中国、金保有19カ月ぶり積み増しせず 5月末

無限に買えるわけではないので。

上記ニュースでは中国政府が米債を売却してゴールドを購入を増やし続けてきて早18か月であるが、19ヵ月目にしてこれが止まったと報道されている。

実際に下記チャートの通り、中国の米国債保有金額は2021年11月から減少ペースを早め、そこと同時のタイミングで中国の外貨準備高に占める金保有量は増加していった。

【中国の米国債保有金額】

タイトルなし
https://en.macromicro.me/series/3357/us-treasury-bonds-major-foreign-holders-china

しかし、中国の外貨準備がここ久しく増えていないどころか、中国元安圧力が加わっている中で、外貨準備高の枠の中で金を買っていく予算は無限ではなく限られている。
そのため、ここまで金保有量を増やしてきたが、さすがにこれ以上米国債売却+金買いを続けると、いざという時に介入に使うドル流動性が維持できなさそうということで、さすがにここで米国債売却にストップがかかったということだと思う。
あとはあまり外貨準備を金だらけにすると、予期せぬ金価格下落が起きるといきなり外貨準備高量にダメージが入り、信用格付けに影響したりしてしまう。
(実際にベネズエラはそれで大失敗して死亡した)

そして思い出してほしいのは、今回の金価格上昇は中国人の買いが起点であったことである。
最初は政府なのか中国国民なのかといったところは非常に曖昧である上に理由は違うものの、両方が一斉に買い始めたことが金価格上昇のエンジンであり、中国情勢に疎い欧米人はこれに気づくのが遅れてなぜ金価格が上昇しているのかと首をかしげる事態となった。

そして途中で中国政府・中国人の買いだけでなく、米国で調子に乗ったコールオプション買いが流行り、金をはじめ銀などの貴金属価格を押し上げる要因となっていった。
しかし中国政府・中国人の粘り強い現物買いがないと、あとに残るのはワンチャン狙ったコールオプション買いばかりで、これは全員腐ったも同然となるわけである。
特に2300ドルを超えたあたりから米国ではゴールドETFのコールオプション買いが大量発生していて、明らかに投機的な買いが見られている中で、梯子外しを食らった形になった。
そう考えると、残念ながら当面金価格は2400ドル/ozを超えるのは今のところは難しく、当面ぐだぐだで時間がかかる形になるだろうと思われる。

【ゴールドのチャート】
タイトルなし


そうなると、これまで金属系の価格上昇はこの中国買いを起点にしていたわけであり、相関関係を考えると大分調子に乗っていた銀や銅も雰囲気はかなり怪しくなるのではないかと思う。
金の場合は資産保全目的であるが、銀・銅は産業目的や投機目的がメインであるので、金のように粘り強い価格維持は難しく、みんなが想像するより斜め下(特に銅)に下がることは想定しておいた方が良いように思う。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック