはこの4~5年ぐらいに徐々に明らかになっていって、ここ2~3年で明らかに悪影響が大きくなっていることが確認できている。
そして中国政府の動向を考慮すると、供給増が止まるとは思えず、信越化学の業績が伸びない状況はまだ当面続きそうである。

このように優良株として名高い信越化学も、事業環境が変化すれば利益動向が芳しくなくなるわけであり、しかもこれが数ヵ月とかいう一時的ではなく、数年単位で続いているわけなので、中長期投資を謳っているファンドであれば、もちろん銘柄入れ替えをしていなければいけないはずである。
しかし上記のようにグローバルに業界動向を把握していない情報感度の低いファンドマネージャーだとこの変化を見過ごしてしまい、未だにファンド組み入れの中で高い組み入れ比率を維持したままにしてしまうという大ミスをやらかしてしまっているわけで、こういったケースがいくつか有名ファンドを見ていくと散見される。

当ブログでは具体的にどこのファンドがそうなっているかまでは列挙しないので各自が自分の目で確認していってほしいが、少なくとも現時点で組み入れ比率トップ10に未だに信越化学をポートフォリオに入れてしまっているようなファンドマネージャーは現在の相場についていけていないという判断をするので問題なく、そのようなファンドは今すぐ解約してインデックス投資に切り替えた方が良いだろう。
    
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ソフトバンクGの今後の株価はOpenAIの評価次第

ソフトバンクG純利益2.9倍の2.9兆円 4〜9月、AI投資好調

OpenAI次第なので、ボラティリティは上がりそう。

決算シーズンが続いているが、そういった中で日経平均のウェイトが高く、ここ数ヵ月cis氏も全力で投資をしてたりということもあり、信じられないレベルの急ピッチで株価が上昇していたソフトバンクGの決算発表があったので、それを確認しながら思ったことをまとめていきたい。

ソフトバンクGはいわゆるAI関連投資会社としての確固たる地位を得ている状況であり、この分野に既に全ベットの方向に行きつつあることはほぼ市場参加者全員が知るところである。
特にここもとはOpenAIへの投資が度々ニュースを賑わせている。

そうした中で今後のソフトバンクGの資金繰り状況について決算説明会を聞きながら確認していくと下記のような動きをしていることが判明している。

【ソフトバンクGの決算資料抜粋】
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https://group.softbank/ir/presentations?year=2025&all=on#202511110000

保有資産のうちTモバイル株・エヌビディア株・ドイツテレコム株を売り、アーム株を担保に借りられるローンの枠を広げているのである。
このスライドと後藤氏の説明を聞く限りは、いつでも追加でOpenAIあるいはその周辺に金を突っ込めるように準備していることは明らかであり、OpenAIへのコミットを孫氏は強めようという意向が非常に強いことがわかると思う。

ソフトバンクグループの投資資産のNAVが36兆円ぐらいであるが、現在ソフトバンクGが保有するOpenAI株の公正価値は4兆円ぐらいになっている上に、さらに年末には追加出資を予定しているわけなので、明らかにOpenAI投資に命運をかけていることは間違いない状態になっている。

なので、今後ソフトバンクGの株価が上昇するには既にNAVに対するディスカウントが解消されている中で、世間あるいは投資家がOpenAiに対してどのような評価をするか次第という状態となっており、ソフトバンクGの株で勝負するということはOpenAIを信じるか信じないか勝負ということを意味すると思われる。
現時点でOpenAIは本当に現在の公正価値評価が正当化できるほどの収益を実現できるのかという懸念が常に市場ではつきまとっていることは確かであるし、まだその道筋が見えていないことも確かなので、今後ソフトバンクGの株価ボラティリティはこの不明瞭なOpenAIの評価によって上昇するだろうと思われる。
実際に決算直後に決算数値だけでPTSの株価が上昇した後に、実際に翌日市場が始まると大幅株価下落したのは、OpenAIの評価が全く定まっていないということに起因しているだろうと思われる。

ちなみに日経平均はソフトバンクGとさらに半導体関連株のウェイトが非常に高いということもあるので、もはや日経平均はAI指数みたいな感じになりつつあるということで、日本株全体のトレンドと度々乖離が生まれる可能性がより高まっているので、AI投資にコミットしていないのであればあまり日経平均と自分の投資パフォーマンスを比べない方が心身には良いように思う。
     
