米ドルの信認低下を映す、NY金の上昇加速

一旦ゴールドの上昇もここまでかなあ。

週明けからトランプがパウエル議長解任だあああ!とかまた嵐を起こしていたわけであるが、特段金融危機が起こるようなレバレッジがかかっておらず金余り的な世の中で、米国債でさえ安全資産とはみなせないのではないかということで、究極の安全資産はなんだということで余剰資金が右往左往する中、あまり市場規模が大きくないゴールド(金)に買いが集中し、価格は去年の2000ドルから3500ドルまで一気に駆け上がっていった。

【ゴールド(対ドル)のチャート】
タイトルなし

個人的にもポートフォリオの一部をゴールドで持っているので、まあこれはこれで良いのだが、さすがにこの上昇はかなり行き過ぎで、絶対に新規買いは当面やりたくないなという気持ちでいっぱいになったので、そのことについて書いていきたい。

こういう相場が感極まった時に相場心理を見る上で重要なのは、やはりオプション出来高だろう。
ゴールドのETFの代表であるGLDのオプション売買は下記の通りになっている。

【GLDの日次オプション売買高】
タイトルなし

https://www.cboe.com/us/options/market_statistics/historical_data/

このオプションの出来高を見ると、正直さすがにこれはないだろとしか思えない動きである。
もちろん直近の出来高が爆増しているのはどう考えてもコールオプションの買いであることは間違いないわけで、世界の安全資産がトランプのせいで突如ゴールドしかないようになったということで、ここに取引が殺到したわけである。

しかし既に相当程度高値になっているゴールドをどうリスク少なく取引すべきかということになると、結局コールオプションしかないわけで、結局こうした考え方からコールオプション買いが殺到したというのがゴールドがすっ高値になった要因であるわけである。

しかし、下記過去記事に考え方を書いたように、もうこんなコールオプションとテンションだけで上がった相場というのは行き過ぎもいいところで、個人的にはこれで一旦ゴールドの上昇はストップかなと思っている。

【過去参考記事】
株価が上にも下にも行き過ぎる現象をオプション市場から考察する

さらにいうと、ゴールドはなかなかその価値というのをどう測ればいいのかというのが意外に難しい資産であり、そんなノリとテンションだけで買えば奇跡が起きるという資産でもないわけで、下記過去記事の考え方に照らし合わせても、心理的には相当割高感あるなあというのが率直な感想である。

【過去参考記事】
価値判断基準の難しいゴールドの割高・割安を「多くの人が考える常識」から判断する

チャートを見ても巨大上髭陰線で引けちゃっている日があるが、これ単体だけで普通はド天井と決めつけることは普段しないが、やはりあまりにもイキったコールオプション買いとのセットは変な価格で買いでエントリーしてしまった腐れポジションが多いことと合わせ技で考えると、下落はせずともレンジ圏内でしか動かなくなるので、新規での投資妙味は当面なさそうと思う次第である。

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