村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

債券

米ドル建て投資適格社債の利回り5%タッチでリスクテイク復活の兆し

2026 Outlook: Corporate Credit

みんな狙っているラインなんだよねえ。

ここもとの個人投資家動向でXやYoutubeなどで実力はともかくとして声がでかい人達の目はほとんどが株に向いているが、個人的に足下気になっているのはドル建て投資適格社債市場の動向である。

今米ドル社債の利回りは下記の通り、半年ぶりぐらいに5%にタッチしている。

【米国投資適格社債の利回り推移】
タイトルなし

https://fred.stlouisfed.org/series/BAMLC0A0CMEY

これは原油価格の上昇によって米国債金利が上昇していることに加えて、社債の上乗せ利回りであるスプレッドも中東情勢からのリスクオフ+大量起債が続きていることもありやや緩んだ結果、利回りが上昇したわけである。
この利回り5%というのは半年ぶりぐらいの水準であるが、この水準というのは多くの投資家にとって非常に重要な水準なのである。
ちなみに重要というのは主に必ず資金を投資しなければいけない年金や生保などの機関投資家からの立場であり、今の情勢でチキって売っちゃうような個人投資家ではない。

この必ず資金を投資しなければいけない機関投資家は年間に〇%ぐらいを目標にして運用しなければいけないといった数値目標と時間制約があるわけで、そうした中で先々いくらぐらいのパフォーマンスになるかよくわからない株だけにアロケーションをふるのは難しく、先々のリターンが見通しやすい固定利付債もミックスさせながらポートフォリオを構築していく。

そうした中でできれば固定利付債を高い利回りで買っておきたいというのは当然の話であり、さらに運用しているのも普通の人間なので、やはり5%という大台のところは意識しやすい水準であることは間違いなく、上記記事冒頭のリンクなど少し検索すれば、2025年あたりからごろごろと米ドル建て投資適格社債で5%を一つの目安として投資が推奨されやすい。

そしてこれまでは米ドル建て投資適格社債利回りが4.75%ぐらいとやや下に押されている中で、一方でAIブームを背景に企業側は社債を出したくてしょうがないといった需給状況のにらみあいが続いていて、ここもとは供給側が資金調達コストが安いとしてバンバン社債が出されている一方で、投資家側がやや様子見になっていたということもありここもとはやや押され気味であったが、原油価格の上昇やここもとのリスクオフで社債利回りが上昇したことから投資家側が望む5%利回りに達した。

絶対値利回りが5%に達して投資家の資金がバンバン入るようになると、リスクマネーが市場に投下されているのと同じであるということから自然と株価は固くなってきていて、全くイラン情勢については状況が改善していないが、皆の懸念をよそに株価は下落しそうで下落しない状態となっている大きな理由になっているように思う。

世の中機関投資家の動向を見ればわかるがバークシャーハサウェイが実質現金を大量に余らせていることからも分かる通り、投資家はパンパンにまでレバレッジを掛けているどころかじゃぶじゃぶに現金を余らせているのが現状であり、このクレジット周りが順調に買われるなら少なくとも米国株についてはそこまで大きな心配をする必要性はないのではないかと思っている。

ちなみにこのクレジット市場がどのように現実世界に影響を与えるかの基礎知識は下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
米ドル建てクレジット市場の構造と現実世界に与える影響についての基礎
 
   
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

目の前のニュースに右往左往する米債投資家はもう無視しても良いだろう

ADP National Employment Report: Private Sector Employment Increased by 37,000 Jobs in May; Annual Pay was Up 4.5%

まじで統計一発見て右往左往している感。

少し昨日の記事の補足的な感じになってしまうが、あらためて最近の米債金利の動きの意味の無さには個人的に辟易とする感触しか抱けていない。
月初1週目というのは色々米国で重要な経済統計が発表されるのだが、その中で雇用関連統計がJOLT求人・ADP雇用統計・非農業雇用者数という3つが立て続けに発表される。
その中で今月はJOLT求人が良い数値だったことで金利が上昇したと思ったら、その後のADP雇用統計の数値が悪かったとして今度は金利が下がるという、たった1日で掌返しのような取引をしている。

【米国10年債金利のチャート】
タイトルなし


こういうのを見ていると、ひと昔前は株式投資家と比べて債券投資家はスマートだと言われていたこともあるが、それはあくまで中央銀行がQEで国債買い入れをしていてボラティリティが極めて低い時期の話であり、それがなくなり10数年ぶりにQEのない世界に放り出された債券投資家は目の前に出てくる経済統計の数値一つでどたばた売ったり買ったりする長い目線で物事を考えない非常に短絡的な投資家に成り下がっている。

債券投資の世界は一般的には機関投資家の世界であるが、QE時代で金利の値幅が小さかった時代では非常に細かい数値であーだこーだと議論して投資姿勢を決めてることが重要であったわけであるが、もはやそのような時代が終わっている中で大局的に物事を見れる債券投資家が減ったことから、本来は上下に振れやすい雇用関連統計は一定程度ならしてこんなもんでしょという大局観が必要であるにもかかわらず、指標が出た瞬間に売りだー買いだーとあまりにも意味のない取引が横行してしまている。

