村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

新興国

現在新興国株で投資できる国はインドとメキシコの2択

「米中分断、メキシコ・インドに投資機会」米運用大手

あえて新興国ならと言われればという程度だが。

これまで当ブログでは地政学の変化によって、大きく投資環境が変わってきたことを書いてきたわけで、そのせいで中国・ロシアというのは残念ながら投資対象としては完全にナシとなった。
(この辺の考え方は下記過去記事を参考にしてもらいたい)

 【過去参考記事】
フラット化する世界の終焉とブロック化する世界

さらにAIブームが始まったことによって先進国株が明らかに優位になってしまっているということで、基本的な流れが先進国株>新興国株という状況が、リーマンショック以降続いていたところからさらにコロナバブル以降も続いている。
ただ、読者の中にはそうはいっても新興国株に投資したいと考える人もいるだろうと思われるので、じゃあどの新興国の株だったら買えるのかというのを今回は書きたい。

ずばり、それはインドとメキシコである。
なぜその2ヵ国かというと、それは単純で民主・法治主義でサプライチェーン移転による外国からの直接投資が期待できるからである。
先ほどの過去記事で書いた通り、世界がブロック化していく中で、先進国企業は新興国の安い労働力を使うためのサプライチェーン移転投資は、味方かつ法治主義によって納得いかない形で資産が没収されるリスクを徹底的に避けられる国だと考えている。
そうなると新興国の中で西側諸国に対して敵対的ではなく、かつ民主・法治主義の国というのは実は片手におさまる程度しかない。
さらにそれなりの人口があることも条件となる。
そうなるとアジアではインド・中南米ではメキシコというのが最も先進国企業が設備投資をしてくれることが期待できる国だと絞れる。
現在世界は中国にもはやサプライチェーンの依存はできないと見切りをつけて、分散を本格的に始めていることを考えれば、インド・メキシコへの資金流入は当然の話だろうと思われる。

新興国というとインドネシアとかブラジルはどうなのよという話もあるかもしれないが、この辺は昔から直接投資を受けていて発展性が生まれていないことを考えるとインド・メキシコと比べると株投資に魅力としては1段格落ちの国となるだろう。
別に悪くない選択肢だが、より魅力的な国があるのに投資する意味ってなに?というのが正直な感想だろう。
ベトナムは残念ながら最近不動産バブル崩壊しているし、独裁国家なので実はそこまでアップポテンシャルあるのかというのには疑問を持っている。
タイ・マレーシアなんてのはもう発展性もくそもないのでパスである。
さっきからアジアと中南米しか話さないけど、東欧とアフリカはどうなのよというのはある。
東欧は残念ながらロシアのウクライナ侵攻で、ドンパチを横でやっているわけなので発展性がない。
アフリカなんて独裁国家と法もくそもない国ばかりなので却下である。
というわけで、インドとメキシコを除くと、その他の新興国というのは発展性がほとんどなく、箸にも棒にもひっかからないようなところばかりなので、避けるべきだろうと思う。

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来年の相場を考える(新興国株編)

中国は駄目で、インド推し的なぐらいのイメージ。

前回の先進国株相場に続いて、新興国株の見通しも書いていきたい。

・中国および香港株
来年も他国比で大幅にパフォーマンスは劣後するだろうし、下手すると来年もマイナスリターンになる可能性を見ている。
理由は投資家が習近平に一切の信頼をしていないからである。
投資家は何よりも自分の投資した資産がどのように扱われるかに非常に神経質で、特に扱う金額が大きい投資家ほど、その度合いは強まる。
しかし、2021~2023年の習近平の政策は自分の政権維持が中心であり、一切投資家に対する配慮はなく、口先では投資家保護を言うがそれに資する行動は一切見られなかった。
そのような状況では新規の資金は入らず、これまで資金を入れてきたプレーヤーは順繰りに逃げるという行動を取るしかないため、ずるずると状況は悪化が継続するだろう。
唯一その状況を反転させるには、当ブログでは何回か書いてきたが、習近平が市場予想をはるかに上回るサプライズ景気対策パッケージの発表が必要であり、それがない限り投資する価値はゼロだろう。
オールド銘柄が弱いことに加えて、新産業であるEVも作りすぎで需給バランスが崩れているため株価の大幅下落懸念があり、オールド・ニュー産業いずれも死滅しているので、投資した時点で負けは確定しているも同然だ。

