[社説]BRICS拡大を懸念する

意味ある組織に見えないのに、なぜか素人ほど過大評価しているように見える。

直近でBRICS会議があったということもあり、地政学変動が色々注目されている中で、このBRICSについても何か新しい地政学変動を起こす集団ではと見る向きが一部報道や個人投資家の間で注目されているように見える。
しかし、このBRICSほど過大評価されている組織はないんじゃないかなと思うので、今回はこれについて個人的にまとめていきたい。

まず過大評価されていると思う原因の1点目は、そもそもBRICSというもの自体が2001年にGSのジムオニールが成長が著しい国として挙げたのが初であるが、そこから何やら自分達は新興国の代表みたいな変な面しながら集まったという点がある。
このために、何かしらきちんとした大きな理念があるようには見えず、BRICS間のそれぞれに求めることというものの乖離が非常に大きいことが挙げられる。
このために、集まったところで何かまとめられるという雰囲気がしない。

BRICSという組織が過大評価されている点の2点目としては、集まり方の動機の中心である「反米」との度合いが非常に差があることにある。
基本的にBRICSという集まりは、単に「米国が嫌い」という反米チック的な思考の下に集まっている集団である側面が強い。
しかし、この「米国が嫌い」という度合いも非常にマチマチである。
ロシアのようにガチ反米みたいなところから、インド・ブラジルのように米国の指図は受けないが対等的な関係ではウェルカム的な姿勢を見せる国など、まだら模様感がある。
そのため、BRICSで何か実効性のある意見がまとまるという感触がしない。

3点目に、これは一番大きい話であるが、本来こういう国家間集団において絶対的に必要な事務局がないことにある。
一般的には国家間組織においては、トップ同士が集まって何かを決める前には水面下で事務局が調整をしていって、実効性あるものに落とし込んで、最後にトップリーダー同士がセレモニーで発表するという段取りとなる。
しかし、BRICSというのは実はこの事務局が存在しないのである。
そのため集まったところで、綿密な事前調整などされておらず、それっぽい大きなことを言った後は、その後各リーダートップが帰国すれば発表したことは綺麗さっぱり忘れているというほとんど意味のない集まりをしているに過ぎない。

こうしたことを考慮すると、BRICSの会議は集まったところで何か世界を変えるような発表が出てくるというのはまずありえないというのが国際情勢を見ているプロの人達の一般の見方である。
発表されたところで実行力がないので、どちらにしても意味がないというのもプロの一般的な見方である。
一方で、個人投資家は昔から馴染みのある次世代成長国として名前だけは聞いていることもあり、BRICSが集まり、なんかそれっぽい話が出てきそうとなるたびに、何やら意味のある投資テーマのように煽るというケースが多く、昨今の素人投資系Youtuberでもこれをテーマとして動画一本取る人間もいたりする。
(まあそういう人間は知識ない単なる素人ってことだけど)

というわけで、BRICSの集まりというのが何か新しい投資テーマや地政学の変動を起こすというのはまずありえないと考える前提でニュースをチラ見程度していればよいと思う。
 
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