【参考書籍】

お金2.0 新しい経済のルールと生き方

よくよく考えると投資家の金で遊ぶなという話。

図書館で新しく勉強するために色々本を漁っていたら、ひと昔前に話題になったメタップス元CEO(出版当時は現CEO)が出版して話題になっていた書籍が図書館にあったので、借りてパラパラと呼んでいた。

全体として歴史的な観点みたいな随分高尚なことを書いてたりするが、歴史的事実から自分のビジネスを語る際に非常に自分の都合のいいように解釈していたり、そもそも図で「有機的なシステム」と言いながら永久機関の図をのっけたりなど、かなり粗がきつい書籍であるといった感想が正直なところだ。


そして読み進めていく中で、この書籍の著者の本当に言いたいところ・気持ちというのが垣間見えたのが、以下の小見出し文章タイトルである。

・「お金」のためではなく「価値」を上げるために働く 
・お金にならなかったテクノロジーに膨大なお金が流れ込む(今まで「儲からない」という理由で投資を受けられなかった最先端のテクノロジーへの投資加速)

ここらへんは普通に考えると普通の株式投資家から言わせれば噴飯ものだろう。
株式投資時代は今持っているお金を投じることによって、その後にプラスのリターンで返してくれることを期待して行うシステムである。
それに対して、メタップスCEOは「お金ではなく、違う尺度で評価してね」「今はうちは儲からないけど、そういうブームだからねテヘッ」みたいないい加減さ・IPOで金を投じた人達を小馬鹿にしたような言説がちらほら見えている。
適切なリターン(お金)で返す気がないなら、上場すべきではないし、上場してお金を得たからこういう書籍を得意気満々で出版するというのも、株主投資家から見れば狂気の沙汰ではないという評価ができるだろう。

そして結局その後どうなっただろうか?
日本株はメタップスIPO当時はひふみが主導した中小型株バブル相場で、ド赤字でIPOで無理やりイグジットしたが、ひふみピークと同時に株価はひたすら下落。

【メタップスの株価チャート】
タイトルなし


コロナ禍の過剰流動性を背景に一時的には株価回復が見えたものの、その後の世界的な金融引き締めを背景に、負債コストが急上昇する中で、今現在利益を出していないに数年内に利益を出す見込みもない企業については鼻紙ティッシュほどの価値もないとして株価はゴミクズのような動きをしていき、メタップスはその代表格的な動きとなった。
そして最終的には現CEOによるMBOで、上場して以降に投資した人はほぼ全員損失を被って終了となった。

このようにまともなリターンを出せないくせに、大言壮語だけ立派で、かつアフターコロナでの金融引き締めが始まる前までの過剰流動性相場で上場できただけで、その後は会社IRリリースや出版物でお金を稼いで投資家に返すという意識が希薄だとしか思えない言説をする企業に対して、自分の大事なお金を預けてしまうと好き勝手使われて終了という形になる良い例・かつ投資してしまった人達にとっては高い勉強台になったと思う。

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