トルコリラ最安値、株・債券も急落 野党有力政治家拘束で

FXブローカーの広告に釣られて死ぬ人が多すぎる。

上記ニュース記事はトルコでエルドアン大統領がいきなり野党の政治家を拘束していったということで、元々トルコはエルドアン大統領は大統領職を失ったらお前どう考えても逮捕・処刑されるだろと思われているところから、何がなんでも大統領やめないぞというエルドアン大統領のなんでもあり政策で政治リスク大爆発で、いつも通りトルコリラは暴落する憂き目となった。

【トルコリラ円のチャート】
タイトルなし

トルコの最大の問題はとにかく外貨が足りないことで、経常赤字が持続不能なレベルで高く、それを証券投資で埋めているという非常に歪な構造で、すぐにインフレ高くなるからその度に政策金利を馬鹿高くして対応せざるを得ず、すると通貨が安くなっている中でスワップポイントが非常に高くなった上に、FXで自由に触れる数少ない貴重な新興国通貨ということで多くの個人投資家がなぜかこれに釣られて投資をし、最終的にまた暴落して死ぬというのがトルコリラのFXの歴史である。
いわゆる国債収支の天井にいつもぶつかっているわけで、この考え方については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

2006年以降幾度となく同じような流れが繰り返されるが、今回もXで検索すると何人もこの暴落に巻き込まれて大損して爆死している人がおり、もれなくスワップポイント狙いでの投資ではまってしまったと言えるだろう。
では、なぜ多くの人は何回も繰り返されているのに、未だにトルコリラの暴落で爆死してしまうのだろうか?

その理由として、FXブローカーの出している広告にあると思っている。
FXはブローカーが株を扱う場合よりも、対象となる取引種類が圧倒的に少ないために、ITシステム構築費用が圧倒的に少なくてビジネスとして成立しやすい。
また、土日を除けば24時間いつでも取引できるという利便性と気軽にレバをかけられるということからも顧客が頻繁に取引をしやすく、FXブローキングビジネスというのは会社規模に対して頻繁に広告を打てるほど成立しやすいビジネスなのである。
そして広告を打つ際は、大体高金利スワップを全面に打ち出すわけであるが、ここ数年ではメキシコペソが全面に出ていた。
しかし、米国大統領選でトランプ政権再爆誕懸念らへんからトランプに目の敵にされているメキシコは通貨が下落する可能性が高まった上に、メキシコ自体が利下げを開始したことから、通貨の下落懸念とスワップポイントの減少で、徐々に個人投資家は魅力を感じなくなってきていた。
そこで、またここ1年ぐらいは高金利でスワップポイント大量なトルコリラへの投資をFXブローカーが広告をうち、それに個人投資家が釣られてしまうのが、FX取引が個人投資家で普及した中で繰り返されている歴史である。

【広告例】
タイトルなし

しかもトルコリラの最大の問題は外国人に売り崩されているというより、国内がトルコリラ持っているのが嫌になって外貨に換金している圧の方が強い可能性があり、その場合はファンダメンタルズがきちんと改善しない限りは下げ止まる確率は極めて低いので、正直ポジション切るのであれば一旦ショートカバーとなっている今なんじゃないかなあと思ったりしている。
(まあその辺は自己責任で・・・)

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