欧州電池ノースボルト、米で破産法申請 資金繰り悪化で

ポンチ絵企業は全滅したので、次は実際に操業している人達の番。

上記ニュースは欧州でEV車載電池の欧州代表企業になろうと様々な投資家が投資して設立された欧州肝入り企業であるノースボルトが電池生産に至らないまま資金繰りをつなぐことができなくなりデフォルトしたという話である。

結構このノースボルトのデフォルトについては、ノースボルト自体が欧州肝入りプロジェクトでもあったことからEV関連市場の話ではわりと衝撃的な話である。
このノースボルト設立にあたって投資してきた人達はそうそうたる面子で、GSやベイリーギフォードなどの有名金融機関も含まれていた。
しかし、ノースボルト自体はそもそもメーカーが要求する車載電池製造ラインを立ち上げることができず、BMWから契約を打ち切られる形でどうにもならなくなり、どこからもリファイナンス資金を調達できなくなり、あえなく沈没なったのである。

つまりノースボルトがデフォルトしたことはEV関連企業で青写真だけのポンチ絵で資金調達をしていたずさん企業が全員爆死したというだけで、これは実際のEV市場の底打ちには寄与しないと思われる。
現在のEV業界の逆風は供給の伸びが加速している中で、需要は補助金の打ち切りなどがひびいて世界的に鈍化、鈍化というより中国以外は微減しているというのが実情である。
なのでビジネスとしては供給過多であり、プレイヤー全員が右肩上がり成長を前提としている考え方を根本から見直す必要性があり、その見直し過程で大規模に関係している企業がデフォルトしていくことが相場底打ちに必要な局面になっているように思う。
この辺の考え方は下記過去記事を読んでもらいたい。

【過去参考記事】
なぜ株価は傍から見れば最悪な経済状況・タイミングで底打ちするのか

そう考えるとノースボルトのデフォルトだけでは生贄としては足りないはずで、やはり本命である中国メーカーの中でド派手にデフォルトする企業が出てこないとEV銘柄の株価メルトダウンは止まらないのではないかと思う。
個人的にはLi autoとかXpengらへんのデフォルトぐらいまでは必要だと思っており、そこまで逝けば大分需要と供給バランスも改善されるのではないかと思う。
実際に現在の中国EV市場は全面的な補助金で支えられており、現在不動産バブル崩壊による地方政府債務の持続不可能性を考えるとさらにやむなく補助金を打ち切られる可能性もあり、そうなると無い袖は振れないということで最後の最後はメルトダウン的な悪化をしていき、そこがまあ百歩譲って考えて投資できるタイミングかと思うので、引き続きEV関連銘柄については近寄るべからずという考え方が個人的な見立てである。

【EV&バッテリー関連ETFのチャート】
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