ただし、よくよく見ると右往左往しているのは結局一定レンジでしかなく、これはレバレッジをかけて債券投資をしているヘッジファンドならともかく、一般個人投資家がもはや気にするような動きではないのである。
というより一般個人投資家はおろか、大多数の投資家から考えればもはや何か重要な変化が起こっているとは考えづらい状態にあるとしか思えず、そう考えれば今さら金利がどうこうと相場の動きについて解説している人は的外れ・時代遅れであり、金利を理由に相場に警戒せよ・株を売れという人がいる間は何を馬鹿なこと言ってんだこいつとガン無視決め込んで株を持ってればいいんじゃないのとう相場が続きそうである。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

QEがない中で不人気化する先進国超長期国債

20年債入札が記録的不調、30年など超長期利回り最高-投資家不在鮮明

時代の移り変わりによって、過去15年の通りにはいかんなというところ。

上記ニュースは日本国債の20年の超長期ゾーンの国債入札が不調であったということで、20~40年金利が上昇したという話で、市場の間でも結構話題になっているところである。

【日本国債30年金利のチャート】
タイトルなし


しかし、この超長期国債の需給の弱さは何も日本だけでなく、米国・欧州も同様な状態であり、30年の超長期国債に金融緩和が進んでいるはずなのに金利上昇圧力が働いているわけで、これは根本的に超長期国債の需給バランスが弱いということになる。

なぜそうなっているかというと、需要側の事態が変化している一方で、供給側がまだ変化についていけていないという事情がある。
リーマンショック以降の長いデフレの中で、先進各国はデフレ克服のためにQE(量的金融緩和)で中央銀行が国債買い入れを行って、経済の活性化と脱デフレに努めてきたわけである。
中央銀行が国債買い入れをすることによって、金法勢が余資を運用するためには長いところにシフトせざるを得なかったということもあり、これによってさらに過去と比べて超長期国債需要は強かったわけである。
またデフレの時代は貸出先が不足しており、余った現金も多かったことから、国債への投資が活発であったわけである。
さらに、政府側もだったら長い国債で資金調達しようという動きも活発化し、短い国債から長い国債への資金調達シフトを続けていたわけである。

しかし、下記過去記事にも書いた通り、世界はデフレからインフレに長いサイクルの中で変化しており、それに伴って中央銀行も金融緩和をやめて金融引き締めに転じている中で、QEを撤収させていっている。

【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか? 

さらにインフレということは貸出意欲も市場に出回っている資金に対して旺盛ということもあり、国債投資よりも貸出が有利という状況になっている。

これによって中央銀行がQEを辞めつつある中で、これまでのデフレからインフレへの移行の中で需要者側は長いところの国債が中央銀行がいない分弱くなるからということで様子見が強まっている。
一方で、先進各国政府はQE時代の財政ファイナンス時代が長かったこともあり、超長期国債発行を過去のテンションのまま発行しようとしているので、これで需給バランスが崩れて足下超長期国債を中心に金利上昇圧力が働いているという状態になっている。

そういった意味では真に財政懸念を持っているというよりは、単純に国債年限による需要が過去15年の超金融緩和時代の時とは異なっているが、供給側が過去15年の時と同じテンションで国債発行しようとしているがために受け皿が足りなくなっていて金利に上昇圧力が働いているということだろう。
そう考えると、超長期国債の発行金額は減らして、もう少し短いところでの起債を増やすしかないかなあと思っており、過去15年のデフレ時代のようなファイナンスの仕方はできないかなあと思う。
基本路線的には発行年限の短期化が必要だろうと思う。

個人的には政府側の認識が追い付いてきていないことが十分に読めず、超長期金利がここまで上昇するというのはあまり想定していなかったこともあり、驚いている部分がある。
直接的な投資被害はないものの、自分が様々な投資検討の選択肢の中で一つあったものの中で危ないなと思ったのは、この時代変化によって一番の損害を受けたのは米国超長期国債に3倍レバロングのETFであるTMFだろう。
個人的にも投資妙味あるかと検討したが、インフレ時代を考慮すると株の方が分がありそうだし、過去と比べてボラティリティが大きくなっているからライドしづらいなと思い、2020年にトレーディングタッチに触って以降は投資には踏み切らなかったわけであるが、持っていたら大分きつかったんではないかなと思うし、ここから投資しても相当分が悪い勝負になりそうだなと思う次第である。

