【参考書籍】

21世紀の金融政策 大インフレからコロナ危機までの教訓
FRBのDOTSはあくまで参考で約束ではない。
当方では様々な金融関連書籍を読んで、良いものについては随時Xやブログで紹介しているが、その中でも上記参考書籍はまだ今年始まったばかりであるが上記の前FRB議長であるバーナンキ氏の最新の中央銀行の在り方について書かれた書籍は、ここもと読んだ書籍の中で最も学びの多い書籍だと感じた。
この書籍の中では他の金融書籍のように過去のFRBの金融政策の歴史を振り返るといったチープなものではなく、リーマンショック以降にデフレを克服するためにこれまでの中央銀行のコミュニケーションの在り方についてどう変えて市場に対して影響力を与えてきたのかを振り返っている。
具体的にはQE1に関する言及から始まり、その後量的金融緩和効果を高めるためのフォワードガイダンスによる時間軸効果への狙い、さらにFRBと政治はやはり切っても切れない関係な上に、リーマンショック以降は世間一般でもFRBの動向が注目されるようになったことから、これまでの市場参加者にだけ伝わればいいというコミュニケーションスタイルから世間一般にも伝わるように工夫をしていることなど、FRBのコミュニケーションスタイルがどう変わってきたのかが書かれていて、非常に参考になる部分が多かった。
その中で、FRBが公開しているDOTSについても言及があった。
DOTS(ドットプロット)とはFRB各メンバーが将来の政策金利の位置を予想したものをプロットしたデータであり、当ブログでも何回か言及してきた。
今年末、来年、再来年、中長期という4つの時期の政策金利を各メンバーがプロットしているものを年に4回開示されている。
このDOTSについてバーナンキ氏はデルフォイ型のコミュニケーションであると述べている。
デルフォイ型のコミュニケーションとはなんなのか?
上記書籍ではFRBの将来金融政策に対するコミュニケーションについてはデルフォイ型とオデッセイ型の2通りがあると述べている。
オデッセイ型というのはQE1・QE2にあったような、声明文の中に「2013年半ばまで量的金融緩和を続ける」と盛り込むことを指しているようだ。
これは「市場に対する約束」であり、絶対にFRBが守り抜くものであると書いている。
一方でデルフォイ型については「あくまでその時点で集まったデータを基にFRBメンバー各自が予想したもの」であり、これはオデッセイ型の「市場に対する約束」とは違うものであると書いてある。
つまり、DOTSはいつでも大幅に変えられる可能性があるのである。
バーナンキ氏もDOTSは市場に対する約束ではないので、いくらでも急変すると書いているし、これが市場に混乱を生み出すこともあると書いている。
しかし、開示しないより開示する方がより透明性の高い金融政策を実施できるとして、デメリットよりもメリットが上回るとして是であると述べている。
つまり、去年9月にタカ派芸人が調子に乗ったDOTSが開示されだが、これが12月にFOMCで完全に裏切られてピボットしたのは記憶に新しい。
しかもDOTSも9月に2024年2回の利下げ予想が12月には2024年3回に増えている。
去年9月のDOTSをまるで市場との約束だと思い込んで米債ショートしたり株ショートしたりした市場参加者はその後丸焼けになったのは記憶に新しい。
そういうことを考えると、今年6回利下げの可能性がまだ市場を織り込んでいる中でこれは今までのFOMCから考えれば織り込みすぎだと思っている人が多いが、1月FOMC・3月FOMCでいくらでもその思いは裏切られる可能性があると考えられる。
日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック

21世紀の金融政策 大インフレからコロナ危機までの教訓
FRBのDOTSはあくまで参考で約束ではない。
当方では様々な金融関連書籍を読んで、良いものについては随時Xやブログで紹介しているが、その中でも上記参考書籍はまだ今年始まったばかりであるが上記の前FRB議長であるバーナンキ氏の最新の中央銀行の在り方について書かれた書籍は、ここもと読んだ書籍の中で最も学びの多い書籍だと感じた。
この書籍の中では他の金融書籍のように過去のFRBの金融政策の歴史を振り返るといったチープなものではなく、リーマンショック以降にデフレを克服するためにこれまでの中央銀行のコミュニケーションの在り方についてどう変えて市場に対して影響力を与えてきたのかを振り返っている。
具体的にはQE1に関する言及から始まり、その後量的金融緩和効果を高めるためのフォワードガイダンスによる時間軸効果への狙い、さらにFRBと政治はやはり切っても切れない関係な上に、リーマンショック以降は世間一般でもFRBの動向が注目されるようになったことから、これまでの市場参加者にだけ伝わればいいというコミュニケーションスタイルから世間一般にも伝わるように工夫をしていることなど、FRBのコミュニケーションスタイルがどう変わってきたのかが書かれていて、非常に参考になる部分が多かった。
その中で、FRBが公開しているDOTSについても言及があった。
DOTS(ドットプロット)とはFRB各メンバーが将来の政策金利の位置を予想したものをプロットしたデータであり、当ブログでも何回か言及してきた。
今年末、来年、再来年、中長期という4つの時期の政策金利を各メンバーがプロットしているものを年に4回開示されている。
このDOTSについてバーナンキ氏はデルフォイ型のコミュニケーションであると述べている。
デルフォイ型のコミュニケーションとはなんなのか?
上記書籍ではFRBの将来金融政策に対するコミュニケーションについてはデルフォイ型とオデッセイ型の2通りがあると述べている。
オデッセイ型というのはQE1・QE2にあったような、声明文の中に「2013年半ばまで量的金融緩和を続ける」と盛り込むことを指しているようだ。
これは「市場に対する約束」であり、絶対にFRBが守り抜くものであると書いている。
一方でデルフォイ型については「あくまでその時点で集まったデータを基にFRBメンバー各自が予想したもの」であり、これはオデッセイ型の「市場に対する約束」とは違うものであると書いてある。
つまり、DOTSはいつでも大幅に変えられる可能性があるのである。
バーナンキ氏もDOTSは市場に対する約束ではないので、いくらでも急変すると書いているし、これが市場に混乱を生み出すこともあると書いている。
しかし、開示しないより開示する方がより透明性の高い金融政策を実施できるとして、デメリットよりもメリットが上回るとして是であると述べている。
つまり、去年9月にタカ派芸人が調子に乗ったDOTSが開示されだが、これが12月にFOMCで完全に裏切られてピボットしたのは記憶に新しい。
しかもDOTSも9月に2024年2回の利下げ予想が12月には2024年3回に増えている。
去年9月のDOTSをまるで市場との約束だと思い込んで米債ショートしたり株ショートしたりした市場参加者はその後丸焼けになったのは記憶に新しい。
そういうことを考えると、今年6回利下げの可能性がまだ市場を織り込んでいる中でこれは今までのFOMCから考えれば織り込みすぎだと思っている人が多いが、1月FOMC・3月FOMCでいくらでもその思いは裏切られる可能性があると考えられる。
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