タマホーム、6-8月期(1Q)経常は赤字転落で着地

注文住宅市場が完全に死んでる。

ぽちぽちと決算シーズンが始まっているわけであるが、その中で気になったのがタマホームの決算なので、これについて書いていきたい。

【タマホームIRページ】
https://www.tamahome.jp/company/ir/

ニュース記事通り、赤字転落しているわけであるが、一応利益変動要因の内訳見ると、もう言い逃れできないレベルで状況が悪いことがわかる。

【利益変動要因】

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タマホームはこれまで住宅分譲会社の中では比較的株価がしっかりしていた企業であるが、発表された決算は上記の通り非常に厳しい内容となった。
住宅分譲会社というのは売上計上について物件を引き渡した時に計上されるわけだが、引き渡し件数が減少して大赤字となってしまった。
引き渡しが減少しているだけであれば、受注が下げ止まっていればもしかすると先行きはいいのではないかと考えられる可能性もある。

では受注の方がどうだろうか?


【注文住宅事業の受注状況】

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これはあかんなあという数字である。
前年同期比で金額ベースで22%も受注が減っている時点で、注文住宅市場が死んでることは明らかである。

そして理由も非常に単純明快である。
単純に注文住宅の建築コストが上がりすぎているということが一つ。

【注文住宅販売価格の推移】
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そして日銀の利上げによって住宅ローン金利も上昇したし、注文住宅は基本的に転売・資産価値というのはあまり考えられずに発注されるものなので、価格と金利のどちらも折り合わなくなっているということである。

東京のタワマンしか見ていないという人だと、すぐに今すぐ日銀は利上げした方がいいとか言い出す始末だと思うが、実際は住宅市場は本当に東名阪都区部マンション・立地抜群の戸建て以外は死んでるという表現が妥当な状態になっている。
この状態で利上げを無理やり進めれば、地方住宅不動産市場なんてのは一瞬で終わりである。

こういうことを考えれば日銀の利上げが連発できる環境でないことは確かだろう。
そしてここの注文住宅についてはここから回復するには、建築コストの低下か発注する人の収入増を待つ必要性がある。
そして現実的な解は発注する人の収入増を待つしかないが、そうなると結局春闘待つしかなくなる。

といったことを考えると、日銀の利上げタイミングは結局春闘待ちというのが現実解になるわけで、米国が利下げサイクルに入っている中では年一回どうなるかというのだけ見ておけばOKという形ではないだろうかと思う。

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