中国が不動産市場支援パッケージ検討、景気押し上げ狙う-関係者

本当にインパクトある支援策が出てくるかどうかは甚だ疑問。

上記の通り金曜日に中国から不動産市場支援について新規で何かを検討していると報道され、これに基づいて金曜日は中国・香港株は大幅高となった。
またこの流れを汲んで、米国株・日本株においてもシクリカル系銘柄が元気になるといった好影響が出ている。

過去ブログ記事でも書いた通り、既に中国の景気回復は止まってしまっており、特に一番癌となっている不動産市場については既に販売回復モメンタムは失われており、市場参加者からはもはや追加の景気対策実施は不可避と見られていた。

【過去参考記事】

もはやセルサイドでも擁護できなくなった中国景気の悪化


一応はこのニュースで金曜日の中国株はまだこれまでの下落分を全然取り返せていないものの、大幅高で推移した。

【香港ハンセン指数の推移】
タイトルなし


一部ではこのまま大反転で利益がっぽりみたいな皮算用している人もツイッター上ではちらほらみられる。
しかし、個人的に中国株・香港株の底抜けぐらいは回避できそうだが、積極的に上値を追えるのかどうかというのには甚だ疑問を持っている。

まず上記不動産市場支援パッケージについて、まだ検討中という示唆の仕方で、具体的に本当にインパクトあるものが出てくるのかどうかという疑問が大きい。
特に習近平3期目近辺からは2022年3月に劉鶴副首相の「中国経済を助けるためになんでもやる」という嘘っぱち啖呵を切るところから、景気対策について本当に状況が深刻化するまでは口だけというケースが非常に多い。
しかも一度支援策を取りまとめたはずなのに、支援策が継続されず、再度状況を悪化させるというケースも見られている。
その現象は特に不動産市場で見られており、早々と不動産企業の融資支援策を撤収させて、再度不動産企業の連鎖デフォルトを招いたことは記憶に新しい。

【過去参考記事】

中国で民営不動産デベロッパーのデフォルト連鎖が再開


そのため、中国株を触れるようになるには、中国政府が本当に中身ある政策を出してくるかどうかが問題となる。
ようは口先だけでなく、本当に投資家に対して真摯な行動をしてくれるかどうかにある。
ただし、上記リンク記事を見ると頭金規制の緩和や仲介手数料の削減みたいな小手先っぽいものが多い。
既に中国の不動産市場は崩壊しているわけなので、不動産企業へのつなぎ融資支援and住宅ローン金利の大幅緩和をして不動産企業が緩やかに在庫削減する時間を与えなければいけないのだが、そこまで現状踏み込めていない。
その理由は結局習近平のしばき上げ体質・根性理論者・異様なまでのバブル忌避体質からくるものである。
以上から本格的に中国景気を上げ潮にできるほどのものではないし、中国・香港株についてもせいぜい横ばい維持って程度のインパクトに留まるのではないかと考えている。
それだけ中国景気に対して深刻に見ている理由は下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
これから中国が長いデフレに苦しむ理由

そもそも中国は何か政策発動する時は民主主義国家のようにめんどくさい手続きは必要ないので、さっさとやればいいのである。
それをわざわざもったいぶってこうした目立つ形で主張するのは、実弾を投入せずに投資家を騙せないかと考えている証拠である。
しかし、これまで何回も騙されてきた外国人投資家は、もはや実際に中国政府が何を実行したか以外は信用しなくなっていることは当ブログの読者であれば、想像は容易だろう。

個人的にはこの支援策で米国・日本株のシクリカル銘柄が下支えされればいいぐらいの考えしかなく、中国株・香港株は他国の株に悪影響を与えないぐらいのグダリ方しててくれればいいぐらいの感覚しか持っておらず、特段新規で投資資金を投じる気には全くなれない。

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