中国市場が習主席に迫る-株高持続には大規模な財政出動必要

ないものねだりもいいところ。

昨日のブログ記事で期待されていたNDRC記者会見での中国の財政支出の具体数値発表が全くなかったことから香港株は欧州時間が始まってさらに下げ足を強める結果となった。
その失望具合は上記ブルームバーグニュース記事の内容通りで、セルサイドからは中国政府が何を考えているか意味不明で、こんなことしていても景気は回復しないとばっさり切られるレベルでの辛辣な酷評を受けている。
市場コンセンサス2兆元・シティにいたっては3兆元の財政支出明言があると予想されていたのが、ゼロ回答ということで、ここにきて中国政府の秘密主義的なものが完全に裏目に出ている状態である。

さらに、上記ブルームバーグ記事の一番下に下記のような記載がある。

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発改委が中国株急騰に冷水を浴びせたことで、トレーダーたちは現在、自らのポジションを分析し直している。アバディーンの投資ディレクター、シンヤオ・ヌン氏は「私の感覚では、相場を上げ続けるには5兆元程度の直接的な刺激策が必要で、10兆元以上あれば、市場のラリーは続くだろう」と話した。
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ないものねだりの極みもいいところである。
5兆元だと対GDP比で4%、10兆元だと対GDP比で8%という超大規模財政支出である。
そして、なぜこのような意味不明な数値が出てくるかというと、リーマンショックの時に4兆元の財政支出を決めたから、その時からの中国のGDP成長を考えればこれぐらいだろうという鉛筆なめなめして予想された数値である。

しかし、よくよく考えてもらいたい。
リーマンショックの時は既にアメリカの株価が暴落し、短期金融市場も崩壊するなど、誰の目から見ても明らかな金融崩壊の真っただ中であったわけである。
つまりこのような突拍子もない財政支出予想を言い出す外国人から見ると、現在の中国の景気低迷具合は暗にリーマンショックみたいなもんだろという本音が含まれているわけである。

しかし、中国政府からは繰り返し中国景気は減速しつつも順調に推移しているとしか言えず、普通に考えれば5兆とか10兆とか出すには大義名分がないのである。
それを現状で出せば金持ち優遇であり、いよいよニラのように刈られてきた格差に不満を抱く庶民の怒りは爆発するだろう。
そして、それを克服できるほど習近平の胆力はないというのも、既に当ブログ読者は見切っているはずである。

そういうことを考えれば、下記過去記事の通り、本当に中国景気が回復するために必要な要素が登場するのはまだまだ先の未来かつ、もっと中国経済が悲惨になり、より事態の切迫感が強まってからでないとならないだろう。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察

【香港ハンセン指数のチャート】
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