China Builder KWG’s Shares, Dollar Bonds Plunge After Default

これだから経済わかってないやつは駄目なんだよ!

2021年から中国ではエバーグランデを皮切りに次々と壊滅的に不動産デベロッパーがデフォルトしていったわけであるが、一応その流れは2022年11月の白紙運動を受けて慌てて不動産デベロッパーのつなぎ融資支援をするとして、実質政府保証債券を優良不動産デベロッパーが発行するのを許可することによって状況の安定化をはかった。
それまで中国政府は銀行に融資をしろとせっついていたが、これで貸して不良債権化したら銀行トップが責任取らされるわけなので、そんなの無理っすわーということで拒否され続けていたので、この政府保証による融資というのは、これ以上の不動産デベロッパーのデフォルトを防ぐために必須のものであったことは、これまでブログでも書いてきた内容である。

この2022年11月に実質的な優良不動産デベロッパーの認定お墨付きでもあるような政府保証債券発行について、起債できた企業の中にKWGプロパティーズというUSD社債も比較的大規模に発行していた上場中堅民営不動産デベロッパーがなんとデフォルトしたのである。
これは非常に不可思議な話である。
2022年11月に政府保証債券が発行したことを考えれば、普通は「中国政府はこれ以上の不動産デベロッパーのデフォルトを容認しない」というシグナルであり、一度貸したならばその状況の深刻さもわかっているはずなので、当面状況が安定化するまで政府保証債券による融資つなぎ支援のスキームは継続させる必要性がある。
しかし、デフォルトしているどいうことは、どうやらこのスキームが継続されていないということになってしまう。

これはかなりゆゆしき自体ということに加えて、やはり習近平政権には経済に明るい人間が一人もいないことを示すものである。
まず駄目な点として少し不動産販売数が前年比プラスになって安心したからといって手を緩めたことにある。
これまで不動産デベロッパーは多額の有利子負債を抱えて博打経営をしていたわけであるが、後ろからどんどん借金の返済期限がせまっているわけである。
しかし、どうやら習近平はこの時点でもう不動産危機は落ち着いたということでもう自力でどうにかできるやろということで、つなぎ融資支援をやめてしまったのである。
これはより状況の悪化させる可能性がある。
理由としては2022年11月の時はまだ不動産危機の第一波だったわけで、政府の対応が遅れたために民営不動産デベロッパーがデフォルトしてたのはまだわかる。
しかし、それに対して市場の悪化を食い止めるために一度支援をして、かつ「優良不動産デベロッパーの融資を支援する」とあれだけ声を大にして説明して、これから不動産を購入しようとしている人達に対して安心感を出そうとしたにもかかわらず、「優良不動産デベロッパー」認定されていた民営不動産デベロッパーがデフォルトしたのである。
これは、住宅不動産購入者から見れば「もう民営不動産デベロッパーは完工するまで生き残っている可能性が保証されない」と考えざるをえないわけなので、民営不動産デベロッパーの物件なんて購入できるわけがなくなってしまう。
そうなると、もはや中国市場で生き残れる不動産デベロッパーは国営のみとなるが、そんなことになれば民営不動産デベロッパーの有利子負債は全て不良債権になるわけである。

そういうことにさえ頭が回っていないというのが習近平政権の特徴であり、かつ統計を数値面だけ捉えて、その裏側にある事情を全く理解していないというのが、経済・金融畑のいない政治陣営の致命的な欠陥である。
こういったでたらめな経済運営によって、下記の通り中国経済はひたすら低迷していく流れだと個人的には考えている。

【過去参考記事】
これから中国が長いデフレに苦しむ理由


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