bp and Shell decides to reduce investments in electric power industry

再生可能エネルギー黄金時代の低金利+補助金時代はもう来ない。

これまで石油企業は今後再生可能エネルギーの拡大に伴って石油需要が減少することを見越して、再生可能エネルギーへの投資を進めてきた。
しかし、いくら投資しても採算性に乗る気配がなく、一旦再生可能エネルギーの拡大ペースについて石油企業は一旦見直す必要性に迫られているという記事内容が上記ニュース記事であり、これについてまとめていきたい。

なぜ再生可能エネルギー投資が採算に乗らないのかを考えるといくつか理由がある。

まず一つ目は政治的に無計画な再生可能エネルギー偏重は安定的な電源供給という面でマイナスであり、政治的にプッシュ姿勢が以前より熱心度が下がっていることにある。
風力・太陽光発電の最大の弱点はその発電不安定性にあることは多くの人が知るところである。
そのため、欧州各国も再生可能エネルギーを増やす際はバックアップ電源との見合いで調整していく必要性があり、欧州はその議論をきちんとしないまま進めてしまったという問題がある。
そのため、足下では引き続き熱心ではあるものの、以前よりは少し一歩退いた姿勢であり、そのため補助金拡充も増えていないことから、採算について問題が生じ始めている。

二つ目に再生可能エネルギーバブルだった時代から経済環境が激変したことがある。
再生可能エネルギー発電が大幅に拡充されたのが2020~2021年のまだインフレが本格化する前+低金利だったこともあり、その時代を前提とした採算性でこれまで事業拡大してきた。
しかし、インフレ上昇により工事費が大きく増加した上に、プロジェクト投資のための借入金利が大幅に上昇したためにいきなり採算が成立しなくなってしまった。

こうした要因から以前のような計画では再生可能エネルギーは採算が取れず、石油企業は引き続き再生可能エネルギーには取り組むものの、一旦そのペースについては見直しをしようという機運になっている。

これは多くの再生可能エネルギー企業にとっては厳しい話である。
2020~2021年にみんな業容を拡大させたがために供給体制ばかりが拡充されて、需要は上記の通り絞り込まれているわけで、各業者ともになんとか自分達が生き残るために安値受注するしか生き残る手段がなくなっているのである。
そうなると利益なき繁忙となるわけで、将来のキャッシュフローも期待できず、割高PERは正当化できなくなる。

例えばクリーンエネルギー関連銘柄のETFであるICLNの原指数のPERは27倍とかという数値があるのだが、需給状況がゆるゆるな状況で利益なき繁忙でこのバリュエーションが正当化できるかというと、できるわけがないのである。
なのでICLNはもう天井から大分株価が下がっていてトランプ砲でさらに下がっているわけであるが、じゃあこれが値ごろ感だけで買えるかというと無理であり、まだ下がり続ける可能性があるわけである。

【ICLNのチャート】
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