これ前にも書いたような気がするけど、再度書いておこうと思う。

Xからの引用であるが、以前に米国株の期待リターンがどうのこうのという話があったが、日本株でも同じような言説が出てきた。
その言説とは、TOPIXベースで益利回りが5.3%ぐらいな中で、日本の国債利回りは10年が2.3%ぐらいあって、その差は3%ぐらいしかないので日本株なんて買う気にならないといった話である。
表面的な数値計算は合っているように見えるが、Xにありがちな十分な知識がないまま見えている数値をあてはめて無理やり計算して、自分の都合の良い結果に導こうという話なので、米国株で同じような話を書いた気がするが、日本株でもあらためて書いておこうと思う。

まず抜けている点としては益利回りというのは単に100÷PERで計算された数値であるが、一株当たり利益(EPS)についてはインフレに応じて増加するという構造要因がある。
そのため、この益利回りの数値に対して10年国債金利をそのまま比較してしまうということは、このインフレ分の数値が全く加味されていない、いわばインフレ率ゼロの時の過程で計算されてしまっている。

そのため、投資尺度においては必ずインフレ調整をしなければいけないわけで、上記であれば国債利回りは実質金利で比較をしなければいけない。

なので、正確に比較するには

益利回り-実質金利(5年とか10年のもの)

での計算というのが正しい評価である。

そう考えた時に、じゃあ本当の名目株価期待リターンはどれぐらいになるのかという話になる。
5年は残念ながらヒストリカルデータが入手できなさそうだったので、10年の実質金利で比較しよう。

【日本の実質10年金利】
タイトルなし

https://www.mof.go.jp/jgbs/topics/bond/10year_inflation-indexed/bei.pdf

10年の実質金利は10年国債利回り-10年ブレークイーブンで計算されるわけで、その数値は0.4%ぐらいという数値になる。
そのため、実際に国債利回りとの比較においては株価は+5%近くの期待が保たれているという状態にあるわけで、3%しかないという表現は残念ながら間違いである。
(まあもちろん2019年~2022年の時と比べればバリュエーション面が高いことは確かだが)

ちなみに10年実質金利の比較だとこの数値だが、実質5年金利比較だと6%近くある計算になる。
さらにこの考え方はバリュー株においては特にシビアに考えて計算しないとバリュエーションを間違えてしまうので、きちっとその辺の考え方を整理したい人は下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
バリュー株投資はどのような時に真価を発揮するのか?

逆をいえば、株式はデフレの時はデフレに併せて収益が圧迫されるので、金利が低くてもデフレ時代は株価が圧迫されやすいという性格があるわけなので、デフレ時代はインフレ時代とは比べ物にならないぐらい株価が圧迫されやすい構造にある。
 
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック