村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

地政学

協議は続いているが、振り出しに戻った米国とイランの停戦協議

米軍、イランとの戦闘で2日連続の死者 高まる大規模報復のリスク

実質振り出しの戻った。

これまで相場では米国とイランが停戦に向かって動いていることをいつの間にか全面的に信じて動いていたが、ここ2週間ぐらいでどうやら事態は結局長引きそうという状態になっているわけで、これについてまとめていきたい。

どこらへんが米国・イラン停戦協議のターニングポイントだったかというとホメイニ氏の国葬らへんであったかなあと思っている。
米国側はベネズエラのようにイランも国内が疲弊しているので、トップにうんざりしている国民が支持しないということを前提に動いている節があったが、国葬の雰囲気を見る限りそうはならなそうという状態であることが明らかになった。
そうした中で、イラン側も停戦協議内容に全く妥協が見られていない状態にあり、追加的に攻撃を加えないと妥協を引っ張り出せないということで再攻撃に移ったように思う。

つまり実質的に協議が決裂しているということにある。
一応水面下では続いていて、いつでも両者は交渉テーブルに着く準備は出来ていると思うが、それでも停戦協議は実質振り出しに戻ったと考えるのでよいと思う。

これに伴う原油価格動向についてはどうなりそうなのか?

【WTI原油価格のチャート】
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まずWTIベースで100~110ドルというレンジは当初ホルムズ海峡が封鎖されて慌てた先物手当ポジションが殺到したことによる影響が大きい。
エネルギー関連報道を見ていると、ホルムズ海峡開放はもはやあてにしていないといったコメントがほとんどであり、既に代替調達および調達ルート変更が進んでいるため、以前よりショック度は弱まっている。

しかし、一方でWTIベースで70ドル台に入った時には、ホルムズ海峡開放が前提シナリオになっていたことに加えて、それによって原油供給はあまるといった見通しが数多く出ていて、原油が余るシナリオにベットされたポジション動向も発生していたように思われ、これがアンワインドされやすい。
それに足下のエネルギー需給サイクル的には、下記過去記事の考え方をして考察すると、下がるよりもやや上がる方にやや軍配がある状態で、少し前の安い原油価格に戻るという考え方はやはりナイーヴすぎると思っている。

【過去参考記事】
原油・ガス価格の先行きを予想するために注目すべきエネルギー需給サイクルとは?

以上を考慮すると原油価格は当面80~90ドルぐらいで推移すると考えるのが妥当なように思う。
今回のホルムズ海峡が当面封鎖されたままというのが致命的に原油価格上昇に効くというのであれば、もう米国債金利はもっと上にぶっ飛んでいるはずなので、一応世界はこのニューノーマルに対応できるように動いてはいるものの、リスク資産などはかなりこのホルムズ海峡全面開放シナリオを織り込んでいたということもあり、その分調整するのはやむなしと言えるだろう。


     
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米国がイラン攻撃を開始して1週間を振り返り

イラン報復攻撃が湾岸全域に 対立の時代に逆戻り、投資頼みの経済打撃

あらためて振り返り。

まず今回の米国のイラン攻撃については、米国単独で決めたわけではなく、サウジの強い要望があったことが上記日経新聞記事でも報道されている。
イスラエル・サウジアラビアの強い要望があって実行したという形であるようの思われ、必ずしもトランプの暴走だというのはちょっとトランプに対する先入観が強すぎるかなと思う。
(とはいえ、トランプじゃなかったら攻撃を控えていた可能性はあるだろうけど)

なので、イランに対する攻撃はいつか避けられない道だったのではないかとも思う。
そして米国がイランを攻撃する中で、イランは手あたり次第に原油関連施設へ攻撃を仕掛けているわけだが、これは短期的にはイランが体制維持の力を見せつける効果はあるが、中長期的に言えばイランの孤立化を早めてしまっているだけの短絡的なものになっている。
特にこれまで一定程度肩を持ってくれていたカタールも攻撃対象になったせいでカタールはブチギレていて、今後一切肩を持たないみたいな状態になっている。

さてこうした中で、まだイランの脅迫によるホルムズ海峡の航行不能状況は続いており、原油価格と欧州ガス価格の上昇影響が続いている。

【欧州ガス価格の推移】
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これはカタールからのLNGがホルムズ海峡を通って欧州に回っているので、その悪影響が露骨に出ているわけである。
このように欧州へは確実に混乱をもたらしているわけだが、一方で米国のヘンリーハブガス価格の方は全くの無風である。

