中国財政省、地方政府の債務リスクを防止・解消すると表明

ほう、これは少し面白い展開になってきた。

上記ブルームバーグ記事では、国営新華社が財務省が地方政府の債務リスクに対する言及を報道している。
その中で注目すべきなのは「財政省はまた、積極的な財政政策を強化・実施し、地方への支払い移転を改善する方針も示した。」と書かれている部分である。

これまで地方政府債務について、中国政府が監視を強化するみたいな報道は出ていて、これは中央政府は地方政府に対して「お前らの債務は自分で解決してね」という話でしかないと捉えられていた。
しかし、上記ブルームバーグ記事を見る限りでは、必ずしもすべてがそうではなく、中央政府が地方政府の債務について支払い移転を考えていると捉えられるような内容が短く書かれている。

もしこれが本当に地方政府債務を中央政府が肩代わりする、つまり地方政府債務が中央政府債務に移転されるのであれば、これは一つの財政支出拡張による景気対策であり、これまで当ブログで主張してきた財政支出拡大+金融緩和の組み合わせが、まだ絶対量は足りないもののパーツは揃う可能性が生じてきている。

そもそも2021年までの中国政府・習近平はこれまで株主をゴミみたいな扱い方をして好き勝手に投資家から資金を収奪する意味不明な経済政策を連発してきて、我が世の春を享受していた。
しかし2023年も後半になり、本土株の印紙税率を引き下げたり、ファンドに株を売るなと指導したりと、もはや毎日株価を見て一喜一憂している素人個人投資家と同レベルの感性を露呈させている。
こうした株価下落によって投資家から「景気対策を打たないなら用はないから」という圧力を習近平・中国政府はかなり感じているはずである。
CSI300ベースでも上から下まで40%も下落していれば、GDP世界2位の国のくせにという体たらくが世界中で喧伝されるのはやはり我慢ならないのだろうと思う。

【過去参考記事】
タイトルなし

カントリーガーデンデフォルト以降は、経済に対する緊張感は格段に高まっているわけで、総合的に考えれば中国政府・習近平がいくら馬鹿でも無策でいると考えるのは少し侮りすぎではないかと感じている。

【過去参考記事】

カントリーガーデンのデフォルトは中国追加景気対策開始の号砲

こうした点を考えると、中国政府がどれほど出すかは不明だが、市場からの財政支出拡張をさっさとしろという声を完全無視するのは難しく、ある程度は財政拡張的な経済政策は出てくるだろうと想定している。
特に火曜日の中国株・香港株の上昇はなんとなくこの可能性を織り込み始めている反発なように見える。

ここもとはやや米国株や日本株が軟調推移しているということもあり、さらに中国景気崩壊論を色々見てしまってリスク資産を持っているのは危ないと考える個人投資家は増えているように思う。
しかし、上記の通り中国政府の景気支援策の可能性が高まっている中で、中国景気やばいから持っている米国株や日本株を売却しなきゃと慌てて売るのはなんとなく置いていかれるリスクの方が高いんではないかと考える。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック