中国の住宅販売、10月は今年初の増加-政府の景気刺激策が奏功

効いてないことはないが、時間稼ぎにすぎないだろう。

9~10月はご存じの通り中国政府がさすがに景気がやばすぎるとして、住宅不動産については住宅ローン金利の引き下げと購入規制の緩和が発表され、
これに伴って中国株・香港株は急騰したわけであるが、一応上記ブルームバーグ記事の通り住宅不動産販売という点でも、これまで前年同月比マイナス20~30%みたいな惨状極まるところだったのが、10月は一気に前年同月比がプラスのところまで販売金額が増加した。
中国の住宅不動産販売にとっては、9~11月というのは金の月・銀の月という不動産販売繁忙期が含まれるシーズンであり、ここで売れなかった場合は来年の春節明けまで販売が絶望的なので連鎖デフォルト待ったなしとなってしまうところであったが、とりあえずはこれで一息つけたように思われる。

一応そういうことを考慮すると、9~10月の中国株・香港株高騰についてはこうした期待が一応形として実現したので必ずしも荒唐無稽の上昇ではなかったと評価できそうだ。

【香港株のチャート】
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しかし、このカンフル剤施策というのは長続きしないのではないかと個人的には考えている。
去年にも似たような感じで住宅ローン金利の引き下げ、購入規制の緩和などを実施して一時的に一線都市を中心に販売金額が増加に転じたりしたが、効果は4ヵ月程度しか続かず、結局その後は以前と同じようなひどい販売の下がり方となっていった。
そして、株価も同じようにじりじりと下落していき、市場参加者に追い詰められる形で後追い景気刺激策を決めたという形となっている。

なぜこのようなことが起こるかというと、結局政府がケツを拭いていなくて、民間の資金に頼り切っているからである。
今中国では民間と地方政府の債務が異常なレベルに膨れ上がっている中で、不動産バブルが崩壊したことによる逆資産効果によって超絶デフレ経済になっている。
そうした中ではこの異常な債務レベルが通常レベルに戻るまでは、ひたすら借金を返済することにフォーカスした形が継続する。
住宅ローン金利の引き下げや購入規制緩和で一時的に買える層が新しく出現するが、その層が買い終わったら新しく借金して買ってくれる人が誰もいなくなるので、それで販売回復は終了である。

結局景気刺激策について既にレバレッジが限界まで伸び切ってしまっている民間や地方政府の資金に依存しているわけで、そんなんで不動産バブル崩壊が解決するんだったら苦労はしない。
本当に不動産バブル崩壊を片付けるには下記過去記事のような施策を打った上で、さらに長い時間をかける必要性があるわけで、ぜひとも参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
中国不動産バブルの発生・崩壊した原因のおさらいと今後どのように後始末が行われるかの考察

そういったことを考慮すると、中国株・香港株の上昇というのは既に終わっており、また来年追い詰められる形で景気刺激策を中国政府が出してくるまではだらだら下がり続けるという考え方が妥当だろうと思う。

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