FRB、量的引き締め4月から減速 議長は長期化も示唆

思ったより早くQT減額してくれたイメージ。

注目のFOMCが開催されたので、その内容と市場反応をまとめていきたい。

まず記者会見と市場反応の前にFRBの経済予想について確認しておきたい。

【FOMC経済予想】
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内容としては2025年について経済についてやや弱めに予想を下方修正したと言える内容であった。
2025年予想について、失業率予想は4.3%から4.4%、GDP成長率は2.1%から1.7%に下方修正していた。
物価について2.5%から2.7%に上方修正していたが、2026年以降の見通しが変わっていないことから、ほぼこの上方修正は関税によるものと想定でき、関税影響は概ね単年度で0.2~0.3%の影響を与えるということがなんとなくイメージできるようになった。
失業率の予想下方修正は金融緩和を継続する主な理由になるわけだが、その考え方については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
FRBはどれぐらいの失業率で「完全雇用が達成されている」と見ているのかを考察

2025年の政策金利予想レンジについてはロンガーラン部分について0.1~0.2%ほど下限の底上げがあったものの、これは現時点で考慮できる関税材料のロンガーラン金利影響はそれぐらいしかないということを意味しており、FRBから暗に関税政策はそこまで金融政策に影響しないことを示唆しているように思えた。

さらに今回は4月からQT減額をすることを発表し、現在月額米国債250億ドル・MBS350億ドルの減額をしているが、米国債の減額幅を50億ドルまで圧縮してくれるということで、ほぼ米国債についてはQTしていないも同然という金額になった。
MBSについては過去のリーマンショックの負の遺産であることから淡々と圧縮することは当然の話なので、そこの減額幅変更なしはほぼ材料にはならないだろう。
市場はQT減額については1月FOMCで議論しているかどうかというのがFOMC当日はヒントを手に入れることができなかったが、それが議事要旨でいきなり議論していると出てきてそれ当日に言ってよ~となっていたが、さらに結局3月FOMCで議論しているかどうか示唆をすっ飛ばして4月から減額と言ってくれたことは一定程度予想はされていたが、市場が好感できる内容だったと思われる。

記者会見では言っていることは1月とほどんと変化なく、FRB的には「色々な決断を待てる」という状態であり、柔軟に対応します以外の内容は出てこなかったと言える。

そういった意味で、見た目は据え置きとされているが、実質的に3月会合はQT減額分だけ極端に言えば「金融緩和をしてくれた」という表現が正しい内容であったと言えよう。
ということで政策金利は据え置きで、ほぼ言っていることも1月と大した違いはない形であったものの、経済の下方リスクに対して備えておきましょうという感じがひしひしと伝わり、まあハト派っぽい内容でしたねという感じであった。

市場の反応はいわゆる金融相場的なものとなり、単純に金利低下・株高・ドル安のセットである。
まだ株価は底練り感が強く、安心できないところである一方で、金利については既にトランプ政権が単なる放漫財政政権ではなく、どちらかというと共和党の伝統的な小さな政府を目指す方針であることがわかったことから、短いところから長いところまで全部安心して買われている展開で、以前のブログで書いたように10年4.4%を背にして金利ロングで戦うのは概ね整合性があったものではないかと思う。

【過去参考記事】
ソフトランディング路線を示した米国CPI統計

ということで、個人的にはここからは既に続いているものの金融相場による株価回復・金利低下というのを期待していきたい地合いだと思っている。


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