村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

欧州

米国と比べて別にそんなに政治リスクが低くはないことが明らかになる欧州

フランスの政局不安、経済回復に危険信号-バイル首相信任投票へ

別に欧州も政治リスクが米国より低いとは言えなくない?

これまで米国の対外発信的な部分がごたごたしていたこともあり、米国は政治リスクが高いとして米国離れで欧州資産の方が良いとしてシフトしているみたいなネタはトランプ政権発足以降活発に言われていたことである。
しかし、ここにきてはたして欧州の政治リスクというのは米国より本当に低いんでしたっけ?という根本的な問いがフランスの政局不安から再び生じている。

フランスの政治リスクはもうマクロン政権が発足してからずーっと続いている話だが、フランスだけでなく大なり小なり多くの主要欧州国では政治で分極化が進んでいることもあり、中々多数派構築をすることができなくなっており、ことあるごとに内輪でごたごたが生じることがあり、これは欧州の中でも一番強いドイツでも例外ではない。

まだこの辺が十分にX・Youtubeなどのこれまで欧州リスク資産に強気な人達に十分認識が浸透していないのは、米国の政治リスクは主に対外向けがメインであったのに対して、欧州の政治リスクは主に内輪もめというところにあるところである。
米国の場合は株式投資をしていない人でさえ関税などの影響を受けるためにヘッドラインは派手なものの、一方で例えば共和党内で状況が瓦解しているとかそういうわけではなく、比較的米国内ではそこまで大きく政治不安があるようには見えない。
一方で、欧州は対外向けには皆トランプに一丸となって立ち向かわなければいけないとして落ち着いた情報発信をしている一方で、内輪ではフランスのようにごたごたしている国は少なくない。

こうした地味な政治リスクをきちんと見ていると、欧州の政治リスクは必ずしも米国より低いかというとそういうわけではないのが徐々にあらわになる中で、欧州の株価もさすがに上昇息切れ感が出始めているように思う。
ドイツDAXはまだ耐えているものの、フランスCAC40はチャートだけ見ても勢いがなく、崩れているのは一目見ればすぐわかる話だろう。

【CAC40のチャート】
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 欧州政治というのは複雑なので、どうしても欧州政治家のいう甘い言葉に騙されがちであるが、実態は相当割り引いて彼らの言葉を受け止める必要性があり、こういうのを含めて個人的には欧州資産に対しては大して積極的になれないという考え方が続いており、変に物事を斜めに見るより、王道の米国株触っている方が普通にリスクリターンは良いのではないかと思っている。
   
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欧州株高は中国投資マネーが要因

Chinese investment rebounds despite growing frictions - Chinese FDI in Europe: 2024 Update

欧州株高の背景はこれってことやね。

今年は欧州株高が目立つ展開が進んでおり、米国からの資金シフトが進んでいると盛んに報道される展開となっている。

【DAX指数のチャート】
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しかし、個人的には単に証券投資ポジションの移し替えではちょっと説明できないレベルで比較的長く、かつ欧州でも主要国だけでなく、もっと微妙な欧州の国の株価(ギリシャ、ハンガリー、ポーランドなど)まで上昇しているのを見ると、もともと自力経済が弱い地域なことも考慮するともっと別の力学が働いていそうだなと思って感じていたが、どうやらその正体は中国であった可能性が高そうだなと冒頭のニュース記事を読んで思ったので、それについて書いていきたい。

中国では国内の不動産バブル崩壊の大不況・米国との貿易対立で非常に手詰まり感が強く、外への活路を見出す流れが続いている。
そういったこともあり、もはや中国国内での展望はほぼ活路が見いだせなくなっている中で、欧州への投資を行って事業姿勢の維持を続けようと言う直接投資が進んでいるのである。(特にEV周り)
これにより、これまで中国から欧州への直接投資は2016年以降ずっと減りっぱなしであったが、2025年に入ってからは今のペースなら150億ドルぐらの投資ペースになるのではないかという早い投資マネーが入ってきていることもあり、

実際に急速に欧州株高が進んだのは2025年に入ってからであることを考えると、単に米国からの投資資金シフトだけでなく、直接投資マネーというもっと足の長い資金投入があり、これが欧州株高の底上げにつながっているということである。

そういった意味では、中国株のリスクテイクをしたいと考えた時には、別に本当に中国・香港株に資金を投入する必要性はなく、中国マネーがどんどん入っている欧州株の方に振り向けた方がリスクリワード的にはプラスだと思われる。
逆に言えば、米国・日本・インド株がここまで欧州株に対して足下パフォーマンスが悪いのはこの中国投資マネーがさほど入っていないことによるところが大きいわけである。