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サンリオの株価は物理的な壁に直面

サンリオ株価一時15%安 再評価へAIカギ、よりファンと「仲良く」

別に決算悪いわけではないけど、これはしょうがない。

ここ数年日本株は好調な推移を続けており、数年かけてテンバガー銘柄というのも色々見られるようになっている。
その中の銘柄の一つとしてキティちゃんなどのブランド力の高いIPを持つサンリオは今では有望銘柄として有名であり、業績も非常に好調である。
しかし、サンリオの株価自体の反応は今回の決算ではあまり良くない結果となった。

【サンリオの株価チャート】
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これは決算が事前に織り込まれていたというよりも、色々比較した時にここから今までのペースで株価上昇が期待できるのかという疑念が強いのだと思う。

サンリオは非常に不調であったところから新社長の下で業績回復が進んできて、株価ド底から考えるとテンバガー以上になっているわけであるが、そうした中で時価総額は1.6兆円となっている。
時価総額1.6兆円ともなると、株価が不調だった時にキティちゃんなどのIPの潜在的なブランド力を信じるというステージはもう終わっており、様々な大企業との時価総額バリュエーションとビジネスモデルを比較していきながら、本当にこの時価総額からさらに上を狙う形で買い上がってよいのかというシビアな判断が入ってくる。
さらにPERは30倍といわゆるGAFAMと同じようなPERになっているわけであるが、じゃあGAFAMほど安定した成長が継続するのかというのも疑問であり、こうしたことを考慮した結果としてここから買い上がる向きが少ないために、このようなネガティブな株価反応になったのだろうと思う。
このように引き続き決算自体は素晴らしいのだが、サンリオ自体のビジネスモデルでリーチできる範囲や同じような時価総額を持つ企業との比較をシビアにしていった時に、これ以上能天気に上値追えるような企業かと言われるとそうではないという結論を投資家が判断を下しているわけである。

このように決算は素晴らしいけど株価が伸びなくなってきている場合はどのような立ち振る舞いをすべきだろうか?
中長期的に投資を継続するつもりで安値で買っているみたいな人であれば、現在の株価ベースでの配当利回りは1%程度だが投資簿価ベースだともっと高い配当利回りをもらえるような状態にあることから、とりあえず配当もらえればいいや的な考えで保有を継続するのはありだろう。
ただし、株価は今の最高値から1割とか下落することはざらにあるので、その辺の株価変動も許容しながらという形になる。
一方で短期で利ザヤを抜く的なスイングトレードの場合は当面株価のアップサイドポテンシャルが少なくなっているのは確かなので、そうした投資手法としてはサンリオ株への投資は不適格だろうと思う。
上昇相場の時にはけっこうこういうケースが日本株では多く見られがちであるたので、ここらへんは上手い人はこういう時に銘柄をうまく入れ替えていければいいんじゃないかなと思う。
 
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メタプラネットの底打ちはまだっぽいと思う理由

メタプラネットの企業価値、初めて保有ビットコインの価値を下回る mNAVが一時0.99に

まだ期待が残っちゃっているような。

株価は不安定ながらも大勢的にはまだノリノリな中で、メタプラネットはいよいよ保有ビットコインの時価総額換算以下の株価評価にまで時価総額は下落している。

【メタプラネットの株価チャート】
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一応下記記事の通り、一度ブームになってやらかした株の底打ち条件の最低ラインにはたどり着いたわけであり、やはり一部では底打ち期待が生じる向きもあったように思う。

【過去参考記事】
ブームからバブル崩壊したセクター・個別銘柄が最低でもピークから75%株価が下落する理由

しかし、現時点では色々見ている限りちょっと底打ちはまだ早そうだなというのをあらためて感じたので書いていきたい。

いわゆるメタプラネットは機関投資家が触る銘柄というよりは一部個人投資家が投機的に投資している銘柄であり、しかも信用買いしちゃっているケースもXを見ていると散見される。
このようにミーム化した株というのはちょっとでもこの株に未練が残っている人がいると売り処分が十分ではなく、まだ上から降ってくる売りによってどんどん株価は押される。
そして実際にXを見ると、損切りしている人は大分増えてきたが、損切りした人はどちらかというと今の状況を開き直っている的な人が多く、損切りが遅い人のように見えて実はそこそこ速い方の人達と言える。
わざわざそのような自分の恥をXで楽しそうにつぶやくのは大半は実際は致命傷を浴びておらず、お祭り的な雰囲気であったりする。
本当に損切りできない人というのはド高値で後には引けない信用買い勝負してしまっているわけで、この人達は息をひそめているのが通常である。

