村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

雑感

auじぶん銀行のなりふり構わない囲い込みがすごい

相場でやることがないので、ちょっと色々財テク周りを見て思った事。

<参考情報>

auまとめて金利優遇 - じぶん銀行



ここもとauじぶん銀行のやや採算度外視の囲い込み方がすごいなと思っている。
その根幹となっているのは住宅ローンで、住宅ローン金利を変動金利0.41%でオファーしているのだが、これにauの契約とau電気を組み合わせると0.31%の変動金利でオファーを出している。

そこに最近になってauまとめて金融優遇なるものを出してきており、カブドットコム証券の口座連携・au Pay連携・au Payカードの口座引き落としまで設定すると0.2%(税引きで0.15%)の普通預金を提供するという話だ。

これを見て思ったのが、住宅ローンを0.31%で取れてあとは手元に投資用で用意はしているが、今のところお眼鏡にかなった銘柄やインデックス投資がなくて現金を余らしている場合にこのauじぶん銀行でのもろもろ条件をクリアして税引き0.15%の預金を預けておけば、実質的に住宅ローン金利負担を0.16%にまで抑えることが可能だ。
これに住宅ローン控除が合わされば、ローン残高4000万円で新築購入という条件で、さらにローン借りて丸々auじぶん銀行の口座に遺しておけば年間金利負担約6万円で40万円戻ってくるみたいなバグったような状態になる。

通常大手銀など金融メインの会社はこんなほとんど自行に利益が残らないようなことはほとんどできない。
住宅ローン金利0.31%で顧客に0.2%の金利なんて払っていたら、利ザヤはたったの0.11%しか残らなく、こんなの金融業本業の会社は利益を残そうと思ったらこんなことはできない。
一方でauじぶん銀行はそもそもKDDIのフィンテック事業の一つ的な扱いになっており、KDDIとしてはauじぶん銀行は顧客情報を抜く所でそこで利益を出す必要性はないという考え方のように思われる。

それに昨今の風潮ではIT・フィンテック系というのは採算度外視でPEやベンチャーから得た資金を顧客獲得のために使い切って、目標通り顧客が集まれば企業価値が上がったとしてさらにラウンドシリーズを重ねた資金調達を行う。
そこらへんの事情は下記推薦図書を読めばすぐわかる話だと思う。

<参考書籍>

スタートアップ投資ガイドブック


今後もこうした本業金融業ではない異業種参入金融は顧客囲い込みのために採算度外視の事業を行っていく方向が多いだろう。
我々顧客はこうしたもってけドロボー的なものは素直に受け取れば、それなりにリスクを取らずに家計を潤すことができるのではないかと思う。

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いくら北朝鮮有望だからって大韓航空株を買うというのはジムロジャーズは正気なのだろうか

ジムロジャーズやらかしたんですかね。

ジムロジャーズがいきなり安倍はやめろ、安倍の政治は狂っているというインタビューを韓国のテレビで発言したことが話題になっている。

投資家・ジム=ロジャーズ、安倍首相に直言「辞任して下さい。辞任する考えがないのであれば、これ以上狂った行為をやめて下さい。」

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なぜこのようなインタビュー発言を突然したかというと、もしかすると大韓航空の株を大量に持っているからではないかという噂がある。
(もしかすると大韓航空株以外にも韓国銘柄もっているかもしれない)
ご存知の通りジムロジャーズはなぜか北朝鮮への投資が有望だと思っていて、北朝鮮が開国された時に素晴らしいリターンが出るように、それに関連した韓国株を買ったというのが現代ビジネスでインタビュー記事で掲載されている。
大韓航空株は北朝鮮が開国されれば韓国や世界各国から旅行客がどっと押し寄せる可能性があり、そこを大韓航空が取れるというロジックで投資していると言っている。

ジム・ロジャーズ氏「北朝鮮バブルが来る。私は大韓航空株を買った」


その当時はまーたそんなてきとーなポジトークしてるよーってぐらいの感じだったのだけど、このビデオレターを見る限り、こいつ本当にそんな自分のビジネスに影響出るレベルで保有してたのかと驚くばかりだ。

そもそも北朝鮮投資は有望とかいっているけど、ジムロジャーズぐらいのおじいちゃんの年齢になると金正恩より先にお亡くなりになる可能性が高いことを考えると、ちょっと北朝鮮経済が開放されるという考え自体がちょっと可能性低すぎやしませんかねという感じがする。
そこからさらに航空株に大金をつぎ込むということ自体もちょっと投資家のリスク管理手法としては常軌を逸している。

かのウォーレンバフェットもUSエアウェイズの株投資で大失敗したことがあり、航空株を買いたくなったときは航空会社に電話して「おたくの株を買いたくなる病気にかかっているのですがどうすればいいでしょうか」といういたずら電話をして自分の気を紛らわせていたという逸話まである。

あのバフェット氏もキレた 過去50年で「最大の失敗」とは?

なぜ航空株が非常にリスキーかというと、いくつかの要因がある。

・航空機への設備投資が非常に大きい上に、しかも不動産と違って常に新しい航空機への買い替えが必要なことからいつまでたっても設備投資金額が減らなくて常に資金繰りを圧迫させがちである 
・需要の減少が発生するとすぐに客単価や搭乗率が減少する一方で、収入自体は保有座席数×客単価と上限は決まりがちなためマイナスの時の負荷が大きい 
・需要自体が災害(アイルランドの噴火)、病気の蔓延(SARS)、景気変動、地政学リスク(昨今の香港デモ)、事故(マレーシア航空機の墜落)など読めないリスクが非常に多い上にいずれも致命傷になるポテンシャルがある 
・新規参入が実はそんなに難しくなく、航空機さえ保有すれば比較的誰でも参入できる。
あるいは競合他社を打ち負かしても、デフォルトで債務免除した後より強力になって帰ってきたりする。 
・政治的なマターにもかかわることがあり、収益性に影響が出たりする。 
・航空セクターの従業員の雇用体系は一般事業会社より硬直的でありコスト削減が難しい 

以上リスク要素を挙げていくときりがない上に、利益の上限はたかが知れているということもあり、正直言うと長期投資とかそういうのにはっきりと向かないセクターだ。
そんなところに多額の金額賭けた挙句、想定されるリスクに直撃した挙句、ビデオレターで別に真の原因でもなんでもない一国の首長に対して狂っているとか辞任しろとかいうのは、数ある著名投資家の中でも一級品でダサいなと言わざるをえない。
そもそもナッツリターン事件を起こすような会社の株を別にそこまで割安でもないのに買う上に、北朝鮮の経済開放というちょっと何言ってるかわかんないんですけどという確率でしか起きえなさそうな事象にベットすること自体大きな間違いに見える。
あとは大韓航空についても、いきなり運航休止とかすると需要戻った時に認可がなかなか降りてこなくて、中国とか日本の航空会社に客取られることとか考えてないのかという短絡的な考えもちょっとあれな会社だなと思わざるをえない。 
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村越誠

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