ただし、注意しなければいけないのは、欧州株は米国・日本・インドと違いEPSが伸びていない中で中国投資マネーによる株高が発生しているわけで、欧州株は中国マネー依存度が高まっている。
つまり中国での市場変調があった時には、それに連動しやすくなっており、中国金融市場動向に常にアンテナを張っておく必要性が生じることには気を付けたいところである。

 
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欧州株はドイツ財政支出ネタが材料手尽くし的雰囲気

ついに目覚めた欧州、日本はまだ眠り続けるのか あのドイツも「約80兆円の財政出動」決定へ

材料出尽くしてない?

ここもと欧州株は米国株が不調な中で良いパフォーマンスを出しており、特にドイツのDAX指数はその好調さが際立つ。

【DAX指数のチャート】
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この理由は以前にも書いたが、ドイツで防衛・インフラ投資で財政拡張策が出てきたということでお祭り騒ぎになっているわけである。

【過去参考記事】

軍事費拡張で盛り上がる欧州株


ここもとYoutubeを見ていると、「ドイツ株に投資チャンスがあると思っています!」といって、実際に投資しましたと宣言する人も出てきたりと、米国株よりドイツ株と叫ぶ向きが強くなっている。

しかし、ここで考えなければいけないのは、もうドイツ財政拡張策ネタというのはもう市場で知らない人がいないという状態であるということである。
Youtubeで大体てきとーに相場を見ている人が言っている時点でもうほぼ世界で知らない人はいないという状態にある。
しかもそういうYoutube発信している人が「ラインメタル株がすごい!」って言っているのを聞いても、ここまでラインメタルの名前が知られると大分末期感あるなと感じるところである。
そして、欧州においてはドイツ財政支出ネタが消化された後って、今の金利水準がまだ景気抑制的なことと、欧州経済自体があんまり元気ないこと考えると先があるんでしたっけ?という話になる。
さらにいうと、軍事費用というのは使ったら終わりという性質性が強く、再生産性が低く、実は財政支出の効果としては単発で終わりやすいという性格がある。
ECBの政策金利引き下げ見通しが、このドイツ財政拡張ネタで後ろ倒しになったことも若干痛いような気がしている。

こういったことを考えると、もうほぼドイツの財政支出ネタは手の内がわかったとなっている中で、欧州だと他に財政支出を株式市場でインパクト出せるようなレベルで出せる国はないというのも加えて考えると、既にDAX指数のPERが16倍ある中で、こっからどうなのよという話になる。
これがここにきてDAX指数がもたつき始めているような動きになっている原因だろうと思う。

それにこれまで欧州株は米国株が一旦トランプ期待剥落で売られていたところの受け皿になっている性格が強く、欧州株高・米国株安が一定程度進んでいくと、そろそろネタがなくなれば再び欧州株売って米国株を買おうという向きも強まる可能性が高くなっていく。

まあもちろんいきなり欧州株がどかーっと下がるわけではないと思うので、今持っているなら保有継続でいいんじゃないのと思うが、ここから他国株をアウトパフォームする形でさらに強烈に続伸するかと思うと、ちょっとどうかな~と思うところである。

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ウクライナ・米国会談破談で実質財政支出期待が盛り上がる欧州株

スターマー英首相、「有志連合」でウクライナ和平を保証と表明 欧州首脳会合

そもそも市場の常識では「戦争は買い」なんだよ(画像省略)

日曜日にウクライナと米国の会談が、記者会見で実質口論になるというとんでも会談となってしまい派手に破談したことに加えて、破談の仕方がまさに米国は本当に欧州を守る気があるのか疑問に思われるような劇的なものであった。

これに対して欧州各国もマジでやばいと思ったのか、慌てて欧州だけでどう軍事費を捻出したり、ウクライナに派兵してこれ以上のロシアの好き勝手な侵攻を阻止するのかという安全保障議論が過去にないぐらい真剣味のある雰囲気となり、金融市場に詳しくないと一見するとこれは市場に対してネガティブなように見えるかもしれない。
しかし、実際は欧州株は暴騰する形のリスクオンの展開となっており、なぜこうなるのかまとめていきたい。

