村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

中国

単なる補助金ビジネスの中国ロボティクス産業に当局からブレーキが

中国ロボット関連株に過熱警報、政府がバブル懸念-投資家に慎重論

中国当局も認めるクズセクター。

時々中国通的な人が中国のロボットセクターというのが次世代産業として動画と一緒にネット上で発言を投稿するケースがここ2~3年多い状態となっている。
しかし、実態は単なる補助金をせしめるビジネス的な側面が強く、さらに当局もどうやらそれに気づいてきた側面があるので、これについてまとめていきたい。

そもそも、二足歩行で人間を模したロボットである必要性があるのだろうか?
まず二足歩行となるとバランスを取って姿勢を取るだけで多大なエネルギーが損耗するわけであるが、その度に電池を入れ替えたり充電したりするのにどれだけコストがかかるのだろうか?
転倒して壊れた時に修理費用はどれぐらいかかるのだろうか?
これらを諸々考えると、二足歩行である必要性は何か産業の自動化みたいなところを考えるとほとんど必要性がないわけである。
さらに腕も別に人間の関節を模写する必要性がなく、多関節でもいいし何本でもつけてしまえばいいわけである。

しかし、中国のロボットを見るとどれもこれも人間を模したロボットを短時間動かすというこれのどこにニーズがあるのか不明という状況の中で、単に中国当局にご立派な姿を見せて補助金をせしめるみたいなビジネスに成り下がっているわけであり、それがためにそんなに社数必要ないだろってレベルの会社が存在する事態になった。

しかし当ブログでは既に何回も記事にしているが、現在の中国政府の財政はまだ中央政府は余裕があっても、地方政府については極めて財政状況が厳しく、いつまでも黒字化目途が立たないような夢物語にだらだらと金を使うなという雰囲気が強まっているわけである。
ただ、この辺の補助金というのは一般的には中央政府ではなく地方政府が決めており、地方政府高級官僚は次世代産業育成頑張っていますみたいなところを中央政府に見せて出世したいという意欲もあるわけなので、無節操に補助金を出してモラルハザードを助長している。

そうした中でさすがにこの中国ロボットスタートアップブームの背景が当局にバレ始めたのか中央政府から案件精査しろというお達しが出ているわけで、この補助金ビジネスの先行きに暗雲が生じているわけで、これが足下の関連株の原因になっているわけである。

【中国Humanoid Robotics ETFのチャート】
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当局から警戒シグナルを出されたことと、未だこの分野はEVと違って全く売上が立つ目途がないことを考えると、まともな産業になる前に補助金が絶ち切れる事態に陥りそうなことは明白であり、この分野の株価下落はこの程度の下げでは済まないと思っており、基本的には下記過去記事に沿った非常に厳しい値動きになるだろうと思っている。

【過去参考記事】
ブームからバブル崩壊したセクター・個別銘柄が最低でもピークから75%株価が下落する理由

まあ特段日本の個人投資家でこの辺を触りにいっているような投資家は少ない、あるいはほとんどいなさそうなので被害は少ないと思うが、自分がもし間違ってポジションを持っているならば即投げだろうと思う。
    
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中国不動産大手万科(Vanke)の債券償還延長要請から考える中国地方政府の窮状

中国不動産の万科、社債の元本返済延期を検討 社債利回りが急上昇

深セン政府でさえ無理となれば、他の地方政府はさらにひどいだろう。

上記記事はこれまで当ブログが追ってきた中国不動産大手万科(英語名:Vanke)がついに社債の元本返済延期・つまりデフォルトするという選択肢が視野に入ってきているという記事であるが、いよいよここまで来てしまったかという状態である。

このVankeという企業は2020年より以前であれば中国不動産大手の中でも財務は最上級クラスに良く、S&PやMoody'sからBBB格の格付けを付与されるなど、明らかにこの辺は雑な借り入れをして爆死した恒大集団などとは状況が違っていた。
しかし、そんな元健全企業でさえ資金繰りが苦しくなるほど、現在の中国不動産バブル崩壊は深刻なわけである。

ずっと資金繰りが苦しいことは2021年に中国不動産バブルが崩壊して以降続いていることは、この辺のセクターをきちんと見ている人からすれば常識であったわけであるが、元々この会社は深セン政府傘下の企業であることを担保にして金を借りまくってきたわけである。
金を貸している側も深セン政府傘下企業だからという認知で金を貸していて、典型的なモラルハザード状態であったわけであるが、これがちゃんと資金繰りが回っている間は何も問題がなかったわけである。
しかし、資金繰りが回らなくなって以降は、Vankeは巨額債務を自力で返すことができなくなったので、深セン政府に泣きついて資金繰りをつないでもらっていたことは当ブログではずっと記事にしてきた。

