デジタル広告をめぐる争いが重要な局面に…メタがiOSの呪縛を逃れるためにすべきこと

オンライン広告頼み企業の先行きは厳しい。

ここもと相場は上昇傾向で、比較的色んな企業の決算状況を確認しても明るいところが多く、先行き不安を感じるセクターは体感的に比較的少ない。
しかし、その中で先行きかなり不安だなあと思うのがオンライン広告事業を主体としたIT企業である。

【参考書籍】

ウーバー戦記:いかにして台頭し席巻し社会から憎まれたか

上記書籍を読んでもらえればわかるが、ウーバーがアプリに過度に個人情報を収集するコードをしのばせてAppストアに繰り返しアップロードしていたことがばれて、これに対してアップルはどう対応するかで悩んでいた。
しかしアップルには「個人情報は当事者だけが持つべきものであり、他の誰もが操作することは許さない」というポリシーの下、当時役員であったティムクック氏(現CEO)がウーバーに対して不正を是正することを要求し、かつ次に同様な不正を行った場合はAppストアから永久BANすることを通告し、当時ウーバーCEOのカラニック氏はこれに屈するしかなかった。
これはアップルはいくらウーバーがアプリストアの中でキラーコンテンツであったとしても、 個人情報を脅かそうとする企業は断固として受け入れないという姿勢を見せたわけである。

では時計の針を現在に戻したい。
現在個人情報に対しる意識は以前より格段に強まっている。
そのため、アップルは既にiPhoneから収集できる個人情報を絞っていることはこれまでの報道でも明らかになっている。
この流れはおそらく遅かれ早かれAndroidでも同様な流れとなるだろう。
そうなるとアプリ経由で個人情報を抜いて精度の高い広告を配信しているIT企業はどうなるだろうか?
まず起こる問題は広告の精度が下がる。
広告の精度が下がれば、広告主は広告出稿を躊躇うことになる。
そうなると広告収入は従来より下がらざるを得ない。

これはメタなど既に十分なユーザーが集まっている企業ならまだ影響はましだが、小さいところになればなるほど、広告主は広告出稿を躊躇う確率が高まるため、影響は大きくなるだろう。
そうなるとSNAPとかPINSはどうなるだろうか?
そしてそれ以下の有象無象のプレーヤーはどうなるだろうか?
小さいオンライン広告主体のIT企業の株価を見てもらえればズタボロであることは明白である。

個人情報規制において禊が終わるまでは、小さいところを中心にズタボロな株価が回復することはないだろうと個人的には見限っている。

日々金融市場で思ったことや金融データをつぶやいている村越誠のツイッターはこちらのリンクをクリック