米9月雇用25.4万人増、失業率4.1%に改善 年内大幅利下げ観測後退

ちょっとこれは予想外。

注目の米国雇用統計が発表されたので、その結果と市場の反応をまとめていきたい。

統計結果としては雇用増加数が市場予想12.5万人に対して25.4万人と上回った。
いや、この際人数はまあいいとしよう。
さらに詳細に見ていくと、失業率は市場予想4.2%から結果4.1%、平均時給も市場予想前年比+3.8%から結果4.0%といずれも良好さを見せる形で、景気弱気派で見ていた自分としてはほんまかいなと驚く想定よりもずっと強い統計結果内容となった。
あれだけ高金利で金融引き締め水準が高いし、BTFP分の流動性も消えつつあるし、過剰貯蓄の消滅とクレカのリボ払い残高も限界が来ている中で、景気先行き懸念は強いわけで、雇用需要は自然と減るし、そうなると給与の伸び率も下がるだろうと思っていた。
さらに昨今注目されていたのはパートタイム増の正社員減でもあった。
しかし、今回の雇用統計はいずれもこれに反する動きであり、単月だけとはいえ、その雇用の堅調さを見せつける形となった。
最大の問題はこれが継続して続くのか、単月だけのイレギュラー値なのかというところで、現状よくわからない感が強まっている。

この統計内容だとさすがに金利は上昇で反応せざるを得ない形となった。
特に目先の利下げペースが重要視される手前側金利は一気に修正がかかる形で手前側から大きく金利が上昇するベアフラットという形になった。
さらに、これのせいで今回の利下げサイクルの終点についても雇用統計前まで2.8~2.9%ぐらいだったのが、3.2%ぐらいまでOISを見ていると跳ね上がっており、後ろ側の金利もそこそこ上昇しており、これは金利低下を予想していた自分としてもきっついなあと感じる内容であった。

【米国5年債金利のチャート】
タイトルなし


また米金利上昇なので、ドル円は上昇で反応しており、引き続き個人的に予想している140-150円のレンジの中で推移しているが、ややレンジの上で推移する形となり、この辺は外貨建て資産を持っている人には都合の良い動きとなった。

問題は株で、これは寄り・場中・引けいずれもそれぞれの思惑が渦巻く動きをした。
寄りは景気は堅調でソフトランディング期待が高まったということでそこそこ上昇して始まったが、その後金利上昇を見て金融緩和が遅れるという思惑から上昇幅は急激に圧縮された。
しかし、引けにかけてやはり景気は堅調でソフトランディング万歳とばかりに上昇して引けると言う形で、弱気な人から強気な人まで入り乱れた動きとなった。

【S&P500のチャート】
タイトルなし


個人的にはさすがにそろそろ米国景気が利上げペースが加速する形で落ちると思い身構えていたが、これが空振りに終わった上に、先行きどうなるかも正直わからなくなってきており、現状ポジション維持以外にできそうなことが思いつかない状況となっている。
ポジション持っていれば待てるが、株ポジションを持っていない人はいよいよ持たざるリスクみたいなのに迫られることになりそうな雰囲気さえ漂っており、もし自分がポジションを持っていなかったらおそらく誘惑されて開き直り買いしていたかもしれないという思いもあり、買いですか売りですかと言われても、いやあこれは正直わからんすわあという感想しか出ず、個人的にも今持っているポジションを引っ張る以外に中長期ポジションはできることがないという状態で、なんとも言えない状態が続いている。

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