【TMFのチャート】
タイトルなし

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 

CPIどころではない反応になってしまった米国長期金利

米3月CPI、前月比が約5年ぶりに下落 関税導入で改善持続に影

CPIどころではないという感じ。

相場がトランプ関税でドタバタしているが、その裏で段々存在感は薄くなっているがCPI統計があったので、一応それを振り返りたい。

内容としてはインフレは関税の影響考えなければ低下トレンドだったのになあという話となっている。
CPI総合は市場予想が前年比+2.5%に対して結果は2.4%だし、前月比ベースではマイナスであった。
さらにコアでも市場予想が前年比+3.0%に対して結果は2.8%で、かつ前月比ベースでも市場予想+0.3%から結果は+0.1%と非常に落ち着いた内容であった。
さらに中身としても家賃の伸び鈍化が継続していて、関税のドタバタがなければ順風満帆だったのにねえという話である。

ファーストインプレッション的には金利低下でいいでしょという内容であったが、ことはそう簡単ではなかった。
指標発表前から既に不穏であったが、このCPI結果にもかかわらず10年米国債金利は上昇してしまった。

【米国10年債金利のチャート】
タイトルなし


まだ10年はましな方で、TLT・TMFといった超長期債ETFがメインで組み入れている30年債なんてのはCPI下がっているし、今後関税で景気落ち込むだろという話なのに金利は上昇してしまい、TLT・TMFは株安が発生していてFRBも金融緩和姿勢なのに大ダメージを負う過去にはあまり見てこなかった異常事態になってしまっている。

【TMFのチャート】
タイトルなし

結局これは関税含めあまりにもトランプ政権の政策が予測不能であるがために、ブローカーなどもブローキングでヘッジが上手くできなくなりつつあるために取引量・在庫量を減らしている中で、米国債においてもデュレーションリスクを減らす動きが続いてしまっているということになる。
一応関税でインフレが長引きそうだという話はあるが、手前側金利は昨日の米国CPI統計で低下していることから、もはや米国短期債以外は日々レバレッジをかけて取引しているブローカーはなるべく取引をしたくないし、このボラ上昇を背景に顧客でレバレッジをかけて取引しているヘッジファンドに順にマージンコールをかけてしまったりということもあるだろう。

特に10年・30年というのは先物で大量売買が可能であるわけなので、この2つにおいて一部は中国の売りもあるだろうが、結局トランプの短絡的政策による信頼性崩壊によって米国債長期ゾーンに引き続きプレッシャーがかかっているという状態になってしまっている。
この事態を解消するには、それなりにトランプ側が切腹的な禊をする必要性があり、例えば今回のインパクト重視の馬鹿げた関税政策の決定に携わった閣僚の更迭などがその類に入るだろうと思うが、それにはまだ時間がかかるのではないかと考えている。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック

ボラでかすぎ相場で米国超長期債にも売り圧力

中国が米国債売り? 米長期金利、報復観測で急上昇

とにかくあらゆるボラリスクに対する警戒が強い。

引き続き無茶なトランプ関税政策でリスク資産価格のボラが下がらない中で、景気懸念リスクも増大しているわけなので、債券なら大丈夫だろうと見る動きも当初はあったのだが、ここにきて米国債でも超長期債がばかすか売られる事態になってきているので、今回はこれについてまとめていきたい。

一般的に米国債の超長期というと30年債が指標になるわけであるが、下記チャートを見てもらえればわかる通り、一時期30年債金利は4.3%ぐらいまで下がったところから、一気に4.8%にまで数日で上昇するという非常のボラティリティが高い動きをしている。

【米国債30年債金利のチャート】
タイトルなし

しかも、これは既にトランプ政権は一応財政赤字については3%という数字をめどにしており、タームプレミアムについては一旦剥落したという状態からこれが発生しているわけである。

その背景には、無茶な関税政策で、これまで安定的な米債消化元になっていた中国が、ここまで米国が無法をやるのであれば米国債売りも辞さないのではないかという憶測から、売りのターゲットになりそうなのが超長期債ということになっていると上記日経新聞記事では報じされている。
ただし、一応ニュースではこのように報じられているが、これは中国の売りというよりもヘッジファンドによるベーシストレードのアンワインドが主原因だと見る話がBBGニュースで流れており、超長期債のポジションアンワインドしているファンド勢がこのようなニュースをニュースで喧伝しているという考え方もできる。

いずれにしろ、あまりにも金融商品価格のボラティリティがでかすぎて、レバレッジをかけて金融市場に参戦しているプレーヤーはもはやボラが何が起こっても絶対に低いだろうと思えるものにしか逃げることができなくなっているという状態で、本来安全資産と思われている米国債の超長期でさえ避けられてきているということはさらにトランプ政権に対して今の関税政策が無茶なので早く修正しろというプレッシャーが金融市場から発せられているということだろうと思う。

ただし、そのプレッシャーがどの時点で実際にトランプ政権の姿勢に変化を促すかは不明であるため、結局相当のボラを許容できるようなポジションでないと非常に耐えづらいというのが足下の市場動向である。
そういうわけで、超長期米国債3倍レバETFのTMFの動きも急速に悪化しているのが現状であり、株が駄目だから債券でめいいっぱいリスクを取ればどうにかなるかというと、実はそうでもないというのが現状の相場の難しさであったりする。

【TMFのチャート】
タイトルなし


日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
 
記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
ツイッターで更新情報配信