インド株、弱る地元個人の買い支え 海外勢大幅売り越し

ちょっとヒヤッとしたけど、まあこんなもんでしょう。

上記日経新聞ではインド株について海外勢が売り越していて、個人の買いも細っていて、もはや買い手はいない的な書き方で、インド株の先行きについて大分弱気で煽るような文章となっている。
実際にインド株は今年に入ってやや大きめに下落したものの、足下で反発基調に入っている。

【SENSEXの株価チャート】
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報道ではインド株の下落は米国からの関税と書かれているケースが多いが、個人的にはインド株の下落は関税は大して関係ないと思っている。
一番影響が大きかったのは、インド金融当局が銀行に対して個人への貸付を生業としているノンバンクへの貸出について、リスクウェイトを引き上げ貸出を抑制し、個人債務バブルになるのを抑制に動いていた。
これがノンバンクの資金調達を困難にさせたことによって各方面のバランスシートに打撃を与えてインドの景気鈍化を招く原因となっていて、インド株下落の初動要因となっていた。
いわゆる借金が上手く回らなくなったことがインド株下落の主な原因であり、この発想にいたるまでの根本の考え方は下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
なぜ借金のサイクルが経済・株価にとって重要なのかを解き明かす

問題はそこからさらに米国の利下げが後ずれしそうということで、インド株への期待剥落と相まってインドルピー売りに発展してしまい、インドルピー安が進んだことにある。
これに対してインド当局はドル売りインドルピー買いで介入したわけであるが、そのせいで短期金融市場で予想以上の引き締めが発生してしまい、これがさらに株価下落に拍車をかける展開となってしまった。

【USDINRのチャート】
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さらに追加すれば、そこで香港株でDeepseek期待と景気サポート期待が合わさって、新興国株ポートフォリオの中でインド株から香港株へ資金がアドホックにシフトしたことも悪材料となっただろう。

こうした複数のネガティブ要素(3つもある!)があったわけであるが、米国の利下げ期待剥落が止まり、徐々にドル安が進んできたことから、まずインドルピー安が止まり、為替からのネガティブ要素は消えた。
さらに、そこを見てインド当局は一番国内景気の足を引っ張る原因であった銀行からノンバンクへの貸出規制を結局緩和させることになった。

【参考ニュース】
RBI moves to boost credit flow to NBFCs, cuts risk weight on loans

香港株も大分上昇したが、これ以上上昇するにはファンダメンタルズの改善裏付けが必要で、特にデフレの解消が必要であるが、そんな気配はなく、そろそろ香港株買いもピークアウトするだろうと思う。
このようにこれまでインド株の足を引っ張っていたネガティブ要素は概ね消えつつあり、どうやらようやくインド株は底打ちしたと言えそうである。
上記日経新聞記事ではインド株を買える材料はないような書き方がされているが、個人的には概ねこれまでインド株が下落するネガティブ要因が排除されたことからlessネガティブになっているわけで、株価が上昇すればそういえばあれなんだったんでしたっけという話になるだろうと思う。

中長期的に上昇が期待できるものは、仮にエントリータイミングをミスったとしても、個人であれば粘り強く待っていられるわけで、インド株は十分待てる資産ではないかと思う。

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