しかし、Vankeの資金繰りサポートを開始して既に2年経っているわけであるが、一向に状況は改善せず、Vankeからはおかわり資金繰りサポートを要請されている始末であった。
しかし、当の深セン政府も財政収入自体が土地売却への依存度が高い中で、財政収入の減少+Vankeの巨額債務を一体いつまで支えればよいか見通しが全くつかない状態で、当の深セン政府も資金繰りが厳しくなりつつあった。
そうなると、真っ先に切られるのは別に債務保証も何もしていないVankeの資金繰りサポートを取りやめることにあるわけで、Vankeの今回の債券償還延長は深セン政府が実質的にバンザイしたも同然ということであり、地方政府の財政繰りがいかに厳しいかを示すものとなる。

広州という産業集積地を抱える深セン政府の財政繰りが苦しいことを考えれば、北京・上海を除いてほぼ全ての地方政府は財政繰りが厳しいわけで、中央政府からの資金融通サポートがなければ今後何もかも切り詰めるしか地方政府ができることはなくなるわけであり、これまで中国の経済成長を支えていたインフラ投資も急速に尻すぼみになりかねなく、中国景気は底打ちするどころかより厳しくなる可能性の方がずっと高いだろうと思われる。

最後にVankeの株価チャートを見てもらえれば、望みは一切ないことは容易にわかるだろうと思う。

【Vankeの株価チャート】
タイトルなし

もちろん中央政府が背に腹は代えられず財政支出してくれれば支え切れる可能性はあるが、それには相当政治的ハードルが高いので、とても今の中央政府にそれを決断しきる胆力はないだろうと思うので、だらだらと悪い状況は続くだろうと思われる。

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中国の財政支出不足で中国・香港株に息切れ懸念

中国の財政支出、10月に急減-投資と成長を支える財源が縮小

財政出さないし金融緩和もしないとか舐めてるのか?

上記ニュースはこれまで中国政府は景気刺激策として2024年9月から財政支出の拡張を続けていたが、10月の財政支出状況を見ると前年比15%も減少しており、財政支出が絞り込まれているのではないかという話がニュースとなっているので、これについてまとめていきたい。

中国についてはご存じの通り非常に厳しい不況状態にある。
地方政府と不動産企業があり得ないレベルの負債を抱えた状態で不動産バブルが崩壊し、両者の負債の整理が自然体では全く進まないという状態であり、この過剰負債を処理するには債務を通貨発行権を実質的に持つ中央政府に移転する・つまり中央政府が財政支出をして経済を支えるという選択肢しかない状態にある。

なので、中央政府は過剰負債を持つ主体から負債が消えるまで財政支出を続けなければいけないのである。
それを一応は中国政府は2024年9月からコミットしたことによって中国の株価は一定程度の回復を見せたわけである。
実際に中国本土株の代表指数であるCSI300のチャートを見ると下記の通りになる。

【CSI300のチャート】
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しかし、下記過去記事に書いた通り、財政支出コミットして1年ちょっと経つが、未だに過剰負債を持つ主体の負債処理は終わっていないように見えるニュースしか出てこない。

【過去参考記事】

中国不動産大手Vanke(万科)はいよいよチェックメイトか


そして苦しいのはこういう不況期というのは財政収入が減りがちになるので、財政赤字自体は対GDP比で拡張させているはずが、絶対的な支出金額は増えていないみたいな状態に陥ったりする。

実際に中国側は一応財政赤字の目標金額を対GDP比4%とたしか言っていたと記憶しているが、このコミットをベースにしたにもかかわらず上記のBBGニュース記事のように財政支出が前年比から大幅マイナスになっているということは、中央政府が約束を守っていないか、実際は守っているが財政収入が減少しているかのどちらかである。
どちらにしてもこれは投資家から見た時に中央政府が景気を真剣に身銭を切って支えるつもりがあるのかどうかの疑問を持たせるには十分なデータなわけである。
しかも、金融緩和コミットしているならまだしも、既に中国国債金利が相当低くなっている中でこれ以上金融緩和すると銀行の利ザヤ確保ができないということでPBOCが金融緩和も躊躇している状態なわけである。

以上を考慮すると投資家の立場でいうと梯子を外されたように感じるわけである。
そして梯子を外すようなやつに投資なんかまっぴら御免とてのひらを返したように売りに転じることは少し考えればすぐわかる話だろうと思うので、中国株の復調もここまでかなと思う。
中国株の低迷が続くと思う理由については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察
 
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中国不動産大手Vanke(万科)はいよいよチェックメイトか

Research Update: China Vanke Downgraded To 'CCC' On Deteriorating Sales And Liquidity; Outlook Negative

いよいよチェックメイト間近。

上記記事は中国の不動産大手かつ深セン政府傘下と見られていたVanke(万科)のドル建て社債の格付けについて、もうデフォルト間近であることをS&Pがレーティングしている記事になる。

S&Pがこのレーティングをつけた理由として、大きな理由は中国不動産市場の低迷が続く中で、もはや深セン政府が全面的支援を諦めていることにあるだろう。
中国の新築住宅不動産販売動向はもう4年連続の前年比マイナスとなっている上に、この期におよんで未だに最新数値でも前年同月で販売動向はマイナスであり、ピークから販売金額は50%以上減少しているなど不動産バブル崩壊はひたひたと継続しているわけである。
そうした中で、Vankeは住宅不動産が青天井に売れることを前提とした資金繰りをしていたがためにハイレバレッジでビジネスをしていたが、これが逆回転していてもはや親会社である深セン政府に泣きついてつなぎ融資をしてもらうしか生き残る術がなかったわけである。

