日銀12月会合ライブ、正副総裁発言でマイナス金利解除観測が再燃

今年の総仕上げ的な動き。

12/19の日銀金融政策決定会合を控えて、日銀周りの報道が急速にあわただしくなってきた。
日銀の発表ペーパーや、氷見野副総裁の地銀がマイナス金利解除を要望しているという発言から、これまでまだあまり織り込まれていなかったマイナス金利解除が急速に織り込まれている。
そのため、為替をぶん回すロンドン勢が参加したあたりから1.5円程度のドル安円高になり、ドル円は145円あたりとなっている他、これまでイキリがちであったユーロ円などのクロス円も基本的に円高となっている。
なぜここにきて12月の会合でマイナス金利が解除されそうなのかおさらいしておきたい。

これまではマイナス金利解除をすると材料出尽くしとして150円を突破して政府・日銀が対応に追い込まれる形の円安になりかねない状況であった。
また、10年JGBがYCCの天井に迫ることも何度もあり、日銀側の対応はYCCの修正で手を打ってきた。
しかし、米国が9月FOMCで来年は2回しか利下げしないキリッというイキリが風前の灯どころか消えてしまっており、普通に来年4回利下げやろと市場参加者に見切られている状態で、もはや欧米について市場参加者の焦点は来年何回利下げするかにフォーカスされていることによって、ようやく欧米の実質金利の低下から円安プレッシャーが自然と低下し始めており、円安対応から解放される形となった。

しかし、このままだと来年欧米が利下げしている中で、変に利上げと捉えられるような金融政策の変更は非常にしづらい。
なので、ここが最大のチャンスだろう・どうせマイナス金利なんて市場への影響なんてここまできたら全然ないんだしということで、一気にマイナス金利解除に動き始めているというのが実情だろうと思う。

そして12月にマイナス金利解除だとしても、それは単なる駆け込みであり、来年はもはや他国が利下げしている中でプラス領域政策金利引き上げなんてやると強烈な円高により、これまで必死にやってきた持続的な賃金上昇率2%をぶち壊しかねないので、おそらく12月の政策決定会合ではこれは金融引き締めではなく、持続的な金融緩和を続けるための措置として市場をけん制し、来年は普通に現状維持という変わり映えしない金融政策決定をして大過なくやり過ごすという流れになるだろう。

しかし、日銀文学に疎い欧米人中心に「え、マイナス金利解除でここからさらに利上げ進むってことじゃないですか!?」みたいな考えが発生したことから昨日はロンドン時間から円相場大荒れからの米国時間でミニフラクラ発生で大量にストップロス駆られる事案まで発生したが、日本人から見たら10bpsのマイナス金利解除でここから先はどうよという話なので、短期的にはこの辺がちょうどいい塩梅だろう。

【ドル円のチャート】
タイトルなし


なので、このマイナス金利解除でぎくしゃくしている部分は、12/19の会合が終了すれば普通に結局あのドタバタなんでしたっけという形で、凪な相場が戻ってくるだろうと予想している。

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