村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

その他先進国

オーストラリアの銀行の株価が総じて元気がない

ウエストパック銀を提訴-史上最大の資金洗浄・テロ資金防止法

オーストラリアの銀行は全体的に足元元気がない。

昨今豪州の銀行株価が非常にさえない。
四大銀行の株価いずれを見てもなんじゃこりゃというパフォーマンスしか出ていない。

<オーストラリアニュージーランド銀行の株価チャート>
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ただでさえ豪州は数年前の中国人不動産爆買いの影響を抑止するのに不動産融資規制を強化していて、そこに加えて資源バブル崩壊が加わって豪州のローン成長率が全然伸びない状態になっている。
しかもこの資源バブル崩壊を機に豪州の高金利時代は終わったと同時に昔は5-6%と先進国の中でも非常に高い金利だったのが今や米国以下の政策金利になり、たったの0.75%となったうえ、まだ下がる可能性があるということで銀行の利ザヤはバンバン縮小している。
そこに加えて四大銀行がいずれも顧客にダマテンで色々な契約を勝手に行うという信じがたい不正行為が横行していたということもあり、金融当局による検査厳格化でコスト増加+事業拡大の抑制が働いてしまっている。
そこにさらにマネーロンダリング疑惑も追加ときており、ウェストパックがまずは標的になっている。
そこに加えて資産のRWAの計算方法が厳格化されたことからCARも地味に規制ぎりぎりの数字になってしまっている。

ただテクニカル的なCARの低下ということもあり、社債投資家の方は特に慌てている気配はなく、さらに言えば減配や増資という形で株式投資家が自己資本規制をクリアするための負担をしてくれるということまで期待しているし、実際その方向に流れていっている。
そうなると配当利回りが高いと飛びついていた人達は減配はされるわ自己株買いもしてもらえないわで踏んだり蹴ったりというところだ。

つまり今の豪州の銀行は新規ローンは出せない、利ザヤはどんどん減少する、手数料ビジネスも不正発覚で拡大ストップ、管理コスト増大、罰金払わなければいけない、規制満たすための自己資本拡充のために増資しなければいけないという六重苦状態にある。
そういった意味では絶対値的な状況は違えど、方向性は欧州や日本の銀行並みに厳しい状況であり、今のところは株として投資の検討遡上にものぼらないだろうということになりそうだ。

つまりはまあ一切の希望は今のところ持てず、まずは十分減配がこれ以上はないであろうという水準にまで自己資本の拡充をしないことにはなかなか株価上昇期待というのは難しいんではないですかねということだろう。 

ニュージーランド巨大酪農企業の低迷のせいで収入が減る酪農家がぶち切れ

苦境のフォンテラ、海外事業を一転縮小
ダノン、ネスレに挑戦、夢破れたNZ乳業最大手

あー、これ気づいてたらNZドル売り自信あったのになあと。

ニュージーランドの酪農大手フォンテラが海外投資で大損こいて株価が半値になったという話だ。
フォンテラはいわゆるニュージーランドの酪農を牛耳る半公共的企業で、NZのGDPの1割弱、輸出の2割ぐらいを担う酪農会のドンである。
NZは広い牧草地帯に乳牛を放牧させるという低コスト酪農を売りに世界中に乳製品を売りさばいており、世界的にも競争力のある分野だ。

ただしNZにとってはそれしか国際的な強みがないといえばない。
またこのフォンテラは上場しているが、上場している株はNZの酪農家(おそらくほぼ全員)が持っている。
今はちょっとどうか知らないが、数年前までは酪農家はフォンテラへの売却牛乳量に比例してフォンテラの株を取得するのが義務付けられていた。
酪農家は売却した牛乳の代金だけでなく、フォンテラから配当金を受け取るというのも重要な収入源になっている。

さてここでフォンテラに話を戻すが、ここ15年ぐらいはフォンテラもダノンのように事業の国際化というのを強く意識しており、海外での事業を画策すべく、海外の乳製品食品会社の買収や酪農場の買収など行ってきた。
特に南米や中国といったこれから乳製品需要が伸びるというところへの買収を積極的に行ってきた。
その戦略自体は至極真っ当な戦略であることは確かであったが、結果は見るも無残なもので数年ごとに現地で様々な問題が起きるたびに減損を食らう羽目になった。