【ヘンリーハブガス価格の推移】

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米国は国内およびカナダからの天然ガスで全て賄っており、最大の問題は原油価格からの影響に限定される。

こういった意味で、ガス価格に限って話をすると、ロシアのウクライナ侵攻と比べると米国のイラン攻撃のエネルギー価格への衝撃というのは低いという評価ができる。
少なくとも米国は欧州と比べればそのインパクトは相当低いだろう。

とはいえ、原油は既にロシアのウクライナ侵攻インパクトの時の半分ぐらいまで来てしまっているので、一番米国民の生活に直結するガソリン価格への影響は避けられず、やはり相場が落ち着くにはホルムズ海峡が航行可能になる必要性があるだろう。

なので、ウォッチすべき動きとしてはイランがアラブ諸国に打ち込んでいるドローンとミサイルの量がどういうペースで減少しているかが重要となっている。
これがゼロに近づけば、たとえイランが徹底抗戦の構えを示していたとしても、ホルムズ海峡を石油・LNGタンカーが通過することは可能なので、エネルギー価格の高騰は落ち着くものと見られる。
イランの原油輸出の減少という影響はあるが、OPEC自体が現在余剰生産能力を抱えているので、みんな喜んで増産するので、エネルギー価格もこれ以上斜め上の想定外に上昇するということもないだろう。
    
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米国・イスラエルのイラン攻撃は相場を動かすのか?

原油90ドル超まで上昇も、ホルムズ海峡封鎖なら 米・イスラエル攻撃

意味ない試算しても投資では勝てない。

土曜日でのんびりしていたところに、米国・イスラエルがイランに攻撃をしたとして、すわ地政学リスクが急上昇だ的な話がわーっと上記日経新聞記事のように広がった。
しかし、現在の国際情勢を考慮するとイランがホルムズ海峡封鎖を実際にできる可能性は相当低いのでないかと思っており、数日したら市場はもう完全に忘れる話になるのではないかと思っているので、それについてまとめていきたい。

まずイランは以前と比べて非常に経済自体も国際情勢上も立場が弱くなっている。
理由の一つ目がもともとバックにいたロシアがウクライナ戦争に全てのリソースを割かれてしまっているがために、イランにロシア製の兵器が入ってきていないことにある。
というよりもイランがロシアに兵器提供しているレベルでロシアが疲弊しており、イランは戦争に必要な物資補給が途絶えてしまった。

さらに周辺アラブ諸国がイランに向けている目線も非常に冷たい。
これまで長年イランはアラブ諸国にいるテロリストに資金を提供することによって革命を輸出するという名目であらゆるテロリストに資金提供していたわけであるが、これまで長くやりすぎたために周辺アラブ諸国はなんやあいつみたいな状態になっていた。
ただ、イラン自体が人口7000万人いるでかい国であることに加えて、ロシアがバックにいたことからアンタッチャブルなことになって、米国側にはなるべく刺激しないでくれという形で影響行使を思いとどまらせていた。
しかし、ロシアからの援助が途絶えた上に、米国からの経済制裁強化でぎりぎりまで締め付けられているために、テロリストへの援助も急速にしぼんでいく中で、周辺に与える影響力が大幅に削がれた今、周辺アラブ諸国のイランに対する恐怖は大幅に薄れ、できるならここらへんで誰かあいつどーにかしてくんねーかみたいな冷淡な状況になっていった。

そして、最近のイラン国内経済は国民を十分になだめられないレベルで生活必需品供給がひっ迫するほど困窮しており、国民からも政権支持は大幅に減退している状態にあった。

以上を考慮していくと、イランの反撃能力が限定的であることを十分に確認したことに加えて、他のアラブ諸国もあいつどーにかなんねーかなーと思っていた中での黙認ということも確認した上で、今回米国・イスラエルの攻撃が決定されていると思われる。
つまり、ホルムズ海峡封鎖の可能性は現実的に想定する必要性はないはずで、試算するだけ正直無駄なシミュレーションだろうと思っている。
(足下で起こっているのはあくまで船舶待機であり、実際に封鎖されているわけではない)

そして毎回不思議なのだが、原油のサプライチェーンが停止しないことを考慮すれば戦争は買いなのに地政学リスクの勃発だということでサンデーダウやらサンデーナスダックは下落しているという条件反射となっており、イスラエルの株価が下落するならともかく、米国本土に何の関係もないのに条件反射で株売りになるのは、全く投資家がロシアのウクライナ侵攻でも米国株価にほとんど関係なかったことをすっかり忘れていて何も学んでいないことの証左だろう。