・インド株
インドについては今年前半についてはちょっとどうかなと思っていたが、その考え方はどうやら間違いであった 。
特に中国に対する幻滅度が高く、もはや製造業サプライチェーンを低コストかつ安全な地域に移すことがもはやグローバルに主要課題になってしまっている。
そうした中で人口規模と安全性を考えるとインドぐらいしか選択肢はない。
また、これに対してインドはモディ政権になってから外資企業の参入規制を緩和してきたり、これまでのインドの許認可非効率性の改善などに努めてきたということもあり、非常に良いタイミングで外国からの大量の直接投資を受けられる状況となっている。
また、インドは2010年代後半にノンバンクのデフォルトなどで不良債権が大量に発生したが、それを乗り越えて金融機関・事業会社いずれもバランスシートが非常に綺麗な状態からスタートしており、銀行ローン伸び率も15~20%と好景気である。
モディ政権も3期目は前提となっており、政治的安定性も問題ない。
そういったこともあり、BRICsの中で唯一まともに投資できそうなのがインドぐらいであり、新興国株にしか投資できないファンドなどはインドをオーバーウェイトするしかなく、インド株はバブルへ向かっていく可能性があるだろうと思う。

・ベトナム株
ベトナム株は日本の個人投資家から最も過大評価されている国だろうと思っている。
多くの人は中国の製造業サプライチェーン移転でベトナムは恩恵を受けられると考えるが、人口規模が所詮1億人ぐらいであり、中国程の厚みがあるわけではない。
加えて、ベトナムは中国と同じように不動産バブルが崩壊していて、この後始末が終わっていない。
不動産バブルの後始末は普通は1~2年で済むわけはなく、5年以上はかかるので、ベトナム株は個人的にはパスしたいと思う。

・メキシコ株
製造業サプライチェーン移転先としてメキシコというのは昔から言われているところである。
メキシコから米国への輸出は増えており、実際に有望そうに見える。
今後利下げ期待もあることを考えると、これまで急速な利上げで抑え込まれていた株価はそれなりに上昇するのではないかと思う。
ただ、メキシコという国はその治安の悪さ・ギャングに一部国土を支配されていることなど、政府がコントロールできていない部分が多く、果たして産業育成ができる国なのかどうかと言われると難しく、インドほどのパフォーマンスは出ないのではないかと思う。

・ブラジル株
中国経済が死んでいるので、多分そこまで大したパフォーマンスはでないと思う。
以上。

・その他新興国株
多分見る価値なし。
ほとんどの新興国は産業を育成する力がない無能ばかりであり、消費する以外に能がないと思っている。
そういった国は見た目の経済成長率が高く見えても、利益は外国企業に収奪されるため、株価は経済成長率ほど伸びないということが起こりやすい。

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EV関連銘柄のマジ売りに反射神経で株空売りを禁止した韓国政府

韓国、株式の空売り再禁止 「公平な競争条件」促進へ

もっと追い詰められてからでないと、逆効果だと思うんだけどねえ。

上記記事では韓国政府が急に株式の空売りを禁止したという報道で、市場関係者の間ではまだそこまで追い詰められているのになぜこのタイミングで空売りを禁止したのかと驚きと疑念を持って見られている。

【韓国総合指数(KOSPI)の株価チャート】
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これは実は電気自動車市場(EV)動向と密接にかかわっているのではないかと考えている。
現在韓国の代表的株価指数であるKOSPIの構成銘柄を見ると、相変わらずサムスンがばかでかいものの、その下にはLGエナジーソリューション・現代自動車・LG化学・サムスンSDIなどEVおよびバッテリーに全振りみたいな企業が多くなっている。
最近だとポスコもEV関連材料に投資するとしてリチウム鉱山に手を出すなど、多くの企業がEVにお熱といった感じである。
しかし、ご存じの通りEVについては市場の需要に対して供給が多すぎ、そもそもテスラとBYD以外採算成り立ってないだろという認知が進んでおり、高すぎるEV関連銘柄のバリュエーションが萎んできている。
特に時価総額の大きいLGエナジーソリューションは完全にその中心銘柄にあり、ゲロるほど株価が下落している。

【LGエナジーソリューションの株価チャート】
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そうした中で、韓国は隣の中国の景気が最悪級に悪くて、しかも高金利政策で不動産と金融がパッとしない中で、新規の期待はEVにしかない。
一応メモリ市況はAI需要もあり底打ちしていて、時価総額の大きいサムスンとSKハイニックスの株価は比較的綺麗な動きをしているが、EV関連はめちゃくちゃに売られているのが現状だ。

