どんな金融商品にも弱点がある。

金曜日は日銀の金融政策決定会合を受けて一日で相当な値幅で円安が進んだ日であったが、上記Xのつぶやきの通り、どうやらトラリピで大損してしまった人が複数散見されたので、この件について少しまとめてみようと思う。
(GW中のお茶濁し的な)

このトラリピというのはなんなのかというのは具体的にはググったり、下記を読んだりして確認して欲しいところだが、単純に言えば事前に何個もFX取引においていくつかの通貨組み合わせで買いと売りのレートを事前に複数(相当な数を一気に)決めておくことによって相場の上下変動を利益に変えようという戦略である。

【参考記事】
はじめての人にちょうどいい、特許取得済みFX、トラリピ

個人的にはこのトラリピというものは名前だけは聞いていたが、具体的にどんなものかは知らなかったので、あらためて色々見ると思うところがある。
戦略としては限りなくマーチンゲール取引に近いものがあり、マーチンゲール取引に類似したものとわかれば弱点も明らかである。
自分が設定したトラリピ注文に対して逆に一気に向かうと、連続して新規建玉発注が行われてしまい無制限に損失が拡大してしまうことにある。
そして金曜日の日銀金融政策決定会合で植田総裁が現状の円安はインフレ率への影響は少ないと発言したことから円安容認発言と捉えられ、一日で対ドルで2円近くの円安となった。

【ドル円のチャート】
タイトルなし


その過程で安易なドル円・クロス円で円安に向かった時に円買い・外国為替売り注文を複数設定していた時はあっという間に続々と新規建玉が発注されてしまい、引き返せないレベルで全ての玉で大損が発生してしまったということである。

そういった意味で、このFXのトラリピという商品はVIXショートやコールオプションとプットオプションを同時に売るショートストラドルに限りなく類似している。
あとは個人投資家にとっては悪名高きEB債などもこのタイプにあてはまるだろうと思う。
相場が落ち着いているときはチャリンチャリンと少額ずつだがチリ積もで儲かるというものだが、相場が一方通行で動くと大きな損失を被る性質がある。

トラリピ自体はそこまで難しくないシステムだし、流動性の高い為替で相場に方向感がない中でチャリンチャリン儲かるとして、これに嵌る人もいるし、Xでは昔から高額アフィリエイト案件として実践しながら宣伝している人が多い商品でもあった。
実際に試しにやってみた人の中には相場に方向性がなくてもそれなりに儲かっておいしい思いをしたことから、トラリピに資金を大きく振り向けた人もいたのではないかと思う。

しかし、実際は上記のように相場が短時間で一方通行に動くと、設定の仕方によってはあっという間に破産レベルの損失を被ることがあるわけで、どのような金融商品にもリターンに対するリスクがあるわけで、自分が投資している金融商品は一体どのようなリスク(あるいは弱点とも言うべきだろうか)があるのかを常に把握しておく必要性がある。

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