深セン政府もVankeが無秩序にデフォルトされると困るということで、当初は無担保融資を提供してきたわけであるが、あまりにも不動産市況の低迷が長引いて融資の自律的な回収目途が立たない中で、ここにきて融資は無担保ではなく有担保じゃないと貸さないと言い出したのである。
しかもこれは今回だけでなく以前に融資した無担保についても担保つけろと言い出しており、そうしなければ即座に資金回収するという脅しまでいれたのであり、これは大きな軋轢を生む自体となっている。

中国不動産企業の社債は二重構造にあることは有名で、本土債とオフショア債で扱いが異なる。
オフショア債は規制の関係で本土債に対して劣後しており、デフォルトした場合は本土債が全部回収が終わった後にようやく残余分に触れるみたいな構造になっている。
そのため、本土での借金が資産に対してあまりにも大きいとオフショア債の回収率はほぼゼロであり、上述したように深セン政府が有担保融資をつけるということはオフショア債の回収率ががくっと下がることを意味する。
これをしてしまったら外国人投資家から見れば裏切り行為であり、もう二度とオフショア債は発行できないという事態になるわけであるが、それを犠牲にしてでも深セン政府は保身の方が大事だと考えて動いたという切羽詰まり方である。

こういうのを見ると、一部ではもう中国不動産バブル崩壊は終盤だとかいう言説はとてもではないが信じられず、随時外国人投資家が中国に投資した分は中国の借金返済のために犠牲にされる可能性が高いことが懸念されるだろうと思うし、中国中央政府ベースならともかく地方政府ベースならそれぐらいは自分達の状況がやばければやるだろうと思う。

【Vankeの株価チャート】
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米中貿易交渉は全面的な米国優位で暫定合意

ホワイトハウス「中国がレアアース規制停止」 米中合意の詳細公表

中国側の戦略ミス。

週明けに上記米国側から中国との貿易交渉についての合意内容が出てきたが、見ると明らかに米国優位・中国不利な今までの中国だったらこんな案丸呑みできなくないか?っていうぐらい不平等な内容だったのでまとめていきたい。

今回の米中貿易交渉で決まったことは下記のような形になる。

中国側が得たものは何か?

・フェンタニル関税10%引き下げ(結局米国輸出に45%関税は残る)

米国側が得たものは何か?

・レアアース輸出規制撤廃
・フェンタニルの取締り強化
・米国農産品への輸入関税撤廃・大豆の輸入量確約
・半導体サプライチェーンの独占禁止調査の中止
・オランダのネクスペリアの半導体輸出再開

文字面だけ比較すると、これはどう見ても中国側の負けである。
なぜかメディア報道になると「中国優位」と書かれたりするが、これのどこが中国優位と言えるのか不思議でしょうがなく、さすがにトランプを色眼鏡で見過ぎていて書きぶりがてきとーになりすぎだと言わざるを得ないだろう。

なぜ中国は負けたのか?
これはレアアースカードを切るべきでなかったというのが大きな要因である。
今回、この通商交渉前に急に中国からレアアースの輸出規制というカードを切ってきたわけであるが、これについて米国だけでなく諸外国も中国とのビジネスにおいての不安を生じさせる結果になった。
その結果として急速に対中国のレアアース依存を下げるために提携するニュースが相次ぎ、将来の中国レアアース輸出ビジネスに悪影響をおよぼす状態になりつつあった。
レアアースカードを切ったことによって、単に米国だけでなく、その他の輸出先のお得意様である先進国に対しても新たな不安をおぼえさせたということで、他国との関係性があからさまに悪化したと言え、単に米国との圧力だけでなく全世界から暗に圧力を受けていたと言えるだろう。

そしてもう一つ中国側が折れた要因として、もうこれ以上対米・その他先進国との関係を悪化させて景気を悪化させることが許容できない状態になっているということだろうと思う。
景気が良ければ、こんな屈辱的な内容の貿易内容で妥結するわけがなく、いくつか見ているXの中国通アカウントを見ても、こんな折れ方するとは思わなかったという意見が多く、それだけ中国国内経済状況は悪くて長期間勝負するほどの体力がないことを示しているのではないかという意見が非常に多い。

そして今回の動きを見ると、もはや中国側に対米国で新たな貿易不安を起こすような余力はないと見ることができるわけなので、これにて米国の関税騒動による相場ドタバタ騒ぎは終了だろうと思っている。]
さらにいえば、中国が下記過去記事のような対応をできるようにならない限りは今後も米国側に強く出ることは難しいだろうと思われる。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察

米国時間になってみないと本当のところの反応はわからないが、反応が良ければ2025年末のS&P500は7000で着地するという可能性もありそうなリスクオンが継続しそうである。

【S&P500(CFDベース)のチャート】
タイトルなし

   
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