こうしたことを背景に韓国政府としては今国が次世代産業として支援しているEV関連銘柄の株価がこれ以上下がって雰囲気を悪くしないように空売りを禁止したと思われる。
実際に反発が大きかったのはEV関連銘柄で、その中でも中心銘柄であるLGエナジーソリューションの株価反発は大きかった。

しかし、まだ追い詰められ方がかなり薄い状態の中で売り禁にしたのはかなり悪手のように見える。
株価が底から反発するには空売りしているやつらを踏みあげていくことが必要なのだが、中途半端なところで売り禁にしたせいで反発の材料となるショートが一日で消えてしまった。
そして、実際にその翌日にLGエナジーソリューションの株価は再び下落を始めた。
これは結局EVが過剰期待で需給ギャップが大きくなっている中で、こんな中途半端なところで売り禁にしたところで、これまで損切りが遅れていた買いの投資家がこれ幸いとばかりに損切り売りするだけなので、結局再びだらだらと下げるしかなくなるのである。

結局EV市場はかなりやばいことになりそうというのが徐々に関係者の間で共有され始めているが、次世代産業で育成すべきという意地が皆の中であり、しかも当事者である事業会社自体も当局にそういう期待を持ってしまっていて事業整理が遅れていることを考えれば、EV関連銘柄の底はまだまだ先だろうと思う次第である。
状況が悪化しているセクターは誰もが最悪だと思った時に投資すべきであり、

【過去参考記事】
なぜ株価は傍から見れば最悪な経済状況・タイミングで底打ちするのか

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個人投資家に過大評価されているBRICS

[社説]BRICS拡大を懸念する

意味ある組織に見えないのに、なぜか素人ほど過大評価しているように見える。

直近でBRICS会議があったということもあり、地政学変動が色々注目されている中で、このBRICSについても何か新しい地政学変動を起こす集団ではと見る向きが一部報道や個人投資家の間で注目されているように見える。
しかし、このBRICSほど過大評価されている組織はないんじゃないかなと思うので、今回はこれについて個人的にまとめていきたい。

まず過大評価されていると思う原因の1点目は、そもそもBRICSというもの自体が2001年にGSのジムオニールが成長が著しい国として挙げたのが初であるが、そこから何やら自分達は新興国の代表みたいな変な面しながら集まったという点がある。
このために、何かしらきちんとした大きな理念があるようには見えず、BRICS間のそれぞれに求めることというものの乖離が非常に大きいことが挙げられる。
このために、集まったところで何かまとめられるという雰囲気がしない。

BRICSという組織が過大評価されている点の2点目としては、集まり方の動機の中心である「反米」との度合いが非常に差があることにある。
基本的にBRICSという集まりは、単に「米国が嫌い」という反米チック的な思考の下に集まっている集団である側面が強い。
しかし、この「米国が嫌い」という度合いも非常にマチマチである。
ロシアのようにガチ反米みたいなところから、インド・ブラジルのように米国の指図は受けないが対等的な関係ではウェルカム的な姿勢を見せる国など、まだら模様感がある。
そのため、BRICSで何か実効性のある意見がまとまるという感触がしない。

3点目に、これは一番大きい話であるが、本来こういう国家間集団において絶対的に必要な事務局がないことにある。
一般的には国家間組織においては、トップ同士が集まって何かを決める前には水面下で事務局が調整をしていって、実効性あるものに落とし込んで、最後にトップリーダー同士がセレモニーで発表するという段取りとなる。
しかし、BRICSというのは実はこの事務局が存在しないのである。
そのため集まったところで、綿密な事前調整などされておらず、それっぽい大きなことを言った後は、その後各リーダートップが帰国すれば発表したことは綺麗さっぱり忘れているというほとんど意味のない集まりをしているに過ぎない。

こうしたことを考慮すると、BRICSの会議は集まったところで何か世界を変えるような発表が出てくるというのはまずありえないというのが国際情勢を見ているプロの人達の一般の見方である。
発表されたところで実行力がないので、どちらにしても意味がないというのもプロの一般的な見方である。
一方で、個人投資家は昔から馴染みのある次世代成長国として名前だけは聞いていることもあり、BRICSが集まり、なんかそれっぽい話が出てきそうとなるたびに、何やら意味のある投資テーマのように煽るというケースが多く、昨今の素人投資系Youtuberでもこれをテーマとして動画一本取る人間もいたりする。
(まあそういう人間は知識ない単なる素人ってことだけど)

