中国人民銀行、今年2回目の「サプライズ」利下げ…景気下支え狙う

状況が最悪であれば、対応策が出ることは当然。

足下のカントリーガーデンの報道はかなりセンセーショナルに報じられており、海外メディアの他、日本の投資系Youtuberも盛んに取り上げるほどのかなりでかい事案であることがほぼ周知されたように思う。
一部ではこれが中国不動産市場の崩壊と論じているが、個人的にはそうではなく、これは追加景気対策がどんどん追加されていくきっかけとなる号砲であり、必要な犠牲であったと認識しているので、そのことをまとめていきたい。

ここもとニュースでは中国の不動産市場崩壊を騒ぐニュースが多いが、はっきり言えば遅い。
当ブログではエバーグランデのデフォルト時に既に中国不動産市場は終わりと書いてきたわけで、既にこの時から2年の時が経っている。

【過去参考記事】

エバーグランデは理財商品の償還に失敗して完全に詰む


そこに加えて超一流不動産デベロッパーのカントリーガーデンのデフォルトというのは、エポックメイキング的な事件と評価できるだろう。
そしてこのエポックメイキング的な事件を受けた週に、すぐに中国はMLFの15bps引き下げやA株印紙税の引き下げ検討など、市場予想外の追加景気対応策を発表することを余儀なくされた。

そもそも、中国政府は一応不動産デベロッパーの連鎖デフォルトについては昨年時点でかなり気にしていた。
だからこそ去年11月に中国政府が優良だと認定した不動産デベロッパーが実質政府保証で債券を発行して、つなぎ融資を得られるスキームを作って資金融通をしていた。
これによって、今年前半には不動産販売金額が前年比でプラスに転じたことから、不動産の最悪期は脱したとして早々とこのスキームを終了させてしまった。
大きな悲劇はこの勘違いにあり、その後去年11月に実質政府保証債券を発行できた不動産デベロッパーが次々とデフォルトし、誰もが数年前にはデフォルトすると思われていなかったカントリーガーデンがデフォルトしたのである。

こうした流れで、カントリーガーデンのデフォルトにびっくりした中国政府は矢継ぎ早の追加景気対策に動かざるを得なくなった。
2年間の時間をかけてどれだけ現在の不動産市場崩壊具合がどれだけ深刻かというのが時間をかけて中国共産党も感じたことかと思う。
(逆に言うと気づくのに2年もかかったのかこの馬鹿がという話だが)
さらに、以前のブログで書いた次にデフォルトしたらやばい不動産企業として挙げたバンケのドル債が既に信用危機が起きているという動きをしている。
このことを考えれば、中国共産党は毎月どころか、毎週新しい追加景気対策に迫られるだろうと考えるのが自然な考え方だと思う。
状況が最悪であることが皆に周知されれば、対策が出てくることは当然であり、下記考え方を参考ににしてもらいたい。

【過去参考記事】
なぜ株価は傍から見れば最悪な経済状況・タイミングで底打ちするのか

より状況が深刻化すればおかわりも期待できるだろう。
次に潰れたらやばいバンケのドル債が既にやばい雰囲気を出している中ではおかわりがないと考えること自体がナンセンスだと思う。

【バンケのドル債価格推移】
タイトルなし

https://www.boerse-frankfurt.de/bond/xs1713193586-vanke-real-estate-hong-kong-co-ltd-3-975-17-27

以上から、少なくとも中国経済に疎い欧米エコノミストが予想するよりはかなり速いペースで追加景気対策は出てくるということを前提に相場の立ち回りを考えていきたいと思う。
なお、追加景気対策が出てこない場合は出てくるまでひたすら株売り・国債買いが行われるだけなので、中国政府は自分で自分の首を絞めているだけの、投資家から見れば「あいつなにやってんだ・・・」となるだけである。
 
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