日本、予想外の景気後退入り GDPが2期連続マイナス

逆に相場落ち着きに貢献しそう。

上記はそこそこ前の話になるが、2月15日に発表された日本の実質GDP成長率がマイナスという話である。
これは普通の人が見ると、これで株価が上がるのはおかしいという話になってしまうが、個人的には逆にこれまで調子こいて日銀を崩そうと日本国債(JGB)ショートを続けていた外国人の戦略は完全に破綻し、市場の主導権を日銀が完全にグリップしたことを意味すると感じ、日本国債市場で市場の安定感が戻ってきたなと感じた次第だが、これについてまとめていきたい。

2022年後半から2023年中旬まではずっと欧米各国がインフレ対応最優先で従来では考えられないペースで利上げを行ってきて、国債ショートをしてきたヘッジファンドに多額の利益をもたらせていたが、同様にJGBショートで利益をあげようと狙った外国人が日銀アタックを続けていたのは記憶に新しい。
実際に日本のインフレ率も久々に高水準になったところでYCCアタックをかけまくったのは記憶にあたらしい。
そうした表層的な数値しか見ない外国人投資家から見た時に、この実質GDPマイナスというニュースは、これまで必死にJGBショートかましてYCCブリーチングを狙っていた戦略を再考せざるを得ないものとなるだろう。
普通に考えれば実質GDPがマイナスで、CPIについても徐々に日銀見通しレベルに低下しつつある中で、欧米のようなインフレ対応最優先の金融政策をする必要性があるのかと(今さら)気づくのである。
いや、正確に言うと、このニュースを見た時にこれまでのJGBショート戦略をしそうな人が減ることを考慮すると、明らかに分が悪い戦略となってしまった。
このことから、外国人によるJGBショートは2023年初めのような勢いはもう完全になくなったと言えるだろう。

そうなると、JGB10年の金利水準は非常に読みやすい動きをすることになるだろう。
具体的なレンジでいうと下限は0.5%で、上限は1%手前だ。
もっと細かくいうと、少なくともFRBが再度利上げに移行する時期にならなければ0.9%程度が上限だろう。
そして市場参加者は0.5~0.9%のド真ん中である0.7%に居座っている状態で、1月後半以降一切この水準から動いていない。

【JGB10年金利のチャート】
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これまでは非常に不透明な市場動向であったが、ここにきて非常にわかりやすい相場になったし、ボラティリティも非常に穏やかなのである上に、順イールドで市場参加者も順当に利益を挙げやすい状態であることから、JGBショートしている奴以外は全員ハッピーみたいな市場環境になっている。

10年債金利のフェアな水準が0.7%ということは、政策金利的に現在の経済環境を前提とするとせいぜいマイナス金利解除後に2回25bpsの利上げがあるかないかという話である。
そうなれば、企業も財務戦略を練りやすいし、個人も住宅ローンを組む際に過度に慎重になる必要性もなく、適度なインフレと融資拡大による景気好循環を日銀は応援しやすい地合いが継続するということである。

また、日銀の金融緩和継続が見通しやすくなったということで、これまで日銀も過度な金融引き締めに迫られるのではないかと怯えていた米国債や欧州債も金利は2/15の数値を基準としてそこまで上にはいかんやろということもなんとなく想像しやすい地合いになってきていると思われる。

【米国10年債金利のチャート】
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