Fed’s favorite inflation gauge rose 0.2% in December and was up 2.9% from a year ago

FRBのインフレターゲット2%は既に達成されている。

先週金曜日に注目されていた米国PCEデータが発表されていたのでそれを今回はまとめたい。
統計データとしてはPCEコアデフレーターは市場予想前年比3%に対して結果2.9%、前月比では0.2%予想に対して0.2%であった。
前月比については小数点が丸められているため、実際の数値は0.17%となっている。

PCEコアデフレーターについては前年比では確かに2.9%とまだ2%に達していないように見える。
しかし、これはまだインフレ率が高かった1~5月の数値を含んでいる。
下記データがFREDから元数値を入手して前月比を計算したデータになる。

【PCEコアデフレーターの前月比】
タイトルなし

https://fred.stlouisfed.org/series/PCEPILFE

これを見ると1~5月のまだインフレが残っていた時期の数値がすさまじいことがわかる。
ではインフレが正常化した6月からの数値を掛け算していき、7か月分を12ヵ月に換算するとどういう数値になるのだろうか?

【計算結果】
タイトルなし
結果は1.88%である。
インフレターゲット2%をクリアしているのである。
さらに言えば、木曜日に発表されていたGDP発表におけるコアPCE価格指数の四半期の前年比データも2%であった。
これらを総合すれば、やはりFRBが金融政策において最大の指標としているインフレ率は2%に既になっており、スティッキーもくそもないし、ラストワンマイルなんてものもなかったのである。
これこそFRBが待ちに待ったものではないか。
それに12月の前月比+0.17%という数値も2016~2019年と同じ数値である。
そしてここで思い出してほしいのが、この2016~2019年で同じコアPCEデフレーターの数値であった時の政策金利の数値はいくらであったかといえば、2.5%なのである。
いわゆる、FRBメンバーの大多数が予想している中立金利なのである。

そう考えると、もうFRBはいつ利下げしようかおかしくないわけである。
ただし、CME開示のOISによる政策金利予想を見ると、市場では利下げは前年比の数値自体が2%になる5月を100%としており、まだ3月については50%程度と見ている。
しかし、3月までにさらにもう一回PCEコアデフレーターの発表があるが、そこでもし下ブレしてしまった時に、伝統を重んじるFRBが1月FOMCで利下げ議論に入っていると言及しないと3月に利下げができなくなってしまう。
そう考えれば1月FOMCにおいて利下げ議論を始めていると言及する可能性は非常に高いと思う。
それさえ入ってくれば、利下げ開始時期が3月だろうが5月だろうがリスク資産にはほとんど関係ない話である。
また、上述したように2016~2019年程度のインフレ率に戻ってるとすれば、その時期の10年米国債金利3%前後であったことを考えれば、米国長期金利は3%に近づいていくだろうと思う。

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