【サンデーダウとサンデーナスダックの推移】
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なお、中国はどうなんだと思う人はいるかもしれないが、中国は国内の景況感悪化で遠い国の相手をしている場合じゃないし、最近の中国は口だけ番長で外交面ではおそらく諸外国から内心馬鹿にされている状態なので、この件については実質だんまりみたいな状態だろうと思う。

総じてみると下記過去記事のように、反米独裁国家は自分達の実力を過信して今に至っているように思うわけで、相場を動かす材料とはならなくなってきているように思う。

【過去参考記事】
なぜ中国・ロシアなどの反米独裁国家の没落が始まったのか?

ただし、これは相場的に関係ないだけで、政治議論とは異なる話になるので、政治は政治の立場にたった独裁国家脅威論の議論は続くだろうと思う。     

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軍部に愛想尽かれて命運が尽きたベネズエラのマドゥロ大統領

トランプ米大統領「ベネズエラに大規模攻撃、マドゥロ大統領を拘束」

ベネズエラ軍部もマドゥロに愛想が尽きたか。

年初からCOMEXの証拠金うんぬんでバタバタしているなあと思っている中、今度は休日ではあるものの米国がベネズエラのマドゥロ大統領を拘束したという派手なヘッドラインが出てきたので、これについてまとめていきたい。

当ブログでは何回かベネズエラについて数年前に話題にしたことがあったが、チャベスが大統領についてからはまあこんなにもでたらめな政策ができるのかとびっくりするほどありえない雑な政策によって、膨大な埋蔵石油というポテンシャルを全くいかせずに没落していった国家である。
当初はキューバ、その後はロシア・中国から反米国家という御旗を掲げながら石油をバーターにしながら資金供給を受けていたが、最大の資金供給源である石油開発について国有企業PDVSAの開発資金を使って無制限ばらまき政策をしていたこともあり、石油生産が細る中で、さらにでたらめな経済政策によって国内産業が収縮していく中で全く返済目途が立たなくなり、キューバ以外からは全く愛想をつかれる展開となっていた。

国内でもさすがにチャベスの死後にマドゥロが大統領となって以降、荒唐無稽のでたらめ経済政策がチャベス時代から引き継がれる形で継続され、あまりの困窮状態となったことから国内で反政府デモが大規模に展開されたものの、マドゥロ政権と軍部の癒着が強く、一方で反政府側には何の後ろ盾もなかったことから軍部に鎮圧される形で圧制されていた。
これが2019年ぐらいの時の状態で、その後国際社会からの存在感が全く薄くなったし、その後のコロナ禍とかインフレ大幅上昇とか様々なニュースフローが流れていく中で、ベネズエラ関連のニュースフローは全く目をひくものではなくなっていった。

ちなみにベネズエラのでたらめ具合は下記書籍などを参考にしてもらいたい。

【参考書籍】
ベネズエラ―溶解する民主主義、破綻する経済

ここで重要なことは、ベネズエラのでたらめ独裁状態は政権と軍部の癒着によって構築されており、政権が軍部へ利益供与をしないと成立しないという構造にあった。
当初は石油、その後は麻薬や武器取引などで利益供与を続けていたわけであるが、石油はまだ真っ当な商ビジネスであった一方で、麻薬や武器取引はもはや真っ当とはいえず、米国をはじめ外堀が埋められる形で徐々にその商範囲は縮小していたのが最近の流れである。

ということは徐々に政権側が軍部に利益供与できなくなっていったわけであり、ここをうまく米国側はついたのではないかというのが今回の電撃的な大統領拘束にあったのではないかと思う。
つまり、既にベネズエラ軍部はマドゥロ政権から十分な利益供与を得られなくなっており、このままだとじり貧+マドゥロ政権が倒れた場合に自分達も巻き込まれる可能性を危惧し、米国側との交渉を通じてマドゥロを差し出す代わりに自分達の無罪放免を申し出たのではないかと思う。
そうでもしないと、このような首都圏に米国側に被害なしで大統領拘束なんてことはできるわけがなく、そういった意味でこれまでマドゥロ政権を支えていた最後の柱である軍が米国側に寝返ったと考えるのが妥当である。

