村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

為替

ドル円は160円越えはなさそうだと思う理由

アングル:日本株高、海外勢の円売り需要惹起 投機追随で影響広範に

日本株の小天井でドル円レート160円オーバーの可能性はなくなったような。

ドル円レートについては多くの投資家が注目しているところで、これまでの円安ドル高は過去20~30年にはない幅であったことから、過去2年ぐらいの相場の話題として続いていた。
これまで2022~2023年にかけてはドル円の上昇については日米金利差・貿易収支がドライブになってきていたわけだが、中途半端な金融知識を持っている人は2024年も同様に日米金利差・貿易収支が円安ドル高のドライバーになっていると勘違いしてきた。
そのため、ドル円レートが160円をオーバーするなど極論に走る人が複数出現したのがYoutubeやXなどで確認ができていた。

しかし、少し冷静になってみてみるとこれまでのドライバーについては既に変化してきていた。
日米金利差については既にFRBがピボット済みだった上に日銀の一定の金融緩和修正が見えている状況で、日米金利差は横ばい~じりじり縮小する展開に変わってきていた。
さらに、貿易収支についても中国からの製造業サプライチェーン移転効果で、九州にバンバン半導体工場が建っている上に、原発再開もあるし円安が輸出採算性を高めていることから、デジタル赤字はあるものの貿易収支は改善傾向で推移している。
そのため、既にドル円レートのドライバーは日米金利差・貿易収支ではなくなっていた。

では2024年になってからのドル円レートのドライバーはなんだったのか?
木曜日の日経平均とドル円レートを見る限り、どうやら2024年のドル円ドライバーは日本株買いであったと考えるのが妥当だろうと思われる。
具体的に言うと、海外の投資家が日経平均先物を購入して為替の効果を消すためにドル買い円売りポジションを組んでいるわけである。
なので、日経平均が上がれば上がるほどドル買い円売りポジションが増加するために、円安ドル高になるわけである。
そして、これまで当ブログでは日経平均は小天井的なものが見え始めていたと書いていたが、個人的に想定していた小天井から2000円(大反省)も上に上昇したところで、ようやく雰囲気的に買われすぎやろこんなのということで株にアンワインドの動きが出た。
さらにそこに日銀のマイナス金利解除のニュースフローがかぶさってきたことによって、2日で1円以上の円高ドル安となった。
このことから、2024年の円安ドル高要因はほぼ日経平均の上昇にあったと言ってよいだろうと思う。
そのことを理解している日銀が今回のドル円150円越えのところでは為替介入してこなかった理由はそこにあるだろうと思われる。

そうなると、これまでドル高円安ドライバーであった日米金利差・貿易収支・日本株の上昇の3要素全てが一旦息切れとなった。
もちろん全てが急激に逆回転するわけではないし、日銀も緩和的な金融政策の継続についてコミットしている。
そういったことを考えるとドル円160円オーバーというのはありえないが、では130円のアンダーシュートするような円高というのも極論だろうと思われる。

そういったことを考えれば当面のドル円レンジは140~150円で移動する可能性が高く、その範囲の動向であれば投資家的にも日銀的にも企業的にもありがたい動きなのではないかと思う。

【ドル円のチャート】
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ドル円は当面新しい材料なしで130円前後の狭いレンジ入りか

円、日銀変心で強まる先高観 投機の買い125円で加速か

手元に何かドル円を動かせる材料がない。

これまでドル高円安についてはFRBの苛烈な金融引き締めと日銀の金融緩和継続による短期金利差を材料として進行してきた。
しかしFRBの金融引き締めが止まり始めているということに加えて、為替介入と件のYCC修正ショックによってドル円は150円から132円まで修正がかかっていった。
そうしたことからこれまで円安!円安!と騒いでいたメディアが急速に今度は円高!円高!と全く逆方向への心配を急にし始めた。

