村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

金利動向

米ドルMMFに待機している資金は米国債に資金移動していくだろう

米MMF、残高1000兆円と過去最高 利下げ鈍化観測で

利上げが当面ない中で、MMFより利回り高くなれば米債需要は高まるだろう。

大統領選挙以降もオールレッドに伴う財政支出懸念もありなかなか米国債利回りは長期債を中心に下がらない状態が続いている。

【米国10年債金利のチャート】
タイトルなし

この状態であることから、米国債金利についててきとーな落書きテクニカル勢がこのまま米国債金利は上に行くとかいう言説が再び復活し始めているのが観察されてきている。
しかし、FRBがじりじりと利下げを進めていく中で、資金需給を考えるとそれはないのではないかと個人的には考えているのでまとめていきたい。

なぜ米国債需給はそこまで悪くならないと考えているかと言うと、米国債へ投資したいと思っている人達は潜在的には米ドルMMFに資金を待機させており、最終的に米国長期~超長期債の利回りのアンカーとなっているのが、米ドルMMFに待機している資金だと思っているからである。
現在米ドルMMFの利回りは概ね4.2~4.6%ぐらいの範囲で推移しているわけであるが、今後この利回りはFRBが利下げしていくとじりじり下がっていく。
今のところCME開示のOISで見れる範囲だとFRBの利下げはとりあえず3.75%までぐらいはいくんではないかと見られている。
そうなると、MMFの利回りも大体その辺ぐらいになると思ってもらえればいい。

これら資金が待機しっぱなしであるわけなので、少しでもリスク対比で有利な投資先があれば、そこに資金を移していく可能性が高い。
ここで重要なのは、単に期待リターンが高いという話ではなく、リスク対比でリターンが高いというところにある。
MMFは確実性を求める資金ということもあるので、実際に資金が移動するとすれば債券へシフトする可能性が高い。
さらに債券と言えば、その移動先は米国債になる可能性が高い。

現在政策金利は下限4.5%であるわけだが、ここから25bps×2回利下げされれば、その時点で政策金利は4%で、MMF利回りも大体4%ぐらいの利回りになるだろう。
この時に米国10年債金利が4.4%・30年債金利が4.6%というのを見れば、かなり魅力的な投資先になるのではないだろうか?
少なくとも、10年債金利であれば、先々2年ぐらいはISM製造業指数が50割っている中で、そう簡単に政策金利引き上げにはならんでしょとなると、10年間4.4%が手に入れられるならMMF利回りの低下も込みで考えるとかなりお得だと考える人もそれなりに多いだろう。

というところを考えると、直近インフレ率は徐々に落ち着きながらも、雇用市場が堅調でなんとなくFRBが利下げを連続して行うにあたっての決定打が少ない中でも、利上げをするわけではないので十分MMFから米国債に資金を移動させる根拠になるし、それが米国債利回りを押し下げる要因になるだろう。

というわけで、概ね今の米国債金利水準は目先のピークだと考えている。
一部では未だにファンダメンタルズを知らない人がチャートにてきとーに線を引いてさらなる10年債利回りの上昇があるとか言い出しているが、個人的にはそうはならないと思うし、債券を落書きだけで判断しているような人は何もわかってないんだろうなと下記過去記事を読みながら思う次第である。

【過去参考記事】
債券金利をテクニカル分析だけで判断することにはほとんど意味がない理由

 
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ワクチン報道後の米債金利の居所

ちょっと米債金利の居所が変わりそうなので。

ファイザーのワクチン報道以降米金利においても本格的な経済正常化を織り込み始めているのがBEIレートの動きから確認ができる。

FRBも現時点で揃う材料ではもうおそらく過激に金利を押し下げるような追加QEはなさそうなのでBEIレートと金利の差を真剣に考える必要性が出てくるものと思われる。

5年BEIレートが1.69%、10年BEIレートが1.76%となっている中で10年金利が1%以下で済ませられるというのはやや難しいように思われる。
10年になると政策金利の引き上げ回数が複数回ある未来に到達してしまうため、10-20年金利の居所を予想するのが一番難しいように思える。

<米債10年金利>
タイトルなし


5年だと政策金利引き上げペースとの兼ね合いになるが、2023年以降に1年に1回利上げペースだと0.5-0.75%の範囲になってくる。
3年までぐらいは無反応だろうが、5年より先になるとどうしてもワクチン報道に反応してしまうことは確かだろう。

<米債5年金利>
タイトルなし

足下で30年BEIレートは2%手前ぐらいなのだが、一方でコロナ前の30年BEIレートもそれぐらいだったことを考慮すると、FRBは容易に実質金利ゼロ以上は未だリーマンショックの時並に失業者が多い中では許容しないだろう。
そうなると30年金利の居所はあって2%ぐらいといったところではなかろうか。

以上を考慮していくと
5年・・・0.5-0.75%
30年・・・上限2%アラウンド
10-20年・・・その間でどれだけベアフラット化していくかの予想次第

といった形になるのではなかろうか。
個人的には10年1.1-1.2%とかそのレベルなのかなあという感触を持っている。
よりベアフラットになると最大でBEIレートに肉薄する1.5%というのも否定はできないものの、さすがにそれは少し行き過ぎなんじゃないのとは思っている。
まあこれは明日明後日になるような数値じゃなくて少なくとも1か月ぐらいはあとになると思うので、逐次状況は要観察だと思っている。

とりあえず現状の揃っている材料ではまだ米債金利は低すぎるという感触が市場では蔓延しているのはなんとなく感じとれるところだとは思うので、米債への投資はやはり当面手控える方向でいこうと考えている。
またこの金利上昇が続く過程の中ではここ2日ほど続いているバリュー買い・グロース売りが続く可能性もあり、セクターローテーションを上手くとらえたい人は金利上昇のペースを見ながら上手く捌いていければいいんじゃないかと思う。

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