結局フォンテラは国内の低コスト酪農に胡坐をかいているだけで、グローバルにビジネスをマネジメントする力なんて一ミリもなく、単にニュージーランド酪農家のお金を無駄に海外にばらまいただけで、何も残らないという結果になったということだ。
特に今回は中国・南米の現地法人から総撤退するレベルでの減損を出してしまい、新CEOになってからもう海外買収を基にした戦略はやめると明言しており、完全にフォンテラは海外現地でマーケティングや酪農をやるということ自体をあきらめたようだ。

<フォンテラ株式組合のチャート>
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これによってフォンテラの株価は去年の水準から半値近くまで下がり、配当も削られることになる。
もちろん配当が減るのであれば、NZの個人消費は下がるわけで経済成長も落ちるわけだから、想像以上に金融緩和が進んでNZドルが下落することなんて読めたじゃないかといまさら地団駄を踏んでいるわけで。
このフォンテラの状況を知っていれば個人消費低迷からNZの利下げなんてすぐ読めたじゃないかと今更ながら自分の間抜けさに腹が立つ次第である。 

市場は二回利下げ後のオーストラリアについて考えている

豪政策金利、さらに低下する可能性=ロウ中銀総裁

オーストラリアのRBA中銀は市場の予想通り25bpsの利下げを行い政策金利は1.25%となった。
ほぼ市場には織り込み切っていたことから、豪ドルは対米ドルではほぼ動かずという展開になり、市場自体もすでに先の1回利下げぐらいは織り込んでいることに加えて、声明文にはあまり次の利下げ時期の時期がまあ8月かそこらじゃないですかねぐらいの材料しか見つけることができなかったことから一旦は対米ドルに対する豪ドル安は止まる展開となった。

<AUDUSDのチャート>
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しかし苦しいのは豪ドル長期投資派であろう。
今の流れだとまず間違いなく今年中にもう一回の利下げを食らうことになる。
豪ドルはとりあえず対米ドルで当面動かない可能性は高いものの、当初考えていた金利差分の収入は2/3の水準になってしまった。
ちょっとの値下がりでも投資回収までにかかる時間軸が伸びてしまうことはかなり苦しい。
とりあえず当面対円での豪ドル長期投資はなかなか報われない展開が続くことが見込まれそうだ。
(短期的なあや戻しはあるかもしれないが) 
とりあえず市場は二回の利下げを行ったのち、さらに次の利下げ可能性がどれぐらいあるのかについて考えをめぐらしているところだ。 

RBAが豪州は二回利下げが必要であることを言及

RBA SoMP: Growth and inflation forecasts cut – Westpac

RBAがSoMP(Statement on Monetary Policy)にて概ねRBAの金融政策の見通しはついてきた。
まずGDP成長率は今年は0.75%引き下げ1.75%、インフレ率予想も今年は1.75%に引き下げ。
さらに今後予想するGDP成長率およびインフレ率に戻すには二回25bpsの政策金利引き下げが必要だとの言及までしている。

これにてFXで豪ドルを触っている方々のスワップポイントは少なくとも2/3になるということがほぼ決定したとみていいだろう。
業者によっては半分ぐらいに減るかもね。
引き下げが完全に終われば豪ドルにも復活の芽があるかもしれないけど、少なくともまだ一回目の利下げもしていない時点では豪ドルが上がる見込みはかなり低いと思う。
しかもそこに米中貿易摩擦の再燃もきている。
短期的な噴き上げはあるかもしれないけど、基本的には豪ドルは利下げの限界点が見えてくるまではまだ対米ドルで下落基調で推移する可能性が高いと考えるべきだろう。 

シンガポールでも起こるREITとスポンサーの利益相反

伊勢丹、ウエストゲート店を年内に閉鎖

よくREITについてはスポンサーと受益権者で利益相反があるという懸念があるが、こと整備が進んでいるはずのシンガポールのREITでも平気で利益相反が行われる事例が出ている。

キャピタランドは傘下にキャピタランドモールトラストというショッピングモールREITがあるのだが、2018年10月にジュロンイーストにあるウエストゲートというショッピングモールをキャピタランドはREITへ売却している。

CapitaLand Mall Trust to buy remaining 70% stake in Westgate

しかし、ここにきて主要テナントであり、2012年から賃貸していた伊勢丹が契約を更新せず、このショッピングモールからの撤退を決めたようだ。
これは十中八九キャピタランド側は伊勢丹がテナントから撤退することを知っていて、自分のところでダメージを受けるのは嫌だからこれを傘下のキャピタランドモールトラストに押し付けたという理解でほぼ間違いないだろう。
ちょっとさすがにこれは露骨すぎてREIT受益者はツッコミを入れたら経営陣は耐えられるのだろうか? 
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村越誠

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