村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

地政学

タリバンによるアフガニスタン平定はもはや時間の問題

なぜタリバンはこれほど急進撃しているのか アフガニスタン

投資とは今のところ関係ないが、地政学的には当然の帰結に近い。

足下でアフガニスタンでタリバンがカブール以外の主要都市のほとんどを制圧していて、いよいよアフガニスタンはタリバンに支配されるのではないかという観測が出ている。
米軍ももう撤退予定で、ほぼタリバン支配は確実という中でなぜこのようなことが起こったのか解説しておきたい。

このアフガニスタンを巡っては歴史的にかなり複雑なものがある。
元々タリバンは冷戦時代にソ連がアフガニスタンを攻めた時にそれに対抗するために組織されたもので、当時は米国が支援するといった形で今の状況とは全く異なった形であった。
しかし、その後タリバン自体が過激的なイスラム宗教観で非人道的な行為が目立ってきたということで米国側が支援できなくなり、徐々に対立が目立ってきたところで911テロでタリバンの関与が発覚したことで対立は決定的となった。

その後米国は米軍を派遣して現在のアフガニスタン政府を支援しながらタリバン撲滅を狙ったのだが、現在は逆にアフガニスタン政府が撲滅されそうになっているのが現状だ。

多くの人が疑問に思うのが現在のアフガニスタン政府は米国・米軍からあれだけの支援を受けてなぜあんな体たらくなんだというところだろう。
これは往々にして米国・米軍が支援している側が腐敗し切っているということにある。
元々民衆の支持の下立ち上がった政府ではなく、米国の支援の下他力本願で立ち上がった政府ということもあり、自律した運営を行えていないというのがアフガニスタン政府の正直な評価だろう。
支援されている側の高官は平気で私服を肥やすために様々な企てを行う。
賄賂の要求なんてのは普通で、米軍から支給された武器を平気で横流しして金を稼いだり、下っ端兵士には給料は配らないなどやりたい放題である。
そのため、下部組織の士気は非常に低く、自分の命を投げ打つ覚悟などは何も持っていない。
一方でタリバン側の兵士は人道的にはともかくとして組織への忠誠心が高く、自分の命を投げ打つ覚悟ができている。
しかも資金調達ライン(麻薬取引・人身売買・イランを弱体化させたいサウジからの資金)、武器調達ライン(パキスタン・ロシアにある無法地帯から入手)がしっかりしている上に、アフガニスタンからパキスタンの一帯は誰も管理できていない無法地帯のため、負けそうになればそこに逃げ込めば民間人との区別ができなくなるため、人道面に配慮した米軍は手を出せなくなる。
第二次世界大戦のように核爆弾を落とすわけにもいかないし、そもそも米国と直接戦争しているわけではないので、本質的には米国民を命を賭してまで守らなければいけない地域なのかという話もある。
さらにタリバン自体が誰か近代国家のような軍ではなく、おそらくは複数部族が利害が一致した形でゆるく結合してできた武装集団ということもあり、どこかを叩けば組織を壊滅できるというわけでもないようだ。

それだけの差があれば、あとは資金・武器さえ整っていれば勝つことはともかくとしてまず組織が壊滅することはない。


これまで米国はこのアフガニスタン制定に長い年月と資金を費やしてきたが、トランプ政権以降にいよいよこうした遠隔地にて人的消耗を伴う戦争について選挙に影響するレベルでノーと言われるパターンが増加してきた。
そのため、この度米国はアフガニスタン撤退を決めたため、一気に政府軍の士気が低下し現在のようなタリバンがアフガニスタンを平定する勢いになったということである。
そういった意味ではベトナム戦争と構図は同じで、長い年月をかけて粘り強い戦争を仕掛けてきたタリバン側の勝利となったのである。
今のところ相場への影響はないが、現在の米国の地政学的な見方を決定づける一つのイベントだったと言えるだろう。

