Breaking: US PCE Inflation Soars 2.7%
PCEとCPIのまた裂きについて市場は何も消化できていないのでは?
PCE・コアPCEについて、前月比ベースでは小数桁1桁目までは市場予想と合致した+0.3%、前年比ベースではPCEの方は市場予想+2.6%に対して+2.7%、コアPCEは市場予想+2.7%に対して+2.8%となった。
若干前年比ベースで市場予想より上振れたものの、再利上げとか年1回しか利下げできないとなるような数値かと言われると、そうではないのではという数値というのが正直なところだろう。
さらに言うと、コアPCEベースだと2月の数値と比べて、小数2桁目まで見ると若干低下しており、コアCPIが2月より前年比ベースの数値が上昇したのと比べるとその非対称性が際立つ内容となった。
それにコアCPIが前年比+3.8%に対してコアPCEが+2.8%とその差は1%にもおよびはじめており、しかもこのままパラレルに進むと金融政策の判断基準である2%をまたぐ形の差が生まれ、そのいびつさが目立つようになる。
この差は何を意味しているかと言うと、都市部とそれ以外で相当景況感が異なるということを意味している。
これについては下記過去記事で書いていたので読んでもらいたい。
【過去参考記事】
さらに、じゃあなぜ都市部とそれ以外で景況感が異なるのかということを考えると、その答えも下記過去記事に書いてある通り移民の要因が非常に大きいと思われる。
【過去参考記事】
一方で移民が入っていない地域は、ただ単に高金利影響を受けて景気が弱まっているということである。
つまりこの流れが継続することは都市部は移民流入効果による景気の堅調さは続いているが、それ以外は相当弱いということを示すデータになる。
もちろんFRBはこれまで重視するのはPCEだと再三主張してきているわけだが、これに対して市場は「そうは言ってもCPIとPCEこれだけ差があって、PCEだけ見て政策を決めるのははたして妥当なのかキリッ」みたいな変なことを言い出した上に、それを勝手に市場に織り込ませに行く流れになる可能性は相当程度あると思う。
そうなると、現在市場参加者のポジションと併せて考えると、不協和音が生じるのではないかと個人的には危惧している。
具体的にはこうだ。
株の方はCPIとPCEの乖離の前に、もしかするとFRBが米国全体で見ると景気が弱まっているのに現在の金利水準を継続するのではないかという不安感が生じて株を売り払ってしまうがために株価が下落する。
一方で債券投資家の方は既に年1回しか利上げしないだとか再利上げがあり得るといった大まぬけな予想を勝手に織り込んでいるがために、PCEの低下の仕方を考えるとあまりにも調子こいた利下げ回数の無さは正しくないのではないかと金利は下がる方向に動く。
そのため、大人気な米債ショートトレードは逆をつかれる。
このような流れになると、これまでコンセンサスであった金利が下がれば株価は上昇するという相関が瓦解し、市場参加者にとって最もペインである金利低下+株価下落という組み合わせが生じる。
そうなると、安易に株を高値掴みした人・調子こいて米債ショートしていたヘッジファンド・金利低下+株上昇あるいは金利上昇・株下落でプログラム組んでたクオンツの全員が盛大にポジションが巻き戻されるために想定外に相場はボラティリティが上昇することを頭に入れておく必要性があるのではと思っている。
最終的にこの市場に自爆的な混乱は、FRB理事メンバーが「年1回利下げとか再利上げもあり得ると言ったな。あれは嘘だ」みたいな発言の引き出しが必要になるかもしれない。
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック
PCEとCPIのまた裂きについて市場は何も消化できていないのでは?
PCE・コアPCEについて、前月比ベースでは小数桁1桁目までは市場予想と合致した+0.3%、前年比ベースではPCEの方は市場予想+2.6%に対して+2.7%、コアPCEは市場予想+2.7%に対して+2.8%となった。
若干前年比ベースで市場予想より上振れたものの、再利上げとか年1回しか利下げできないとなるような数値かと言われると、そうではないのではという数値というのが正直なところだろう。
さらに言うと、コアPCEベースだと2月の数値と比べて、小数2桁目まで見ると若干低下しており、コアCPIが2月より前年比ベースの数値が上昇したのと比べるとその非対称性が際立つ内容となった。
それにコアCPIが前年比+3.8%に対してコアPCEが+2.8%とその差は1%にもおよびはじめており、しかもこのままパラレルに進むと金融政策の判断基準である2%をまたぐ形の差が生まれ、そのいびつさが目立つようになる。
この差は何を意味しているかと言うと、都市部とそれ以外で相当景況感が異なるということを意味している。
これについては下記過去記事で書いていたので読んでもらいたい。
【過去参考記事】
米国インフレ率は拙速で単純な結論に飛びついてはいけない
さらに、じゃあなぜ都市部とそれ以外で景況感が異なるのかということを考えると、その答えも下記過去記事に書いてある通り移民の要因が非常に大きいと思われる。
【過去参考記事】
移民ブーストで説明がつくようになってきた米国経済・相場動向
移民は何が何でも職について金を稼がなければいけないわけで、そうなると自然と都市部に行くわけであり、移民が都市部に入って消費をするがために都市部の家賃・物価動向が強い状態が続くというわけである。一方で移民が入っていない地域は、ただ単に高金利影響を受けて景気が弱まっているということである。
つまりこの流れが継続することは都市部は移民流入効果による景気の堅調さは続いているが、それ以外は相当弱いということを示すデータになる。
もちろんFRBはこれまで重視するのはPCEだと再三主張してきているわけだが、これに対して市場は「そうは言ってもCPIとPCEこれだけ差があって、PCEだけ見て政策を決めるのははたして妥当なのかキリッ」みたいな変なことを言い出した上に、それを勝手に市場に織り込ませに行く流れになる可能性は相当程度あると思う。
そうなると、現在市場参加者のポジションと併せて考えると、不協和音が生じるのではないかと個人的には危惧している。
具体的にはこうだ。
株の方はCPIとPCEの乖離の前に、もしかするとFRBが米国全体で見ると景気が弱まっているのに現在の金利水準を継続するのではないかという不安感が生じて株を売り払ってしまうがために株価が下落する。
一方で債券投資家の方は既に年1回しか利上げしないだとか再利上げがあり得るといった大まぬけな予想を勝手に織り込んでいるがために、PCEの低下の仕方を考えるとあまりにも調子こいた利下げ回数の無さは正しくないのではないかと金利は下がる方向に動く。
そのため、大人気な米債ショートトレードは逆をつかれる。
このような流れになると、これまでコンセンサスであった金利が下がれば株価は上昇するという相関が瓦解し、市場参加者にとって最もペインである金利低下+株価下落という組み合わせが生じる。
そうなると、安易に株を高値掴みした人・調子こいて米債ショートしていたヘッジファンド・金利低下+株上昇あるいは金利上昇・株下落でプログラム組んでたクオンツの全員が盛大にポジションが巻き戻されるために想定外に相場はボラティリティが上昇することを頭に入れておく必要性があるのではと思っている。
最終的にこの市場に自爆的な混乱は、FRB理事メンバーが「年1回利下げとか再利上げもあり得ると言ったな。あれは嘘だ」みたいな発言の引き出しが必要になるかもしれない。
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック