アングル:日銀、追加利上げへ地ならしか 身構える市場

3回目は現状では難しそうだ。

日銀の利上げが12月あるかないかというのが市場の注目点になっているが、個人的には12月というより、とりあえず日銀の利上げの現状見えている終着点の方が気になっているので、

ここまでの日銀の利上げについては、一応説明上は想定通りに日銀の金融緩和効果が経済に効いているということで、調整的に利上げをしているという説明を植田日銀は行っているが、実際のところは為替見ながら行われていますよねというのが多くの人が思うところであり、為替が一つの金融引き締めのキーファクターになっている。
しかし、足下の円相場を見ると徐々に為替プレッシャーは少しずつ落ち始めている。
理由はここにきて急速に欧州の景気・政治状況が不安定化しており、ECBの利下げ織り込み回数が急速に増え始めており、だったらJPY売るよりEUR売った方が手っ取り早く金が稼げるということで皆が目移し始めている。
また、米国の利下げが中々進まない中で、日本の方は景気的に耐えている一方で新興国がグダリ始めていて、特に人民元が急速に売られ始めていて、新興国通貨売りというのも為替プレイヤーから狙われている。
そういった意味で、口先でも実際に実弾を投入する形でも利上げカードを持っている日銀は為替プレイヤーから見ると段々と他と比べるとアタックをかけるメリットが薄らいできており、そういった意味で実は徐々に日銀への利上げ圧力は前よりは低くなっていると思っている。

ただ、インフレ率が引き続き2%を超えており、為替もまだ150円前後の数値となっているため、利上げができる余地があるうちになるべく日本経済に大きな悪影響を与えないレベル程度は利上げしておきたいというのが日銀の本音だろうと思う。

【ドル円のチャート】
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既にOIS市場では来年3月までの間までに1回の利上げを織り込んでいて、25bpsの利上げは確実に行われると見込まれている。
またOIS市場では2025年中にもう一回程度の利上げまではありそうと織り込まれている。
しかし、その先は非常に不明瞭である。
2~5年債の金利が0.6~0.75%で収まっていることからも2回利上げした後に3回目の1%という政策金利は今のところ時期尚早ということを市場は織り込んでいる。
さらに言えば日銀の利上げは既に経済にじりじり影響を与えており、特に住宅不動産価格に影響を与え始めている。
これは別の日に記事にしようと思うけど、東京23区のタワマンならともかく、東京以外の住宅価格は既にグロス価格の高さと住宅ローン金利の上昇によって実需層が追いかけられなくなってきていてさらにここから複数回利上げされればさらなる直接的な冷え込みが生じる可能性が十分にある。

こういった諸々を考えたところ、あと2回の利上げまではありそうだが、その先はそう簡単ではないでしょという考え方で良いのではないかと思う。
細かいところまで見る必要性のある債券村だとこの2回についてどういうパスなのか真剣に考える必要があるが、それでも実質金利は大幅にプラスになるわけではないので株のところはこの2回という数値をざっくりだけ考えておけばよいと思う。
 
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