というわけで、BRICSの集まりというのが何か新しい投資テーマや地政学の変動を起こすというのはまずありえないと考える前提でニュースをチラ見程度していればよいと思う。
 
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日本の上場インド株ETFである1678で珍事件発生

興奮・熱狂してNAVから大幅上方乖離した価格で取引するなよ・・・

投資界隈では、米国株と並んで今皆がこれは熱いとして推すのがインド株である。
個人的にもインド自体はファンダメンタルズは良好なのでそこまで否定的ではないが、いかんせん高いPERと下記の通り本当にインドの未来がすぐにバラ色になるのかどうかにやや疑いを持っており、個人的には米国株・日本株中心のポートでインド株は未保有状態である。

【過去参考記事】
インドは次なる製造業大国としてポスト中国になれるのか?

日本からインド株に投資しようと思えば、難易度が低いのはやはり投資信託かETFかのどちらかであろう。
東証には1678というコードでNifty50に連動するインド株ETFがあるので、これを触る人が多いように思う。
そうした中で7/4にこのETFはあり得ない値動きをした。

【1678(インド株ETF)のチャート】
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上記を見てもらえればわかるが、7/4に価格が上にスパイクしたと思ったら、一気に後場に売られるといった異様かつありえないような動きをしている。
下記元原指数のチャートを見てもらえればわかるが、原指数は上記のETFのような変な動きはしていない。

【Nifty50のチャート】
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これは何が起きたかと言うと、馬鹿個人投資家の買いとブローカーの怠慢が原因である。
発生した原因は下記の通りになる。

ETFはアクティブETFを除けば、この1678のETFの通り、元指数に連動するよう裏で運用会社が運用している。
この元指数にパッシブの形で運用するのと同時に、一般的な投資信託と同様に毎日一口あたりの価額というのを発表しており、基本的にはこの一口当たりの価額±その日の原指数の動きが加わった分がETFの価格として証券取引所で取引される。

ただし、証券取引所で取引される限りにおいては、買い手が過剰に買ったり、売り手が過剰に打ったりすることによって、ETFのNAVから大幅に乖離する動きになる可能性がある。
普通は投資家は前日NAVと原指数の値動きや連動する先物価格を見て、このぐらいの価格というのを計算して取引するわけだが、投資家の心理が変化して一方的な商いになるとこの限りではなくなる。
これを防ぐために、安定操作を依頼されているブローカーは乖離している方向とは逆の取引を行い、裏で原資産を取引することによって無駄なさやが生じないように操作をするのである。

ETFの価格がNAVから大幅乖離するケースは一般的には悲観相場の時に多い。
理由としては売りはとにかく現金化したい投資家が殺到し、一方で原資産は流動性が枯渇するためにブローカーが正常な取引ができず、取引価格がNAVを下回るというケースは起きやすい。
これは実際にコロナ暴落の時にLQDやHYGなどのETFで発生したものである。

一方で、熱狂した上昇相場の時は普通はNAVと取引所価格が大幅乖離することは起こらない。
なぜなら、上昇相場の時は普通は流動性が豊富にあるはずなので、ブローカー側はETFを売って原資産を買うだけでいくらでもさやが取れるため、ブローカー側は何の苦も無く実施できるからだ。
しかし、上記1678のインド株ETFでは前日NAVが300円だったのに、取引所価格は前場は330円とスパイクしており、ブローカーが明らかに安定操作を怠ったことが見られる。
その上、午後になってこれに気づいたのか慌ててブローカーがさや抜きしたために、結局前日NAVの300円近くにまで是正されたため、乖離した価格で買ってしまった投資家は全員一日でかなりの率の損失を負ったことになる。
このようにETF取引においてはNAVから異常なほど価格が乖離した水準になっていないかどうかきちんと把握してから取引してもらいたい。

さらにもう一つ言えることは、個人投資家のインド株熱がどうやら高すぎるのではないかということである。
先ほどマイナス乖離の時は壮絶悲観相場の時に生まれると書いたが、その逆が起きているわけである。
あらゆる投資Youtuberがインド株を推し、このETFの上方価格乖離も加えると、どうもインド株の投資妙味というのは本当にあるのかどうかとやや疑わしく、触るにしてもきちんとした押し目で触るべきであり、上値追っかけはあまり得策ではなさそうだと感じる。

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