これに対してロシアはそもそもウクライナで手一杯、中国はそもそも借金踏み倒されている上に自国経済のことで手一杯、キューバはベネズエラの寄生虫みたいな立場で何かできることは一切ないということでマドゥロの命運も尽きたというのが今回の話である。

ヘッドラインは派手であるが、じゃあ相場に与える影響はどれぐらいあるかというのが投資的には重要だが、若干原油価格上昇の影響はあるだろうが、その他はほぼ影響なしだろうと思われる。
ベネズエラが石油埋蔵量が世界最大といっても、でたらめ政治に伴って生産がほぼグローバルに影響しないレベルにまで低下していたし、ロシア・中国はもはやベネズエラからの資金回収は諦めて放置していたわけだし、中南米各国ともあの国どうになんねーかなとずっと思われていた鼻つまみ国家だったということもあり、ニュースヘッドラインは中々に衝撃的であったものの、さしたる軍部の抵抗もなくマドゥロ氏を拘束したということは十分な米国の根回しがあってこの作戦が実施されたことを意味するわけで、相場への影響は若干原油価格が上昇するかどうかぐらいの影響ぐらいしかないだろうと想定される。

【WTI原油価格のチャート】
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威勢は口だけのイランの実状

国連安保理が緊急会合 米のイラン核施設攻撃めぐり対応協議

威勢がいいのは口だけ。

週末をはさんで米国がイランの核施設爆撃に加わったとして色々週明けの相場について心配する雰囲気がXやネットでは蔓延したことに加えて、反米的な意見ばかりを持つアカウントはこれでもかというレベルで米国が世界で大混乱を起こすとキャッキャと騒いでいるのが垣間見える、お前らの週末の過ごし方はそれでいいんかという感じであった。

この攻撃に対してイランは復讐するだの死をとか色々威勢がいいことを言っているが、実際は口だけで相当程度イランの現政権は苦しい状態に置かれているように思う。

まずイランの実状が相当に苦しいのは様々な施設を安価な近距離爆撃で爆撃されていることから制空圏を失っていることは明らかであった。
ウクライナでさえ制空圏は失っていなかったことを考えると、イランは自分達が攻撃を受けることを十分に考慮されていなかったか、考慮していても防御に回す資金がなかったことは明白であろう。
さらに国内政治情勢が全く国民から受け入れられていないことから、モサドのスパイが入りたい放題で、これによって高官の居場所が次々とばれてそこにミサイルを撃ち込まれて爆死している。
そうした中で、最初イランは他のアラブ諸国に仲介を依頼していたが、その後続報がなく仲介は実現しなかった。
さらに米国側もとりあえず話し合いをするかということでトルコ経由でとりあえず話し合いしようねといったにもかかわらず、イラン側はハネメイ氏と連絡が取れないから会談を設けるかの決断ができないと今さら意味不明なことをいって引き延ばそうとしたら、そこで米国から核施設に爆撃を食らったわけである。

これに対するイランの姿勢も非常に情けない。
口では「イスラエルに死を」とか「米国に死を」とか言っているのに、爆撃受けてすぐに国連安保理に仲介を依頼しているわけである。
あれだけテロリストに大量支援をして地域の不安定化を続けていた国が、自分の立場が危うくなると国際仲介機関にすぐ泣きつくのは傍から見てるとまともに仲介する気になれない事案であり、だからこそどの国も距離を取っている状態なわけである。

また今回の核施設攻撃もどうやら米国からイラン側に連絡があったようで、相当程度やらせ的な感じになっていたりもする。
こうしたイランの弱体状態や真面目に交渉しない姿勢を牽制することも考慮して爆撃をトランプ政権側は決断しているわけで、一応はギャンブルではなく相当程度状況を見た上で決断したように思われる。

こうしたことを総合的に考慮するとイラン側がホルムズ海峡封鎖や米国の施設を爆撃して戦争を長期化させたりすることはほぼ自殺行為に近く、実際に行動に移すことはほぼ難しいだろう。
というより制空圏を失いながらホルムズ海峡封鎖なんて現実的にできるわけなくないかというのが普通の感想だと思う。
以上から相場への影響は極めて限定的だろうというのが個人的な見立てである。

ただし原油価格はちょうど米国シェールガスプレイヤーが減産していて60ドル台で生産意欲が低下していたところに今回の事象が発生したことを考えると、70ドル台というちょっと上振れ的な価格での推移になりそうな気がしている。

【WTI原油のチャート】
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