日銀、25年度成長率下方修正の可能性 米関税措置受け=関係筋
実質的な利上げギブアップ宣言。
引き続きトランプ関税で世界の経済成長率にどれだけ下押し圧力があるかというのが気になる中で、上記のように日銀が2025年度の日本の経済成長率について下方修正する可能性について報じられたので、これが何を意味するのかをまとめたい。
素人考えをすると単純に関税が日本の経済成長率に悪影響を与えるので投資的にはネガティブと見る向きがあるが、個人的にはそれよりもこれは日銀の実質的利上げ停止示唆であり、資産カテゴリによってはポジティブでさえあると思っている。
足下の経済環境は非常に変動制が高く、かつてのデフレの時のように緩和一辺倒のシグナルというのを送るわけにはいかない。
そのため、一般的に中央銀行からの金融政策に関する方向性のメッセージは非常に曖昧になりやすく、状況に応じてどうとでも動けるように配慮される。
また、金融市場の正常化という名目で日銀は国債買い入れ量の減額は粛々と進めたいと考えている。
そうした中で、いきなり「利上げはギブアップ」みたいな言い方をすると一方通行的に追い込まれる可能性が高いわけである。
そうならないように、金融政策の織り込みについては常に間接的な表現を駆使したものになりやすい。
間接的な表現というのは、金融政策についてはデータディペンデントとか言いながら、経済見通しを変更することによって実質的に含みを持たせることを意味する。
その一つが成長率見通しの引き下げであり、見通しを引き下げたのでこれを理由に一旦様子見姿勢としたいというのを正当化するものになる。
実際、ここまで利上げの要因として大きかった円安ドル高は完全にストップしており、どちらかというとトランプ政権の圧力思惑もあり円高方向にじりじり向かっている。
【ドル円のチャート】

持続的2%インフレ率を考慮した時に、ドル円についてはもはや円安を食い止めたいというより、今ぐらいの位置をキープしたいという方針に変わりつつあるように思う。
実際にこのニュース報道が出た後は3年以内のOISが全てべたーっと0.6%以下にまで落ちており、トランプ政権中は利上げ無理ですわという日銀の暗喩とそれを受け止めてじわりと市場参加者の間で認識が広がるという状態となっている。
ただインフレ率自体は足下でそこそこ高い水準にあるので、日銀的には利下げはする必要性はなく、じっくり状況を見る時間があるので、そういった意味では失わせた30年の時代ほどは慌てて金融政策の方向転換をする必要性がないというのは植田総裁にとってはラッキーではないかと思う。
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
実質的な利上げギブアップ宣言。
引き続きトランプ関税で世界の経済成長率にどれだけ下押し圧力があるかというのが気になる中で、上記のように日銀が2025年度の日本の経済成長率について下方修正する可能性について報じられたので、これが何を意味するのかをまとめたい。
素人考えをすると単純に関税が日本の経済成長率に悪影響を与えるので投資的にはネガティブと見る向きがあるが、個人的にはそれよりもこれは日銀の実質的利上げ停止示唆であり、資産カテゴリによってはポジティブでさえあると思っている。
足下の経済環境は非常に変動制が高く、かつてのデフレの時のように緩和一辺倒のシグナルというのを送るわけにはいかない。
そのため、一般的に中央銀行からの金融政策に関する方向性のメッセージは非常に曖昧になりやすく、状況に応じてどうとでも動けるように配慮される。
また、金融市場の正常化という名目で日銀は国債買い入れ量の減額は粛々と進めたいと考えている。
そうした中で、いきなり「利上げはギブアップ」みたいな言い方をすると一方通行的に追い込まれる可能性が高いわけである。
そうならないように、金融政策の織り込みについては常に間接的な表現を駆使したものになりやすい。
間接的な表現というのは、金融政策についてはデータディペンデントとか言いながら、経済見通しを変更することによって実質的に含みを持たせることを意味する。
その一つが成長率見通しの引き下げであり、見通しを引き下げたのでこれを理由に一旦様子見姿勢としたいというのを正当化するものになる。
実際、ここまで利上げの要因として大きかった円安ドル高は完全にストップしており、どちらかというとトランプ政権の圧力思惑もあり円高方向にじりじり向かっている。
【ドル円のチャート】

持続的2%インフレ率を考慮した時に、ドル円についてはもはや円安を食い止めたいというより、今ぐらいの位置をキープしたいという方針に変わりつつあるように思う。
実際にこのニュース報道が出た後は3年以内のOISが全てべたーっと0.6%以下にまで落ちており、トランプ政権中は利上げ無理ですわという日銀の暗喩とそれを受け止めてじわりと市場参加者の間で認識が広がるという状態となっている。
ただインフレ率自体は足下でそこそこ高い水準にあるので、日銀的には利下げはする必要性はなく、じっくり状況を見る時間があるので、そういった意味では失わせた30年の時代ほどは慌てて金融政策の方向転換をする必要性がないというのは植田総裁にとってはラッキーではないかと思う。
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