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バルカン半島~中東地域はなぜ紛争が頻発するのか

なぜエルサレムの衝突が、ガザでの7年ぶりの大規模戦闘にエスカレートしたのか

このブログ読者が生きている間は多分無理。

上記ニュースの通り、久々にイスラエル・パレスチナ間のドンパチが話題になっている。
一応は今のところ相場には影響は出ていないが、なぜこの付近の地域がこうも紛争ばっかり起こるのか整理がてらメモしておきたいと思う。

このバルカン半島付近から中東のこの間というのは金銭面では全く解決できないいざこざが続いている。
国際情勢に疎い方だとなぜここがこんなにもゴタゴタが続くのか理解できないと思う。
特に日本含め東アジア地域の人と米国人はこの辺はよっぽど政治関連に関わる仕事とか、国際的な動向追いながら投資を検討している人とか、ミリタリー情報オタクみたいな人じゃないとほとんど何が原因なのか知らなかったりする。
(米国人だと北朝鮮の場所プロットしろと言われて米国内にプロットする人がいるぐらいだし・・・)

このバルカン半島付近から中東にかけては民族・部族問題と宗教問題がごった煮で絡まっており、どうやっても解決できない状態にある。
バルカン半島付近はオスマントルコ帝国の解体が大きな問題になっている。
中世時代は絶大な軍事力を持っていたオスマントルコ帝国だが、その後軍事的に民主主義国家による総戦力体制が有利になってきたことに加えてイギリスが産業革命に成功し、次々と西欧が産業革命を成していく中でこの流れに乗り遅れた。
そのため、オスマントルコ帝国の状況は徐々に劣勢になっていき、一時期は勢力をハンガリーあたりまで伸ばしたのが押されていく中で領土を縮小していった。
しかし、その際にオスマントルコ帝国は多くの人種が入り乱れるような構造になり、範図が縮小していく中で新興国家に様々な民族がごった煮する形で形成されてしまった。
ここに米国が民族自決を掲げたことから、各民族が独立国家を作るインセンティブに駆られていき、泥沼の紛争が発生する地帯となってしまった。
自分達の民族が根絶されないように命を賭しても独立しようと考えるような場合は残念ながら金銭面では紛争を止めることができない。
しかも昔とは違い、一兵器当たりの殺人可能人数が大幅に増えてしまったことから、概して悲惨な紛争になりがちだ。

そして中東はそれに加えて宗教問題も絡んでくる。
元々この地域はイスラム教というもののまとまりで中世時代は西欧に対して優位に立っていたのだが、オスマントルコ帝国と同様に産業革命や民主主義国家による総力戦体制の構築ができずに劣勢となった。
そこから各自が欧州各国に振り回される形でばらばらに独立していったが、そこに自らの軍事力で勝ち上がってきたという歴史がないため、部族が自分の縄張りを確保するために自分達の信じるイスラム教こそ正統であると論じ、縄張り確保的な紛争が第二次世界大戦後も頻発している。

そしてこのイスラエル・パレスチナの問題はここに戦前にイギリスがそれぞれに領土を割譲するといった二枚舌外交といったとんでもない外交が原因で、お互いに領土を譲り合えない状態になっており、ちょっとしたきっかけで紛争がエスカレートしていくという展開が上記ニュースのように起こってしまうのだ。
 
なので基本的にはこの地域でのこうしたいざこざははっきり言えば、今このブログを読んでいる読者が生きている間にまず解決することはないということである。

まあこの辺の地政学的な問題を勉強したいという方は自作HPのお薦め書籍で随時リストを紹介しておこうと思うので覗いてみてほしい。

お薦め投資書籍


あとはこの中東周りの地政学については日本人の中では最も様々な知見情報を発信している池内氏の書籍を参考にしてほしい。

池内恵氏の中東関連書籍一覧


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政治的な不安定に陥っているベラルーシに、いつもの弱みに付け込むロシアが介入

ベラルーシ大統領選巡るデモ、最大規模に ロシアは軍事支援表明

個人的にロシアが嫌いな理由の一つ。

足下でベラルーシで実質独裁を強いていたルカシェンコ氏が選挙で負けたのを無理やりひっくり返そうとしたところ、大規模抗議デモに発展して収拾がつかなくなってしまったという状況に陥っている。
そこに対してロシアが治安維持のためにロシア軍を投入すると表明してきている。