【ドル円のチャート】
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しかしYCC修正ショックが起こってから2日たつが、当初は事実上の利上げだとすごい騒ぎ方をしたものの、10年国債をピンポイントでYCCで抑えるのではなくカーブ全体を日銀が国債買い入れを行って10年の歪んだカーブの修正とカーブ全体の金利を抑える方向になったということで、金融引き締めというよりYCCからQEに先祖返りしただけではなかろうかという話が徐々に浸透し始めてきている。
ようは過度に金融引き締めというのが意識されすぎだと思う。
一旦YCC修正をかけてきたことから、次になにか金融政策を変えるには先行きFRBの金融政策が変わりそうという中で日銀が決断するとは思えないし、そもそもそんな資金需給がひっ迫するほど銀行の貸し出し増加が預金増加に追い付いていないのが現状だ。

ただ、もちろん為替も気にかけていたということもあるのでドル円を円安方向に攻めると日銀の金融緩和修正が追加で働きかねないという考えをみんなが持つようになるため、先行きについては米国の短期国債金利で上下するような状態ということになりそうだ。

総合的に見れば新しいドル円を動かすカタリストが現在ない状態なように思われる。
日銀から新しい材料が提供される可能性があまりなさそうと考えると、FRBの金融引き締め策の減退待ちとなる。
しかし、それは来年の後半ごろみたいな話であり、一気にFRBの金融引き締め撤収を織り込んでドル円が急速に円高に傾くということも少し考えづらい。
一方で137円台より上でドル円をアホみたいにロングして強制追証を受けた個人投資家はかなり多く、当面円安方向に攻めるプレイヤーも今のところ見当たらないというのが現状だ。

以上から当面は130円前後を挟んだかなり狭いレンジ でのドル円の動きになると想定される。
藤巻氏みたいな円紙屑論者の言動も間違っているし、この前まで円安騒ぎをしていたメディアが急に120円を下回る円高を今度は騒ぎ立てるのも過剰としか言えないだろう。

ようは当面為替についてドル円では新しい材料は出てこなさそうだということである。


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RBAが豪州は二回利下げが必要であることを言及

RBA SoMP: Growth and inflation forecasts cut – Westpac

RBAがSoMP(Statement on Monetary Policy)にて概ねRBAの金融政策の見通しはついてきた。
まずGDP成長率は今年は0.75%引き下げ1.75%、インフレ率予想も今年は1.75%に引き下げ。
さらに今後予想するGDP成長率およびインフレ率に戻すには二回25bpsの政策金利引き下げが必要だとの言及までしている。

これにてFXで豪ドルを触っている方々のスワップポイントは少なくとも2/3になるということがほぼ決定したとみていいだろう。
業者によっては半分ぐらいに減るかもね。
引き下げが完全に終われば豪ドルにも復活の芽があるかもしれないけど、少なくともまだ一回目の利下げもしていない時点では豪ドルが上がる見込みはかなり低いと思う。
しかもそこに米中貿易摩擦の再燃もきている。
短期的な噴き上げはあるかもしれないけど、基本的には豪ドルは利下げの限界点が見えてくるまではまだ対米ドルで下落基調で推移する可能性が高いと考えるべきだろう。 

ドルの独歩高に傾きつつある雰囲気

<ドルインデックスのチャート>
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昨日のFOMCにてとりあえずすぐに利下げに今の環境ではそりゃなりませんよねというのを確認することとなった。

FOMC、米市場関係者の見方

物価見通しは引き下げてはいるが、景気については逆に上方修正してきており、とりあえず12月の景気急減速懸念というのは杞憂でしたねやれやれという総合評価になったようだ。
年末までの利下げ確率がFOMC前は69%だったのが50%まで減少。
さすがに債券投資家中心に利下げバイアスが強すぎるんではないかという雰囲気が出始めている。
直近も米国企業が再び大型買収を模索し始めるなど、再度米国の経営者は強気に傾きつつあるような雰囲気があり、なんか債券投資家が考えるような利下げするような経済環境になるという見通しからは遠ざかっているような気がする。

あとはこのあまりにも景気に弱気バイアスだったものの修正によってどれだけドルの独歩高が続くのかを考えて、どの時点で新興国がぐらつくのかをしっかり見極めておきたいと思う。

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