【コラム】逆イールドの急速な縮小、米経済に危険な兆し-オーサーズ

金融市場を型に嵌めて考えても、まず当たらない。

この2年半ぐらいの苛烈な先進国の金融引き締め環境下において、多くの暴落論者が煽ってきたこととして逆イールドはいつか株価の暴落を引き起こすというものであった。
あるいは逆イールド中は株価は暴落しないが、逆イールドが解消すれば、それは景気後退を意味するので逆イールドが解消され次第株価は暴落するという煽りが決まり文句であった。

しかし、現実はどうだろうか?
下記米国10年債利回り-2年債利回りのイールド差を見てもらいたい。

【米国債イールドカーブの推移】
タイトルなし


https://nikkei225fut.jp/historical/bond/us/gyaku_yield

上記を見てもらえればわかるが、今年の8月~9月に逆イールドは解消されているのである。
しかし、現実は米国の株価は最高値の更新を続けており、いつの間にか逆イールド解消で相場暴落と煽ってきた人達はひっそりと消息が不明になっていたり、イールドカーブについては言及しなくなり別の暴落煽りをしたりと、あの意見はなんだったのか・そういった言説を信じた人は資産がインフレ負けして機会損失を受けている状態である。

結局〇〇が起きたら株価大暴落!と言っている人は過去に起きた事象をあまりにも単純にあてはめて今回も同じことが起こるという暴論を言っているにすぎないのである。
経済というのは一定程度は物理法則で動いている部分もあるが、人の心理が動かす要素も非常に大きい。
そして人の心理というのは決して法則に従うものではないのである。
もし人の心理が法則に従うものであるとすれば、ここまで人類経済が発展してくることはなかっただろう。
なので、様々な前提条件が変わっているがために暴落を引き起こすトリガーが変化しているのに、ただ単に過去に暴落を引き起こした時は〇〇が発生したから、今回も同じだという暴論を振りかざして多くの人を惑わしたりするのである。

まあこのように暴落煽りの人は相場を非常に舐めている・最初から当てるかどうかなんか考えてなくて扇動して商材売れればOKぐらいの考え方をしている人は、過去の事象から法則性があると言い張り、杓子定規にあてはめてそれっぽいことを語るが、テクニカル分析ばかり解説する人と一緒で人間というものを軽んじて考えた理論ばかりなので、聞くと一見してあっていそうな暴落予測はそんな発想もあるけど、なったらなったで上手く立ち回ればいいやぐらいの気持ちで相場に取り組みばよいのではないかと思う。

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