日銀、大規模緩和を維持 金融政策のレビュー実施へ

しばらく無風観測。

注目の植田新日銀総裁下での金融政策決定会合が金曜日に開示されたので、あらためて内容と市場の反応を確認していきたい。

まず最初に決定内容ペーパーが出てくるので、そこを確認するとインフレ率について全体的に1月時点予想より引き上げられているものの、2025年予想についてはコアで2%以下になるという予想が維持されていることから、この時点で金融政策の修正可能性が去年12月に一瞬織り込まれたところからは明らかに剥落していることがあらためて示された。

現状維持とこうした要旨が開示されて一瞬銀行株が一気に売られる流れとなったが、個人的にはひふみ投信がSVB銀行の時の下落を丸々受けてしまって、早々と銀行株OWを撤退させざるを得ない事態となって以降は、おそらく機関投資家の銀行株OWはそこまで深くなっていないだろうと思っており、金曜日一日ぐらいは影響を受けそうだが、おそらくはGW明けは平然とした動きに回帰することを予想している。

【過去参考記事】

日本の銀行株を買っている機関投資家はひふみ投信と判明して、やや賞味期限が切れ始める


【ひふみの銀行OW縮小報告ペーパー】
https://hifumi.rheos.jp/fund/plus/pdf/report202303.pdf

ドル円は少し跳ねたが、135円程度ということもあるし、後ろからFRBの金融引き締め停止が迫っていることを考えれば140円を果敢にアタックするような気配もないので、特段為替が日銀政策におよぼすステージではないだろうと思うし、ひろゆき信者のポジションがしこったまま含み損で悶えている状態だから円安ドル高に賭けるのはそこまでリスクリワードが良いわけではなさそうに見える。
ドル円触るぐらいなら、まだ利上げ余地が複数回残っているユーロ円を攻めた方がいいんじゃないかという考え方もあるように思う。

JREITは素直に本格的な金融引き締めは2025年まではないという気配を受けて素直に上昇となり、ようやくJREITの喪は明けたように思われる。
 
そして夕方頃から記者会見が行われていたので、ここも念のため確認してみた。
大きな大前提としてはまずはエネルギーインフレなどの外的要因インフレが消えていくことによって、一旦インフレ率が下がっていくのは当然ということだが、その後のインフレ率動向については不確実性が高く、時間が経たないとわからないというニュアンスが強かった。
そのため、当面は粘り強い金融緩和姿勢の継続が必要であること強調したため、YCC撤廃はともかくとして、その他の政策変更については2025年まではとりあえずなさそうと見越せる。
ただし、それは様々な変数が動かない前提で、状況が変化すれば政策は変更するといった回答も見られた。
レビューについても、今後の金融政策には直結するものではないことを前置きをする念の入り用であった。

総合的に見ればYCC撤廃は奇襲的に行うしかないので、いつ行われるかわからないものの、その他の金融政策修正については、再度先進各国で強烈なインフレ上昇がなければ2025年までは少なくとも修正されることはないだろうという安心感が市場に浸透したように思われる。
そのため共通担保オペの範囲である5年までは基本的にゼロ近傍の金利で張り付き、そこから日銀が適切だと考える比較的綺麗なイールドカーブを形成するためにオペをコントロールしていくという流れが続きそうだ。
そういった意味では場中の動きは概ね適合した動きであり、日本のリスク資産全体は日銀の動向懸念が払しょくされたことから上値を目指す展開になっていくものと見込む。

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