REIT、個人が16年ぶり買い越し 「逆張り」姿勢目立つ

REITは債券(棒)

ここもと株が大荒れしている中で、配当利回りが約5%あるJREITの安定感が強く際立っている。

【東証REIT指数(配当除き)のチャート】
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この一つの理由は以前にも記事で書いたが割安バリュエーションの中でTOBかけてバリュエーションアップして儲けてやろうというファンドが登場してきており、株においてもバリュー相場が続いている中で割安注目しているファンドが増えつつあるということがある。

【過去参考記事】

ファンドTOBで活性化される割安JREIT市場


直近ではもう一つプラス材料が出てきており、それが日銀の利上げ停止期待である。
当ブログでは何回か書いてきたが、場当たり的なトランプ関税政策で日本から米国への貿易に対する懸念だけでなく、設備投資に対してもペンディングになる可能性が高くなっており、さらに中小企業の収益懸念もあるわけで、日本政府が企業の資金繰りに対するバックアップ体制への言及もある中で、それを阻害するような利上げができるわけがないし、これこそ植田総裁のいう「不確実性」そのものである。
実際にOIS上での利上げ期待は4年OISまでが0.7%以下に沈んでいることを考えると、トランプがいる間は無理というコンセンサスが徐々に醸成されてきている。
例え利上げでたとしてももう一回が本当にせいぜいというところである。

利上げが無理という中で、未だ実質金利はマイナスでインフレが続いているし、統計上でもフリーレントに関する議論はあるものの三鬼商事のオフィスマーケットデータでは空室率低下と賃料増加が進んでいることを考えれば、明らかにJGBに投資するより有利な投資環境は揃っているように思われる。

足下のトランプ関税のドタバタ騒ぎはリーマンショックのような事態にはならないと思われるが、株を買うにはリスクが高いように見えるというなんとも微妙な相場であり、そういった中で債券的性格ももつJREITが底堅く推移しているのは、なんとなくイメージしやすいところである。

またもう一つ個人投資家の中で比較対象となるものとしては米国債とどっちの方が投資的にはいいのかという話があるだろう。
米国債の利回りは4%ぐらいあるので、JREITは景況感悪化すれば売られる可能性はあるが、米国債はリスクフリー資産なので確実に4%利回りが得られるというメリットがある。
ただ足下でドルが安くなろうとしている中で、為替ヘッジなしでの米ドル債券投資というのが利回りが4%あっても為替差損でのオフセットが厳しい可能性があると、これもややJREIT投資に軍配があがりそうな状況である。

そういった意味で株のような爆発的な利益はないが、着実性のあるリターンを狙うという意味で未だ日本の実質金利がマイナスにある中で利上げが実質止まっている状態であることを考慮すれば、配当利回り役5%のJREITの投資環境は相当改善したんではないだろうかと思う。 

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