ベッセント財務長官「為替は緊密協議続ける」 日米財務相会合で

現状の米国金利市場を考慮すると、ドル安ごり押しは無理と言う話。

上記日経新聞記事の通り、日米の財務相会合ではずっと報道では噂されていたドル安修正のために日本に為替について何かしらの対応を迫るのではないかという話は結局出てこなかったわけで、これについて今回まとめていきたい。

これまでトランプとその取り巻きは関税をかけると同時に、これがドル高効果があるということでセット技でドル安圧力をかけていこうという方向で自国に全面有利な展開で持っていこうと考えていたわけである。
しかし、為替というのは債券金利以上に相手国という自国だけで完結しない関係性があるため、そのセンシティブさを完全に見誤ったために、セット技で圧力をかけたところで米債金利市場が壊れたために、ベッセント財務長官がトランプを説得して一部主張を引っ込めさせる形になっている。
そしてどうやらこの為替の複雑性はトランプとその他雑魚取り巻きではもはやコントロール不能ということで、ベッセント財務長官が取りまとめるという方向になっているようである。

そして迎えた日米財務相会合であるが、ここではトランプが脅迫していたドル安圧力についてはベッセント氏は完全に封印した。
ここでドル安を全面に押し出した場合は、せっかく落ち着きかけてきている米債金利市場が再び壊れて、米国経済が瓦解してしまうのでここでは提起できないということになったのだろう。
為替についてドル安指向を押し出すにしても、ぐちゃぐちゃ関税問題を一通り市場が納得行くレベルにまで緩和してからでないと無理なわけで、それは元々この辺の分野のプロであるベッセント氏であれば自分のテリトリー範囲内で当然の思考である。

結局米金利が人質に取られる形で為替の主張はベッセント氏がトランプを説得して封印するという立ち回りとなったわけである。
こういうところを考えると、足下のあまりにもハイペースなドル安というのは一旦打ち止めという感じになるだろうと思う。

【ドルインデックスのチャート】
タイトルなし

もちろんいつでもトランプが口先介入をかましてくる可能性があるので、ドルインデックスでいうと100台後半に戻る可能性は低いし、レンジ的にはやや切り下げという感じになるだろうが、過度な変動がないことが金融資産にとっては重要であるわけで、今回の相場の大混乱は一応米債市場がぶっ壊れたという最悪事態が起きて、そこから反省が始まったというわけで、下記過去記事のような考え方のサイクルで相場が回ったと考えるので良いように思う。

【過去参考記事】
なぜ株価は傍から見れば最悪な経済状況・タイミングで底打ちするのか

まだすぐに一直線に株価が回復していくわけではないが、一応底値は概ね4月前半水準だねというのが確定した形だと思われる。

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