オープンハウス前期、純利益18%増 自社株買い100億円

金融緩和修正の道のりは長いと思うけどなあ。

オープンハウスのIR決算資料を眺めていて、先行きの市場動向予想について思うところがあるので、今回はこれについてまとめていきたいと思う。

ここもと都心の一部新築駅近タワマンが信じられない価格での売り出しなどになっている他、インフレ率うんぬんということもあり、多くの人にとっての焦点は「日銀はいつ金融緩和を全面的に撤回するのか」という話が中心になっているように思う。
しかし、下記のオープンハウスのIR資料を見ていると、はたしてそんな順当にことが進むのかというのに個人的には疑問を持つ内容となっている。

【参考資料】
タイトルなし

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https://openhouse-group.co.jp/ir/library/library_01.html

上記のオープンハウスの決算資料を額面通りに受け取ると、都心の住宅需給は開発用地の少なさから需給がしっかりしていて引き続き堅調推移するが、首都圏以外の地方戸建てになると需要が鈍っており、在庫が過多になっており在庫調整が発生しているということになる。
ようは総上げ時代は終了していて、立地による選別が進んでいるということになる。

これが意味することは、東名阪の首都圏住まいとそうでない地域の体感経済はかなり違うということになる。
首都圏住まいの人達から見れば、住宅を探しても良いと思える物件は瞬間蒸発するし、新築駅近タワマンは信じられないような値付けがされて度肝を抜いている。
そういうのを基準にすると景気は過熱していて今すぐ金融緩和をやめて金融引き締めをしろという論理に傾きやすい。
しかし、これは首都圏に住んでいる1/3の人口の人達の意見であり、残り2/3について十分考慮されていない考え方だと言えるだろう。
残り2/3が居住する地域では在庫過多で調整が発生しているわけで、そのような中で金融緩和の拙速な撤収は再度地方経済に影を落とす可能性を否定できない状態になりつつある。

なので、どうしても東京に住んでいる人間はすぐにでも金融緩和を解除して利上げしろ、そうなると住宅ローン金利が上昇するから不動産はすぐ売れ(不動産Gメン理論)という理論が一見正しく見えるが、地方経済も考慮すると個人的にはどうしてもすぐに金融緩和の全面解除+プラスの政策金利になるという言説について数年先の話であればまだ理解できるが、来年すぐにでもというとそんなことなくないかと思う次第である。 

ここらへんは米国景気が鈍化していく中で、米国中小型株が下落あるいは上昇しないために金融引き締めの手が緩み金利が低下する中で、それを踏み台にして上昇を継続する米国大型株と構造はそっくりと言えるような気がする。

【過去参考記事】

中小型株を踏み台にする米国大型株と金利動向



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