次の米財務長官は「財政タカ派」 金利低下・株高が加速

財政出すから株価上昇してたんじゃないの? 

トランプ政権の重要人物指名が続いているが、その中でも注目されていた財務長官についてベッセント氏が指名されたというニュースが市場に大きな影響を与えている。

このベッセント氏というのは上記日経新聞の記事にもある通り、ヘッジファンドの出自で金融市場に詳しく、財政支出についても穏健派であり、財政赤字については対GDP比3%ぐらいにすべきといった主張をしている人物であるようだ。
金融市場に詳しいので、あきらかに金利マーケットをぶっ壊すようなことをしないだろうという安心感もあり、日曜日にベッセント氏指名が報じられた翌日の月曜日から米金利はラリーが続いている。
個人的にも米金利については概ねこの動きは妥当なものだと思っており、ファンダメンタルズをきっちり織り込む債券市場らしい動きだなと思った。

【米債10年金利のチャート】
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一方で解せない動きをしているのは株の方である。

確かに規制緩和するというプラス効果はあるだろうけど、規制緩和をしたとしても実際にGDPに波及するまでには時間がかかるわけで、一方で財政が出ないのは直接的にGDPにマイナスに効くわけである。
米国大統領選で株価が上昇したのは共和党が上下院が占めるオールレッドになり、減税などの財政拡張策によって景気が盛り上がってノーランディングになるからというものを先どって動いていたはずである。

しかし、ベッセント氏が実際に財政についてはきちんと管理可能な範囲でしか出さない(おそらくそれが対GDP比で3%という数字なのだろう)となると、財政拡張で景気大盛り上がりという話とは大分違うとなるはずである。
実際に米債金利は即座にそれを反映して順繰りに金利が下がっているわけであるが、米国株については本来ネガティブな話であるのが安定感があるとして上昇したりとかなり都合の良いように考えている節がある。
OISの金利予想もこの財政拡張を一部反映して織り込み回数が減っていたはずで、財政支出拡張せずに景気指標落ちたらみんなびっくりする可能性があるのではないかとふと思った次第である。

まあもちろんその時はFRBが積極的な利下げに動けばよいわけで、FRBはデータ次第と言い続けていることと整合性も合うので、一応頭の中では大統領選後の期待だけで上昇した分ぐらいはいつ剥落してもおかしくないでしょぐらいに思いながら相場を見ている次第である。

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