イスラエル首相、イラン石油・核施設を攻撃しないと米に伝える-報道
さすがにアメリカが脅迫的に止めたと考えるのが妥当なように思う。
足下の原油価格は世界的な景気減速と中東情勢リスクが綱引きする形で上下していて、特にイスラエルのテンションの高さから原油は先物やコールオプションが買われる形で若干上に跳ねてきた。
特にイスラエル政府がイランの核関連施設や原油関連施設を爆撃するかもと発言してきたところで緊張感は非常に高まった。
そこにアメリカがちょっと待てと介入した。
これまでイスラエルはアメリカの制止についてかなりの部分を無視してヒズボラを攻撃していたりしていたので、イランの核関連施設や原油関連施設がマジで起こるのではないかという可能性を原油市場はうっすらと織り込んでいた。
しかし、いくらユダヤロビーが強力でイスラエル支援をやめられないという事情があっても、これについてはアメリカ政府はいくつか許容できない部分があった。
まず、イラン側からはこれまでの動きを見れば、イスラエルがイラン側への報復を止めればこちら側からは追加の報復はしないというシグナルが送られていた。
ハマスやヒズボラと違って、イランは人口が9000万人弱いる国であり、ここと戦争となればただでさえウクライナ-ロシア間の戦争があるのに、二正面作戦になるわけで、イラン側も戦争したくないというシグナルが送られているのにそれを無視する形でイスラエルが報復攻撃をイラン本土で行うのはアメリカ側にとってはリスクしかなくてリターンが全くない。
また原油関連施設を攻撃した場合にいたずらに原油価格を上昇させる要因になり、ただでさえ物価高・景気鈍化で貧困層の生活が厳しく、さらに大統領選挙前で世論の方向に非常に神経質になっているところで、原油価格が急騰した場合には民主党の選挙結果がひどいことになりかねない。
そういう事情を考えていくと、アメリカ側の今回のイスラエルとの交渉はこれまでとレベルが違う形での制止になったと考えるのが妥当だろう。
ユダヤロビーもイスラエル政府があまりにも暴走しすぎると困るという事情もあることを考えれば、ユダヤロビーの思惑含めで今回イスラエルにはいますぐイランへの報復攻撃を止めないと支援を停止するぞという脅しまで踏み切った可能性は高い。
イスラエルは結局アメリカの支援なしでは存続できない国なわけで、そこまで言われればさすがに右派強行のネタニヤフ氏でも手を引っ込めるしかなくなる。
というわけで、こうしてとりあえずイスラエルの過激報復攻撃リスクがほぼなくなったことから、原油価格急騰シナリオは再び空振りで終わりだなということで良いように思う。
【WTI原油価格のチャート】

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
さすがにアメリカが脅迫的に止めたと考えるのが妥当なように思う。
足下の原油価格は世界的な景気減速と中東情勢リスクが綱引きする形で上下していて、特にイスラエルのテンションの高さから原油は先物やコールオプションが買われる形で若干上に跳ねてきた。
特にイスラエル政府がイランの核関連施設や原油関連施設を爆撃するかもと発言してきたところで緊張感は非常に高まった。
そこにアメリカがちょっと待てと介入した。
これまでイスラエルはアメリカの制止についてかなりの部分を無視してヒズボラを攻撃していたりしていたので、イランの核関連施設や原油関連施設がマジで起こるのではないかという可能性を原油市場はうっすらと織り込んでいた。
しかし、いくらユダヤロビーが強力でイスラエル支援をやめられないという事情があっても、これについてはアメリカ政府はいくつか許容できない部分があった。
まず、イラン側からはこれまでの動きを見れば、イスラエルがイラン側への報復を止めればこちら側からは追加の報復はしないというシグナルが送られていた。
ハマスやヒズボラと違って、イランは人口が9000万人弱いる国であり、ここと戦争となればただでさえウクライナ-ロシア間の戦争があるのに、二正面作戦になるわけで、イラン側も戦争したくないというシグナルが送られているのにそれを無視する形でイスラエルが報復攻撃をイラン本土で行うのはアメリカ側にとってはリスクしかなくてリターンが全くない。
また原油関連施設を攻撃した場合にいたずらに原油価格を上昇させる要因になり、ただでさえ物価高・景気鈍化で貧困層の生活が厳しく、さらに大統領選挙前で世論の方向に非常に神経質になっているところで、原油価格が急騰した場合には民主党の選挙結果がひどいことになりかねない。
そういう事情を考えていくと、アメリカ側の今回のイスラエルとの交渉はこれまでとレベルが違う形での制止になったと考えるのが妥当だろう。
ユダヤロビーもイスラエル政府があまりにも暴走しすぎると困るという事情もあることを考えれば、ユダヤロビーの思惑含めで今回イスラエルにはいますぐイランへの報復攻撃を止めないと支援を停止するぞという脅しまで踏み切った可能性は高い。
イスラエルは結局アメリカの支援なしでは存続できない国なわけで、そこまで言われればさすがに右派強行のネタニヤフ氏でも手を引っ込めるしかなくなる。
というわけで、こうしてとりあえずイスラエルの過激報復攻撃リスクがほぼなくなったことから、原油価格急騰シナリオは再び空振りで終わりだなということで良いように思う。
【WTI原油価格のチャート】

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