基本的にロシアの外交というのは弱っている相手につけこむことと西側からの防衛が前提となっている。
未だ冷戦時代の後遺症を引っ張っているのか、欧米諸国との陣取り合戦というのを意識しており、ロシア周辺国で政治的不安定さが出た国に対してはすかさず陸軍を投入して影響力を保持しようとするところにある。
しかも大体は利害関係に位置する西側諸国と事前協議なんてせずに、いきなり有無を言わせない投入というのを行う。
中国と大きく違う点としては、中国は接している国が多いものの、基本的に外交姿勢は海域にはかなりちょっかいを出してたり利権を得るために現政権に対して資金援助をするという行為は行うものの、直接的に政治に地殻変動が起こっている国に対して軍を投入するような、直接的に陸を支配しに行くような傍から見ると不信感しか出ないような外交というのはあまり行わない。
 
冷戦時代ならともかく、冷戦も終わってもう30年近くが経とうとしているが、ロシア側の外交姿勢というのはこの期間から全く進化していないと言わざるをえない。
これがロシアから中東欧にかけて資本を持っている側があまり本腰を入れた投資資金を入れられない事情となっている。
中国でさえここらへんの政治的不安定さは資金が投入できないということで、一帯一路上に位置する国ならともかく、それ以外は一切資金を入れる気なんてのはないみたいな姿勢を見せている。
(どちらかというと西欧側に資金を大量導入している)

まあロシアという国自体が多民族国家で、こういう変な政治不安定さが周辺国で見られるとそれに触発された自国内の一部民族が蜂起する危険性とか、米国がミサイル配備拠点を増やしてくるという脅威からそういう外交の仕方しかできないことはまあ理解はできなくないが、プーチン氏がいる間は基本的にこの外交姿勢から進化することはないと思っている。

このことを考えると、西欧諸国とロシアに挟まれた東欧諸国群というのは常に政治の不安定性に伴って直接的に軍事衝突が起こりやすい地域という歴史からまだ脱し切れていないことがうかがえるだろう。
ここらへんの地政学パワーバランスについては、知識がない方はぜひとも下記書籍を読んで勉強してみてほしい。

<参考図書>

国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」

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金正恩が亡くなっても国際情勢はなにも変化はない

金正恩氏、手術後に重体の情報 米CNN

なにかが変化すると思う方がおかしい。

北朝鮮の金正恩が重体で今にも死にそうみたいなニュースが流れてきて、なぜかリスクオフの流れとなったのが昨日の市場動向となった。
ただ、これは何か市場参加者がすごくリスクを感じたからというより、とりあえず何かが変化するかもしれないという不透明感からと、まあもう随分リスク資産も高い位置にあるしとりあえず売ってみようかというそういう単純な動きだと思われるので、時間が経てばみんな忘れるような材料だと思う。

なぜ忘れるような材料なのだろうか?
まず一応は後継者の目処が立っているということは多いだろう。
ニュースソースを見る限りキムジョンウンの妹である金ヨジュンがどうやら後継者として最も確率が高いと言われている。
実際に米国や中国との会談においてしばしば出てくるところを見るとまあ納得のいくところだと思う。

そして後継者が決まっているならわざわざ諸外国が介入してくる余地は今のところない。
なぜなら足元の国際情勢は各国外交に力を注ぐ余裕などというものがコロナウイルスのせいで一つもないからだ。
特に北朝鮮問題で大きなメインプレイヤーである米国・中国・ロシアの3者はいずれも国内のコロナウイルス対策・景気対策でてんてこまいで北朝鮮情勢については最小限の力しか割けない状態である。
特に中国は北朝鮮からコロナウイルスが逆に持ち込まれて再び感染拡大することに恐怖を抱いているはずなので、トップ会談が行われるということはまずないだろう。 
北朝鮮問題は中東情勢と比べると地政学リスクははらんでいるものの、中東とは比べ物にならないぐらいリスクが小さい。
なぜなら主要プレーヤーは実質米国・中国・北朝鮮の3者しかおらず、中東のような利害関係が5派・6派に別れて血を流しながら争う必要性はない。

