びびってるのがあほらしくなる。

以前のブログ記事でシャドーバンクプレーヤー(いわゆる銀行などの金融規制に縛られている人達ではなく、その外側にいるプレーヤー)が地銀の融資絞り込みの穴を埋める形で投融資を行っていることについて記事にした。

【過去参考記事】

米国ではシャドーバンキングが地銀の穴を埋める


ニュース報道を見ていると、この流れはさらに増えているようにしか見えないのが昨今の状況である。
まだSVB破綻した翌月ぐらいまではぽつぽつといったディールの動きに過ぎなかった。
しかし、6月になってから、ファーストペンギン的に飛び込んできたシャドーバンクプレーヤーがうまくいっているのを見たことに加えて、他のシャドーバンクプレーヤーもじゃぶじゃぶに金を余らしていることを察知したプレーヤーが他のプレーヤーよりどれだけ早く、資産を売却したいと考えている負債過多企業から優良資産をハイエナするかというよーいドンという競争になりつつある。

如何にシャドーバンクプレーヤーのディール一覧ニュースのリンクをどんどん貼っていってみたい。

【参考ニュース】
KKRが最大400億ユーロ取得で合意、米ペイパルのBNPL融資債権

PacWest sells $3.5 billion loan portfolio to asset management firm Ares

Buyout titans weigh purchases from Silicon Valley Bank loan book

Brookfield seeks $15 billion for property fund despite sector turmoil

Oaktree raises $2.3bn fund for life sciences lending push

検索すればまだまだこうしたファンドレイズの話や、地銀が融資を絞った先への信用供与、レバレッジを落とすために売却されている資産やローン、ディストレス債への投資拡大などシャドーバンクプレーヤーはせっせと投資家からの資金集めと投資を猛烈なスピードで進めている。
しかもこうした取引をおおっぴらに公表していることは、これらシャドーバンクプレーヤーの一つの狙いがある。
それは資金集めと売却資産の公募を同時に行っていることにある。
普通はあまりこういう取引については、おおっぴらに公表することは誰がどのような手口で商売をしているのかという話がばれてしまうため、秘密裏に行われるケースが多い。

しかし、現在は秘密裏にちまちま行うよりも、大々的に手口を公表することによって、スポンサーにはこれだけ様々な投資案件を抱えていることのアピールと、一方で負債返済に苦しむ企業や銀行からは売却案件の持ち込み応募を促しているわけである。

しかも、こうしたシャドーバンクプレーヤーは銀行のようなそれなりにお行儀のよいルールに則って形式ばった事業を行っているプレーヤーではなく、いわゆるバーリトゥード・総合格闘技的に儲かるならなんでもやるといったハングリー精神の権化みたいなプレーヤーばかりであり、そうしたマッチョプレーヤーが儲かると思われる資産を買い漁っているわけである。
こんなのを見せつけられたら、米国市場で地銀危機に伴って経済が崩壊するなんていう懸念は、一見頭がよさそうな言説に見えるが、実際は現実をきちんと見ていないチキン野郎と評価するのが正しいだろうと思う。

こんな危険なアセットクラスを頭がいい人達が買い漁っているわけである。
こんな状況で優良企業の株価が暴落するなんて、妄想もいいところではなかろうか?
というより、少しでも株価が下に行く可能性があると思った時点で、おそらく今年の相場には全くついていけないだろうことは想像できるだろう。
ということで、当ブログでは引き続きリスク資産全般に強気スタンスを維持したいと思う。

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