そうなると本当の底打ちの時はもう損切り宣言している人もほとんどいない状態である必要性があるわけであるが、Xでは損切り民に混じってホールドを宣言する人や逆に買い増しを宣言する人まで出ている。
CEOの「おはプラネット!」という言葉に罵声を浴びせたり逆にすり寄ったりみたいな全く無意味な行動をする人も未だに多く見られる中で、いわゆる注目度的には「底打ちするには随分皆株価のご執心ですな」という未だ注目度の高さが見えるので、いわゆる全ての人がもはや見向きもしなくなっているみたいな状態になっていない。

信用買いが積み重なっていることは、信用買いが一般的には期限を決められたレバレッジ買いである上に金利負担もあるわけなので、時間が経つほど含み損が重くなっていくことを考えれば、ちょうどPBR1倍的な意味合いであるmNAV1倍で底打ち期待というのは、既にmNAV2倍以上とかで買ってしまった多額の含み損を抱えている高値信用買い勢にとってはなんの慰めにもならない。
時間が経てばmNAVが1倍を切っていてもどこかのタイミングで売らざるを得ないわけであり、mNAVが1倍以下にアンダーシュートするのは決しておかしなことではない。

そういったことを考えると前回メタプラネットについて書いていた時にピークから75%株価下落した後に何回か20%下落が追加的に発生する可能性もあるかもと書いたが、既にさらにそのレベルから20%下落が1回発生しているわけで、1回で済むことも現時点ではなさそうだなあと考える方が妥当なように思う。
     
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半値八掛け二割引になったが、雰囲気的に底打ちじゃなさそうなメタプラネット

ビットコイン下落にも...メタプラネットCEO "私たちは揺らがない"

ここから大逆転っていう感じにはすぐにはならなそう。

一時期は仮想通貨を買います!というだけで上昇してきた企業が続出し、その中でもいっちゃん人気があって大注目されていたメタプラネットの株価であるが、これだけ仮想通貨買います!っていう企業が続出したのにほとんどビットコインが上昇しなかったこともあり、テーマ的に旬が過ぎた上に、そもそも保有ビットコインの時価総額と企業価値の乖離が大きすぎるという状態にまで株価が上昇し、その後株の格言でいうところの半値八掛け二割引をまさに体現する形でピークから75%の株価下落となった。

【メタプラネットの株価チャート】
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このテーマの旬が終わって中身が伴っていない企業の株というのは下記過去記事の通り、まず75%は下落するでしょという考え方にまさに合致する動きとなったわけであり、なぜこういう旬が過ぎた銘柄は75%も下落するかは下記過去記事を読んでもらいたい。

【過去参考記事】
ブームからバブル崩壊したセクター・個別銘柄が最低でもピークから75%株価が下落する理由
 
さて、一応旬が過ぎた場合の最低限の下落率は達成したわけであるが、問題はここが底打ちかどうかである。
企業価値うんぬんの問題もあるが、需給的に確認しなければいけない事項は2つあり、その点で今回はアプローチしたい。

・株価ピークから十分日柄をこなしているか?
株価が急速に下落した場合、株価が上の方で捕まっている人が多く、特にまだ信用買い残が処理しきれていないような期間の場合はまだ追証懸念で投げざるを得ないという人が相当残存してしまう。
メタプラネットは株価がピークを打ってから3ヵ月しか経っておらず、ちょっと投げ切られるにはまだ十分な日柄をこなしていないような気がする。
特にこれだけ注目されて嵌っている人がいると、最低でも半年は日柄は欲しいところである。

・ド高値掴んだ人はもう投げ売り切っている雰囲気はあるか?
さて日柄が足りないという話をしたが、もう一つはこういう銘柄の場合はもはや希望も何も残っていない状態になって、ド高値で掴んだ人が投げ切らないとなかなか底打ちしないわけであるが、ネットを観察するととにかく藁にもすがる思いで上がる材料を探したり、ちょっとした上昇で興奮したりする人が多く、そう考えるとこれでもうみんな馬鹿な価格で買ったところは投げ切られるとはやはり考えづらい。

以上の2点を考慮すると、暴落銘柄の最低限下落率75%は達成したが、十分に底打ち材料が揃い切っているとは思えないのが現状だ。
最善で現在水準ぐらいの株価から横ばいの状況継続で、最悪の場合はもう何回か一回につき2割の株価下落を食らう形の動きになるだろうと思う。
     
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