北朝鮮国内情勢も不安定のようで安定度はそこらへんの中東国家よりずっと高い。
なぜなら民族は朝鮮民族しかおらず、民族自決の問題は絡んでいない。
金一族の勢力をひっくり返したいと思う一派がいたとしても、中国から多額の支援を得られなければ対抗するための暴力を揃えることができないので、現状そういった動きもなく、金一族の反抗勢力は徒手空拳状態である。
そういうことを考えると

というのを考慮すると北朝鮮問題うんぬんというので下がったとしても短期間で下落は終わるか、あるいはそこからさらに下げるとすれば単に売りたかった人達が大挙して待っていたというだけだと思われる。

なお北朝鮮の地政学リスクについては2017年の騒ぎの時にそこそこ勉強したが、その際に読んだ書籍は下記の通りである。

<参考書籍>

金正日秘録-なぜ正恩体制は崩壊しないのか 


ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争


独裁国家・北朝鮮の実像 核・ミサイル・金正恩体制


スターリンから金日成へ

原油価格は予想外のベネズエラ追加生産減少期待が出てくる

US imposes sanctions on Rosneft subsidiary over Venezuelan oil

原油価格サポート要因が増加した。

現在ベネズエラの原油輸入というのは全面的に米国に妨害されており、普通の国でベネズエラから原油を輸入した場合には様々な米国からの制裁を受ける。

その制裁内容は非常に苛烈なもので
・米ドル決済の禁止
・米国で管理されている資産の凍結
・関係取引先に該当企業との取引を禁じる
など実質的にその企業の生殺与奪権を奪われる形になる。

そういったこともあり、ベネズエラは元々の輸出先から商取引を取りやめられたり、掘削に必要なコントラクターを確保できなくなったり、ベネズエラ重油を希釈するための原材料を輸入できなくなったりしてベネズエラの原油産出量と輸出量は急減少した。
そのレベルはひと昔前は300万バレル/dayだったのが今や70万バレル/dayだ。
しかしそれでも細々と足元ではその原油輸出量が維持されていた。

では誰がベネズエラの原油輸出を支えているのか?
それは主にロシアである。
現在のマドゥロ政権を後ろで支えているのはイデオロギー的にはキューバ、資金面ではロシアなのである。
ロシアはいわゆる米国に対立している国には漏れなく支援しており、ベネズエラもこの例に漏れずロシアがバックで資金を援助している。
その資金援助方法がいわゆる原油をこっそりロスネフチという実質国有企業経由で取引をし、ベネズエラにドルで支払いを行っている。
このロシアのベネズエラ支援はかなり粘り強く行っており、あれだけ資金を融通していた中国でさえもはや金の無駄だと見切り、足元では資金援助を縮小させている。
(そういった意味では中国はかなり実利主義的な資金融通しかしない)

しかしあまりにもおおっぴらにこのベネズエラへの原油を通じた資金融通をしてきたことから、米国がここに来て二の矢であるロスネフチに対する制裁を発表してきた。
正確にいうと、ロスネフチのトレーディング子会社に対する制裁だ。
この制裁でこのロスネフチのトレーディング子会社は90日間まともな国・企業との原油取引決済から締め出されることになる。
なお、ここでロスネフチの一番上の親会社に制裁をかけられなかったのはEUとのガスパイプライン契約に支障をきたして、欧州の安全保障問題になりかねないというところがある。

このように今までベネズエラとロシア間の原油取引についてかなり見逃してきた米国だが、原油価格が下がってきたことからここに制裁を加えても大きな問題はないだろうということで制裁を行った節がある。
これによりロスネフチもベネズエラとの原油取引について慎重にならざるを得ない可能性はあり、よりベネズエラ原油が市場に出回る量は減りそうな期待が出ている。

こうしたことを背景に原油価格は50ドルから53ドルに回復してきており、個人的にコンタンゴが深まるという予想は一旦外れという結論になった。
当面は50ドルを底にしながら上にも下にも動きにくい相場が続きそうだ。

<WTI原油のチャート>
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