まとめていきたいと書いたが、以前の記事にも書いた記憶があるが、欧州にとって米国があてにならなくなりつつある今、欧州各国が防衛軍事費の拠出増加をさせる必要性がせまってきている。
そして、今回の劇的なウ米会談の破談を見て、いよいよ欧州では自腹を切った防衛軍事費支出増大がほぼ確実になったということになる。
そして、軍事費を誰が一番出すのかと言えば、それはもちろんドイツとなるわけである。
そう、つまりこれまで財政支出をケチってきたドイツの実質財政支出拡張策が発動するということである。
財政拡張は純粋な景気刺激策なので、この防衛軍事費拡大による財政拡張は実質的に景気刺激策効果があるということであり、しかもそれがGDPに対して1%オーバーぐらいあるということで、経済に対する効果は高いということである。

ほんとうに財政拡張で防衛軍事費増大するんですか?と思う人がいるかもしれないが、ドイツの最大手軍需メーカーであるラインメタル社の株価を見てもらえれば、もうこれはほぼ確定したようなものだと言えるだろう。

【ラインメタル社の株価チャート】
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このように防衛株が上昇する一方で、もちろん財政支出が拡張されるので、きっちりドイツ国債は売られて金利上昇している。

【ドイツ10年国債の金利チャート】
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単に財政拡張されるというだけでなく、景気刺激策効果もあってECBの利下げ回数が減る可能性もあることも影響しているだろう。

そして株価指数ベースでも上昇である。

【DAXのチャート】
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このようにまさに「戦争は買い」な感じが欧州では続いているわけで、先進国株インデックスなどではそれなりに欧州株が入っていたりするので、オルカンを保有している人にも恩恵がある話だろうし、この状態はこの雰囲気では当面続きそうだなと思う。
逆にこの軍事費捻出による財政拡張で欧州債券は期待するような金利の下げ方はしなさそうと債券投資家にとってはネガティブであろう。

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軍事費拡張で盛り上がる欧州株

欧州首脳が防衛強化策で協議、共同債議論されずー米仏首脳が電話会談

実質的な財政拡張策的効果がある。

ここもと米国株は上がるんかい下がるんかいどっちなんだい!みたいな不明瞭な動きが続いている一方で、欧州株は円ベースはともかくとして現地通貨ベースでは高騰が続いている。
特にその中でもドイツの総合代表株価指数であるDAXはドイツ景気がかなり悪いにもかかわらず好調な推移をしている。

【DAXのチャート】
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当初自分はこれはEUR安と利下げ期待がメインかなと思っていたのだが、それに加えて上記ニュース記事の通り、欧州で防衛強化のための軍事費拡張策が期待されているということが要因として急速浮上しているので、これについてまとめていきたい。

ここにきて欧州各国が軍事費拡張策になぜ動いているかと言うと、ウクライナ戦争について停戦交渉する米ロ会談に関連している。
現在ウクライナ戦争の停戦交渉について、米ロが欧州首脳陣を半ばスルーする形で会談をしているわけで、さらにトランプ氏が停戦まとめた時にウクライナの平和維持派兵をお前らがやれよと欧州首脳陣に迫っていることに起因している。
ウクライナ戦争がもしうまく停戦になったとした場合、欧州西側諸国は現実論として二度とロシアが戦争を仕掛けられないように現実的な対応をしなければならず、そのタイミングを急にトランプ氏によって線引きされる可能性から慌てて動いているという側面がある。
また、今回の軍事費拡張についてはイギリスやフランスにとっては権益を確保するチャンスというのもあり、こういった国際情勢変化の機微を読めないドイツの影響力を抑え込み形で先回りして軍事費拡張に動いてイニシアチブを取ろうとしていることも影響しており、現実的に軍事費拡張策が採用される可能性は高い。

そして、この軍事費拡張は実質的にイコールで財政拡張策として見られている。
対GDP比で1~2%の増額と考えれば、景気刺激策的にはそれなりに大きい規模になる。
さらに、国際会議の場ではひんしゅくを買っているドイツだが、実際軍事費拡張になった時にどこがその商売を取るかというと製造業に強いドイツ企業であり、これがDAXの株価が一番上昇している要因となっていると思われる。

これが足下で大幅に欧州株が好感されている理由だろうと思っている。
戦争は買いとはよくいったものと思う。

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逆をいうと、軍事費拡張策が決定するとそれ以上のアップサイドが見込めなくなるので、そういった意味では欧州株の高騰は軍事費拡張策が決まるまであたりと考えるのが妥当なように思う。

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